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まさむね

 赤坂〜溜池山王らへん、11:30開店のそのお店に、最初通りかかったのは11:10前くらい。お客さんらしき人がひとり立っていたけれど、さすがに早すぎるだろうと思って時間を潰した。5分前に行ってみようと思って少し早く着いた11:23。既に行列ができていた。

 店の前に立つ5〜6人の後ろにつくと、店員さんが話しかけてきた。わざわざ外まで予めオーダーを取りに来るのか。確かにちょっと時間かかるし良いかも。メニュー表を見て注文する。上ロース定食。キャベツとごはんの大盛もできるみたい。一瞬迷ってお願いする。お茶は温かいの、冷たいのどちらに?そんなとこまで選べるのか。カスタマイズというか、細かく要望を聞かれると、恭しく気を遣われている感じがしてちょっと嬉しいよね。
 しばらくして開店の時間になり、順番に店内へ通される。テーブル席がいくつかと、小上がりのようにちょっと区切られたカウンター席。カウンターの板の感じとか、ちょっといい感じの和風居酒屋みたい。案内されたカウンター席は大将の目の前。カウンターの中は大将ひとりで、ホールに女性が2〜3人。外までオーダーを取りに行ったり、料理を運んだり。持ち帰りメニューもあるらしく、その準備をしていたり。せわしなく動いているけれど、ピリついていない雰囲気とやりとりで、なんとなく関係性が透けて見える。大将も肉を叩いたり揚げたり、ホールの店員さんの声かけで飲み物を用意したり、フル稼働している。

 定食が到着。とんかつとキャベツの大皿、ご飯、豚汁、漬物。豚汁をすすると、ごろっとした背脂がいくつも浮いている。ちょっとびっくり。もたれないようになのか、刻みしょうがが入っていて、しょうがの香りが強い。そういえば最初に出されたほうじ茶もしょうがの香りがしたような。カツは金網の上に置かれて、衣が蒸れないようになっている。分厚くてちょっと歪な肉と大粒のパン粉で、どことなくワイルドな見た目。レモンと塩、醤油が添えられている。珍しい。かじってみる。ジューシーな身と、3割ほどはある脂身のインパクトがすごい。肉っ!的なワイルドさ。確かにソースよりはあっさり目の調味料やレモンがあった方がさっぱり食べられそう。豚汁も根菜、背脂のコクでワイルドな感じ。腹ペコだとこのボリュームは嬉しいな…と思いながら、ご飯を挟んでカツの脂身と豚汁の背脂を往復するうちに、大盛にしたことを後悔してきた。
 さすがに漢臭さが過ぎる。途中から、胸焼けしないように脂身をかじるタイミングを見計らう自分に気づく。ちょっとキツいな。

 なんとかやっつけてお会計を済ませる。豚肉にこだわりのあるお店らしい。食べて欲しい肉を起点に組み立てられたお店だと思うと、なんとなく合点がいく感じがする。さっぱり食べてもらうために塩にしたりレモンを添えたり、生姜を加えたり。豚汁の背脂も仕入れた肉から取ってるのかな。外までオーダーを取りに行くとことか店員さんと大将のやり取りを見ても、細かく気配りされている印象がある。サービス以外でも金網とか、かゆい所に手が届く嬉しいポイントがいくつかあって、綿密に組み立てられたというか、細かい改善を積み重ねて出来ているお店なのかな、と思った。また来てみたいけど、ご飯大盛は絶対にやめようと誓った。

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