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『Butter』が完成した瞬間を見た気がして号泣した話(AMAs2021の感想)


今日BTSが「2021 American Music Awards」で大賞を受賞した。目からダム大放流だ。これは、アジア歌手としては初の受賞となるらしい。

ほかにも、「Favorite Pop Duo or Group」「Favorite Pop Song」も受賞して、三冠達成。歴史の教科書に載る案件だ、しかもカラーページに。


今回思わずnote書かなきゃ!と思ったのは、彼らがこの舞台で披露したステージを目の当たりにして溢れたこの思いを、どうしても残しておきたかったから。



ふざけたアイコンでこんなこと呟いたわけだけど、私はやっと今日、「楽曲『Butter』が完成した瞬間」を見た気がした。


そもそも『Buter』ってどんな楽曲だっけ?


そもそも『Butter』はポップアートの先駆者であるアンディーウォーホルからインスピレーションを受けているというのは有名な話で、MVやコンセプトフォトにもそれを彷彿とさせる細工が仕掛けられていた。


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シルクスクリーン技法っぽい床とか

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同じ大きさで同じイメージを繰り返す反復表現とか(ホビさんキューティーすぎん?)

こんな感じでポップアートの技法をたくさん盛り込んであった。改めて見てもめちゃくちゃセンス良い。


アンディーウォーホルは、もともと高尚なものだった芸術やアートを、大衆文化に持ち込んだ先駆者で、

「もしアンディー・ウォーホルのすべてを知りたいのならば、私の絵と映画と私の表面だけを見てくれれば、そこに私はいます。裏側には何もありません。」

なんて有名な言葉を残している。芸術やアートは作者の思いや難しいこと考えずに表面だけで誰もが楽しめるものだ、という、アートをビジネスと考えたウォーホルらしい名言だ。


つまり『Butter』にも、難しいことは考えないで誰もが楽しめる音楽を!という素晴らしいメッセージが込められているのだけど、どうやらそれだけじゃないらしい。



2021年5月に公開されたティーザーフォト。私はこれを見たとき、「う、う、美しい!!中世的!!」と思った。

濃いめのリップにふんわりとした襟。そこに男性らしさや女性らしさの概念はなかった。まさにジェンダーレス。

"人種やジェンダー関係なく、誰もが楽しめる音楽“であることを表現していた。

あと、『Butter』の象徴的な色といえば「黄色」だ。この楽曲のリリースが発表されたときから、BTSのアイコンも黄色く鮮やかに変貌を遂げた。そして楽曲が公開された後のブイラで、ナムさんがこんなことを言っていた。

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「僕たちは黄色人種じゃないですか?『Butter』レッツゴー。」

前置きが長くなってしまったけど、これを踏まえて今日のステージを見た私は、もうもうもうたまらない気持ちになった。


アジア人の彼らがあのステージで『Butter』を歌ったという事実


アジア人で黄色人種の彼らが、黄色いスーツに身を包み、黄色く輝いたセットの中で、英語詞である『Butter』を欧米のステージで歌ったという事実。

しかも、会場では大合唱が起きている。

これは、人種やジェンダーの差別を受けてきた人々にとってはもちろん、このコロナ禍で、社会から突き放されてしまったような感覚になってしまった人々にも(私もそうだったなあ)、とても意味があることだったんじゃないかなと思う。

もちろん、世界に進出しようとするなかで、私たちには想像できないほどの人種の壁やアイドルの偏見と戦ってきた7人にとっても。


そういう意味で、この『Butter』という楽曲はきっと、欧米という音楽の聖地、世界の中心で、観客の前で披露し、観客とともに楽しむことで初めて完成する楽曲だったんだなと思った。

もしかしたら7人は、この景色も予想した上でこの楽曲を作っていたのかな…いくらなんでもそれは…と思いたいけど、あの7人ならやりかねない。


私はぬくぬくと日本という温室で育ってきてしまった。だから、人種やジェンダーの差別とは具体的にどういうものなのか、世界では何が起きているのか、まだまだ全然知らない。

でも彼らのパフォーマンスを通して、言葉や姿勢を通して、それを考えるきっかけをもらっている。

宇宙のように無限に広がっていく思考はときどき苦しくなるけど、それでも向き合いたいと思わせてくれるのは、紛れもなく彼らの力だ。


バターのように君の中に溶け込むよ……

なんだ、めちゃくちゃ深い歌詞じゃん…(号泣)


おれの推しが最高だった


最後にこれだけは言わせてほしい、おれの推しが最高だった。

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事件ですみなさん、キムソクジンがチョンジョングクを回収しました。


キムソクジンという男は、とても冷静で聡明で計算高い。だから私は、一見突拍子もなく見える言動も、全て彼の策だと思っている。伝説のMAMA2018のスピーチも、TMA2021 のスピーチも全部。


だけど今日のジンくんは、心から笑っていて、心から楽しそうで、思わずグクちゃんを回収したのも、嬉しくて仕方ないという感情から来る、反射的な行動に見えた。

それが嬉しくて嬉しくて、もう私はそれだけで……

常に頭を使ってしまう彼だからこそ、感情の赴くまま動いているところを見ると、本当にそういう瞬間はごく稀にしかないのだけど、私はなんとも言えない気持ちになる……



世界がこんな状況になって2年弱。

ARMYに会えなくなって存在意義もわからなくなって、あんなに自己コントロールの上手なジンくんがバーンアウトまで経験したこの2年。

そんなジンくんが今日、観客の前に立って、噛み締めるように客席を見上げていた。

嬉しそうで、楽しそうで、キラキラしていて、全て報われたような表情に見えた。私は多分このジンくんの笑顔を、一生忘れない。



誰よりも輝いてたよ、本当に。


そして、おめでとう、BTS。


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