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マニュアルのUXはどうあるべきか?

あなたはいま、フリマアプリを開いている。家の不用品を売るためだ。

出品したリュックが売れて、購入者に送付しようとしたが、その配送方法を変更したくなった。画面を探しても説明が書いていない。

できるのか、できないのか。マニュアルがどこにあるのか、お問い合わせが必要なのか。よくわからない。

購入者からは「明日には配送してほしい」とメッセージが来ている。あなたは焦ってしまう。出品額たかが1,000円のために、頭を抱えてしまう。

はて、一体どうしたものか...

UIデザイナーが憧れてしまうAppleのUI


多くのUIデザイナーは、マニュアルや説明文なしで操作できる直感的UI、そう、Apple社が提供しているようなUIに憧れる。しかし、Appleのようにユーザー自身がtipsをブログやYahoo!知恵袋に投稿してくれるようなプロダクトばかりではない。

サービスによっては、そのサービスで生計を立てているヘビーユーザーから、登録して間もないライトユーザーまで、ユーザー要求が多様な場合がある。全てのユーザーが直感的に要求を満たせるUI設計をすることはなかなかに困難であり、システム的な制約もある。

したがって、狩野モデルにおける「当たり前品質」を、UIだけで満たせない場合は、マニュアルを有効活用すべきである。


直感的UIでカバーできない最後の砦

ここで一度立ち返って、サービス開発の現場での「マニュアル」の役割を定義してみる。

ひとつは、お問い合わせを減らすことである。ユーザー自身が必要な時にシステム仕様を参照することにより、CS(カスタマーサポート)に寄せられるお問い合わせが減る。CSは負担が減った分、よりユーザーに寄り添う形の、充実したサポートができる。

もうひとつは、ユーザーの労力/時間を軽減することだ。マニュアルがあっても探しづらければ時間がかかる。お問い合わせをするとなると、何営業日もかかかる。その間のユーザーの機会損失を防ぐ役割もある。

上記の2つに寄与することにより、ユーザーの満足度を上げ、解約&契約率を改善させることができる。

お問い合わせと改善施策

サービス開発の現場では、「この項目はお問い合わせが多いから設計を改善しよう」と、施策が始まることが多くある。

逆に、「この項目はお問い合わせが少ないから大丈夫」なども聞くことがある。果たして本当にそうだろうか?

わざわざお問い合わせなどしない

何か問題にぶつかっていても、お問い合わせしてくるユーザーというのは、我々が考えるよりずっと少数である。実際に私たちが何かのサービスを使うとき、CSにお問い合わせをする頻度を思い出して見てほしい。

実際は、心が折れて契約に結びつかないユーザーが大半なのではないか。

マニュアルのPVは貴重な改善の根拠である。まずは数値を計測することから始めよう。お問い合わせでは見えなかったユーザーのつまづきが見えるかもしれない。

お問い合わせが少ないから放っておいても大丈夫、は危険な思想だ。

また、PV以外にも、ユーザーテストで定性的に改善点を洗い出す方法もある。ユーザーテストでつまづくユーザーが多いのに、該当するマニュアルページのアクセスが少ないのであれば、それはマニュアルの設計が悪く、探しにくいのかもしれないという仮説を立てよう。

...長くなったので、続きは次回。

後編では、具体的な改善のヒントをご紹介

次回「マニュアルのUXはどうあるべきか?後編」では、現場で実際に使えるマニュアル設計のtipsをいくつか紹介したいと思います。
どうぞお付き合いください。

>> 後編「ユーザーに優しいマニュアルを作る5つのヒント」はこちら


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