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ハートフルTAXIかわまた

3月下旬の区役所を舐めていた( ´ ▽ ` )ノ
2時間もあれば区役所も警察署も巡れるだろう、と、そう軽く考えていたのだけれど、実際は区役所だけで2時間近くかかり。一つ目の用事を済ませたと思いきや、更には別の窓口にもこのまま行けと言われたけど、郵送対応にさせて貰いました。(区役所の人口密度と酸素の薄さにこれ以上は耐えられなかった。すまん)
日本の行政機関よ、デジタル庁よ、共に頑張ろうぜ。
仕事の本質とは仕組み化であると、サイボウズさんも言ってたよ


さて。警察署は窓口が16時までで、
15時45分に役所を飛び出た私は、区役所から警察署までの片道30分の道のりをTAXIに託すと決めたは良いものの、最近はどうやらDiDiとの相性がイマイチなのだ。案の定今日も上手くタクシーが捕まってくれない。

アプリに頼りきらず、自力でもTAXIを拾おうと全力競歩の道すがら、1台のタクシーを何とか前のめりで繋ぎ止めた。個人タクシーの「カワマタ」さんだ。

「すみません、下鴨警察署まで、急ぎでお願いします。16時に窓口閉まっちゃうんです」とお伝えすると

「高速じゃあるまいし、これ以上急ぐのは無理だね」
と、ピシャリ。

…あ。GOING MY WAYタイプのおじさんか( ˊ̱˂˃ˋ̱ )カーン

焦っている私の気持ちを汲んでおくれよ、と心の中でゴングが鳴りかけたところで、少し間を空けて今度はカワマタさんからのセカンドジャブ。

「下鴨警察署でしょ。今15時50分だから、間に合う。大丈夫だよ。」

3月なのに雪は降るわ、寒いわ急いでいるわ、で、急か急かしていた私の気持ちが その一言ですとんと手懐けられた感じがした。
“お、このオトン、多くを語らないが優しいタイプの方やもしれん( ˊ̱˂˃ˋ̱ )”と。


そしてカワマタさんの予言通り、15時55分にタクシーは下鴨警察署前に到着した(すごい!)が、ここでまた更なる試練が起こる。


「あぁ、ごめんウチ、現金のみなんだわ。」

……なんやて( ˊ̱˂˃ˋ̱ )?


GOやらDiDiやら、アプリやあらゆる決済ツールが主流化し激戦化するこのタクシー業界において

現金のみやと( ˊ̱˂˃ˋ̱ )?コラ


実は後ろ座席に決済端末が見当たらないと気づいた時から、SuicaもPayPayもID系も使えなかったとしても、カードなら使えるだろと信じていたけれども。
この世間が全力でキャッシュレスを推奨している今のご時世に

現金のみやと( ˊ̱˂˃ˋ̱ )?コラ カワマタ コラ


と、いう事なので、どうしようか迷おうともしたけれども、迷う時間すら無いのだった。財布の中は現金わずか165円。時間は迫る。気づけば15時56分なのである。

「す、すみませんけど、現金を今持っていなくて。警察署の用事すぐに終わると思うので、終わるまで待っていただいて、近場のコンビニで降ろしていただいても良いですか?」

「おー、ええけど、警察署すぐ終わるの?」

「本当にすぐ終わりますんで。一瞬です。」

「別にええけど、警察署本当にすぐ終わる?」

「すぐに終わります、し、人質に何か置いて行くので見張っててください」

「分かったわ。じゃ、ここで待ってるから、行っといで。」


という訳で、本当にすぐ終わるか半信半疑のカワマタさんを横目に、私は府立図書館で借りた本を人質にタクシーに置き、警察署へ飛び込む。予定通り用事もものの5分で事が済み、カワマタさんの元へ戻った。

「やや、本当にありがとうございます、助かりました。」

「早かったなぁ。ほい、本カバンに戻しとき。」

親切に人質の本を返してくれたカワマタさんから本を受け取ると、下にして置いていったはずの表紙が表になっていた。ちゃっかりタイトル確認とるやんけ。


さて、そんなこんなでカワマタさんとのTAXIドライブも間も無く終焉である。

「すぐそこのセブンでええかな。ATMあるかいな、お、あったあった。」

と、一人カワマタ劇場を繰り広げながらも近場のセブンでメーターを止めて貰った。

「ありがとうございます、すぐに戻りますんで!」

またまたタクシーを駆け降りてATMへと直行し、諭吉を1枚召喚した。
ハテ。現金清算ということは、万札出されてもお釣りに困るよな、ということでアイスのブラックコーヒーを1本購入。運転席の真横にブラックのボトル缶が置いてあったからね。

セブンを出ると、右に白いタクシー左には黒いタクシー。
はて私は今まで何色の車に乗っていたのだろうか。と思っていると、黒いタクシーの扉がパカンと開いた。もはやチームワークが成立している。

「本当に助かりました、ありがとうございました。はいコレ。と、お金。」

寒い外を懸念した、とろんと眠くなるような車内にカワマタさんがこの後も負けぬよう、ギンギンに冷えたブラックコーヒーを差し出した。


「おお、そんなええのに。ありがとう。」

お代よりも先に、コーヒーを受け取るカワマタさん。

この後どこまで行くの、寒いし少し乗せていったろか?
と、雪降る外を心配してくれるカワマタさんだったけれど、それじゃ貴方の商売にならんでしょう、とお気持ちだけいただいておいとました。

たったの15分程度、1,400円分の出会いだったけれども、私はカワマタさんのタクシーに乗れて、とても嬉しかったよ。本当にありがとうございました。

次またタクシーに乗る時、またカワマタさんと出会えたら嬉しいな。…だけどもその時はどうか、カードだけでも良いからキャッシュレス対応しておいておくれよな。

本音を言い換える関係が大事だとサイボウズさんも言っていたので、言わせてもらいましたとさ。

おしまい。

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