見出し画像

京都喫茶店の歴史を尋ねる旅③60年代〜70年代に多様化する喫茶店

京都のレトロ喫茶巡り。第3弾は60年代から70年代に開業したお店です。

高度成長期を迎え、日本全体が急激な発展を遂げる中、京都では1964年に京都タワーが完成。鉄道や高速道路も開通し、人々の流れも変わりました。珈琲の輸入量も戦前のピークを超え、喫茶店の数も多様化する日常の娯楽の場として、増加の一途をたどります。

そして大阪万博が開催した1970年からは、喫茶店の開店ラッシュが続き、喫茶店黄金時代を迎えます。70年代は、大手チェーンのコーヒー専門店も次々と開業しました。

そんな時代に誕生し、現在まで続いているお店をご紹介します。


1961年 喫茶 翡翠

北大路堀川にある1961年創業の純喫茶。2018年からは、4代目岡田有子さんがお店を引き継いでいます。なかなかレトロで迫力ある外観。扉には「こーひーとおしょくじ」の文字。

席数約100席の広い店内は、4人がけのソファーシートのボックス席が基本。入口付近には漫画の棚があり、ゲーム台が残っていたり、奥にはミーティングができそうなスペースもあります。内装は開店当時からそのままだそうです。

こちらの喫茶店、お食事メニューがかなり充実しています。バンバーグとかナポリタンとか、バリエーションも多いです。だから若者からお年寄りまで、幅広い年代に長く愛されているのですね。

私は食事をすませていたので、プリンアラモードとコーヒーをいただきました。フルーツがきれいに盛り付けてあって昔懐かしい。スイーツ類は今の店主が考案したのだそうです。

●喫茶翡翠(きっさ ひすい)
京都市北区紫野西御所田町41-2
電話:075-491-1021
営業時間:9:00~21:00(木曜は11:00~)/日 9:00~20:00
(モーニングは11:00まで)
定休日:火曜
アクセス:市バス「北大路堀川」より徒歩1分
全面禁煙(喫煙スペース有り)
*営業時間の変更が多いので、インスタをチェックしてください!

1963年 ゴゴ

出町柳駅から徒歩2分の今出川通りにあります。創業当初から変わらない店内は「スマートコーヒー」や「喫茶ソワレ」と同じ設計士さんだとか。

初代マスターの河瀬馨さんはもとは「玉屋珈琲店」の営業職で、取引先の喫茶店を引き継いでご自分のお店を始めたそうです、現在は2代目の女性が、おひとりで仕切っていらっしゃいます。

創業当時のままというモーニングセットは、トーストとドリンク、バナナorゆで玉子が選べるセットになって、値段はなんと500円!モーニングは朝11時までです。

「撮影は声をかけてから」との貼り紙があるので、店内の撮影は遠慮しました。

ゴゴ
京都市左京区田中下柳町8-76今出川加茂大橋東入ル
電話:075-771-6527
営業時間:8:30〜17:00(モーニングは11:00まで)
定休日:日曜・祝日
アクセス:京阪電車 出町柳駅より徒歩2分

1963年 喫茶セブン(現喫茶マドラグ)

烏丸御池にある『喫茶マドラグ』。藤井大丸店にも店舗があります。店主の山﨑三四郎裕宗(やまざきさんしろうひろたか)さんは、京都で育まれた喫茶文化を残そうという「京都喫茶文化遺産」の中心人物だそうです。

以前は、『喫茶セブン』という1963年(昭和38年)から約50年続いた街の名店でした。そのお店は閉店したのですが、今の店主がその後を引き継いで、2011年(平成23年)9月に開業しました。『喫茶セブン』の雰囲気を6割残して、新しいものを4割加えるというかたちでお店を改装したそうです。

さらにご縁あって、同じく閉店した『洋食店コロナ』の名物だった玉子サンドイッチを継いだそうです。頼んだのは、もちろん玉子サンド。「コロナサンド」という名前で、この時期なんだかちょっと微妙ですが。

迫力満点で、とてもおいしかったです!

喫茶マドラグ
京都市中京区押小路通西洞院東入ル北側
電話:075-744-0067
営業時間:8:00〜18:00 ※食材がなくなり次第終了
定休日:日曜
アクセス:地下鉄烏丸線/東西線 烏丸御池駅より徒歩9分

1965年 COFFEE HOUSE maki

京都出町柳の珈琲専門店です。食べログの2021年、2022年喫茶店百名店。創業者は店主のマキノさんのお父様で、親子で受け継ぐ人気の喫茶店です。

東と西に入り口が2つあって、西側は大通り沿い。川沿いの東側の入口に、名前を書くボードがありました。こちら側には車も停めることができます。

こちらのモーニングは特徴的で、一度見たら忘れられません。なんと食パンをくり抜いた耳の枠の中に、サラダやハムやゆで卵が入っているのです。添えられているのが割り箸というのも、庶民的。

お店の方もとてもフレンドリーで、暖かい雰囲気のお店でした。

COFFEE HOUSE maki コーヒーハウスマキ
京都市上京区河原町今出川上ル青龍町211
電話:075-222-2460
営業時間:8:30〜17:00(モーニングは12:00まで)
定休日:火曜日
アクセス:京阪電車 出町柳駅より徒歩5分

1966年 喫茶茶の間

1966年開業。御所西のまわりに何もないところにあるのですが、店内はちょうど満席で、外でちょっと待ちました。カウンターとテーブル席があります。かなりレトロな内装です。

お店の看板メニューは本格派カレー。ルーの辛さは、マイルド〜大辛の4段階で選ぶことができます。ソースポットになみなみと入ったルーを、セルフでかけるスタイル。ライスにはコーンフレークのっています。なんとルーは、お代わり無料!

常連客さんに愛されているお店のようです。

喫茶茶の間
京都市上京区下長者町室町西入ル南側
電話:075-441-7615
営業時間:7:30~17:00/土曜 9:30~17:00
定休日:土日祝
アクセス:地下鉄烏丸線 丸太町駅より徒歩9分

1967年 ワールドコーヒー白川本店

1961年北白川でオープンしたワールドコーヒーの1号店。当初は3坪のカウンターだけの小さな喫茶店でした。現在直営店舗は京都市内に4店、さらに京都焙煎工場で作ったコーヒーを喫茶店やホテルに納品しています。

  • 1961年 コーヒーショップ白川店として開業

  • 1969年 ワールドコーヒーショップ白川本店オープン

  • 1970年 株式会社ワールドコーヒー設立

『カフェ・コロラド』はお客様により身近にご利用いただけることを目的に作られたワールドコーヒー直営店です。

店内は広くシャンデリアがあってゴージャス。ランチメニューも充実しています。コーヒー豆や器具、コーヒー合うお菓子や食品等も販売しています。

ラーメン丼のような器が特徴的な「北白川モーニング」は、タクシードライバーのために生まれたメニュー。たっぷりの野菜に胡麻ドレッシング。ソーセージとベーコン、それにふわふわ卵。ボリューミーで満足できるー品でした。

ワールドコーヒーショップ白川本店
京都市左京区北白川久保田町1番地
電話:075-711-4151
営業時間:7:00~19:00(モーニングは11:00まで)
定休日:無休
アクセス:市バス「銀閣寺道」より徒歩3分

1968年 喫茶チロル

1968年に現在の店主、秋岡誠さんのご両親である秋岡勇さん、登茂さんが創業。クラシックや登山が好きな勇さんが、当時勤めていた会社が倒産して始めたそうです。最初は家族経営で始まりました。

赤黒のストライプのひさし、山小屋をイメージしたという店内、木製のシャンデリア。テーブルは一人用で人数に合わせてレイアウトを変えるそうです。

一時期客足が途絶えた時期があるそうですが、京都を拠点に活動する劇団「ヨーロッパ企画」の劇中に登場したことで、ファンが訪れるようになり人気を取り戻しました。

店主が3日間かけて仕込むカレーが、チロルの名物。独自に改良を重ね、数十種類もの材料を煮込んでいます。人気の「カツカレー」をいただきました!

喫茶チロル
京都市中京区御池通大宮西入ル門前町 539-3
電話番号:075-821-3031
営業時間:8:00〜16:00(モーニングは11:00まで)
定休日:日曜・祝日
アクセス:地下鉄東西線 二条城前駅より徒歩4分

1969年 コーヒーショップヤマモト

嵯峨嵐山駅近くの自家焙煎珈琲専門店。1969年(昭和44年)初代山本健司氏が開業。現在2代目山本次郎氏を中心に家族で経営。また、2008年には京都下鴨にて姉妹店を開業。

焙煎室を併設し、20種類もの珈琲が味わうことができ、豆の購入もできます。店内は、木目調でレトロ感たっぷり。ソファーも座り心地が良いです。

モーニングセットはA~Dの4種類。提供時間は7時から11時まで。「和牛カツサンド」や「ケーキのようなサンドイッチ(生クリームたっぷりのフルーツサンド)」も評判です。

コーヒーショップ ヤマモト
京都市右京区嵯峨天龍寺瀬戸川町9-7
電話:075-871-4454
営業時間:7:00~18:00(モーニングは11:00まで)
定休日:木曜
アクセス:JR嵯峨野線 嵯峨嵐山駅北口より徒歩5分

1970年 コロラドコーヒーショップマスサン

二条城の前にある1970年創業、店名の由来となった祖母・マスコさんから続く3代目の熊谷さんが店主を務める純喫茶。現在の店名は「カフェ&ベーカリーマスサン」だそうです。

ワールドコーヒーからコーヒー豆などを卸している『コロラドコーヒーショップ』のフランチャイズ店。2023年10月号『Hanako』の京都の味特集に掲載されています。

ゆったりした店内で、場所柄か観光客も多いようです。お店の奥にパンの工房があり、店頭では自家製パンの販売もしています。一度モーニングにうかがったのですが、タマゴトーストとたまごサンドの食べ比べがしたくて、後日また伺いました。

カフェ&ベーカリーマスサン
京都市中京区東堀川通御池上ル押堀町40
電話:075-222-0990
営業時間:7:00~18:00(モーニングは11:00まで)
定休日:木曜
アクセス:地下鉄東西線 二条城前駅より徒歩1分
全席禁煙

1971年 前田珈琲

京都で「老舗3大コーヒー」と呼ばれるお店があります。それがイノダコーヒ/小川珈琲/前田珈琲です。伝統のイノダ、革新の小川、庶民の前田とも評されていますが、全国のスーパーに豆が並んでたり、東京にもお店があったりするので、知名度が高いです。

前田珈琲の創業者は、現在の社長で2代目となる前田剛氏の父親である、前田隆弘氏。 イノダコーヒの初代社長・猪田七郎氏のもとで学び独立、四条高辻に最初のお店を妻の恵美子さんと営業していました。

京都の中心部・烏丸にある本店をはじめ、京都芸術センターや京都文化博物館、二条城内、高台寺など、出店先が素晴らしくて、現在京都市内に11店舗を構えています。本店は、1981年呉服屋を改装したクラッシックなつくりです。

最近は、築120年の歴史がある「京都府庁旧本館」内に、「salon de 1904」をオープンさせています。

こちらで私がいただいたのは、「スペシャルモーニング」1250円
進々堂のイギリスパンにオムレツ、ベーコン、サラダ、ドリンクつきです。

前田珈琲 室町本店
京都市中京区蛸薬師通烏丸西入る橋弁慶町236
電話:075-255-2588
営業時間:7:00〜18:00(モーニングは11:00まで)
定休日:無休
アクセス:阪急京都線 烏丸駅、市営地下鉄烏丸線 四条駅より徒歩5分

1971年 喫茶KANO

京都の高瀬川沿いにある『喫茶KANO』。古い料亭や旅館が立ち並ぶエリアにあります。 高瀬川に沿って建つ昭和モダンな洋風建築で、大きなガラス窓の向こうは桜の木。

アジアンモダンなライフスタイルプロダクトを販売する「asian modern その」と隣接しています。

モーニングは、飲み物のお値段+450円で、ベーコンエッグ・サラダ・トーストがつきます。

喫茶KANO
京都市下京区木屋町通五条上ル西橋詰町785
電話:075-351-2677
営業時間:7:30~15:00/日曜祝日 9:00~15:00(モーニングは10:30まで)
定休日:金曜
アクセス:京阪電車 清水五条駅より徒歩3分

1974年 エスプレッソ珈琲 吉田屋

1974年この地で生まれ育った谷康二が創業し、康二氏が他界したあとは、奥様のフミ子さんがひとりで切り盛りしているお店です。康二氏は京都で初めてエスプレッソ提供した『ちきりや』に感銘を受け、喫茶店の開店を志したのだそうです。

先斗町の北の突き当たりにあり、著名人のサインとか、芸妓さんや舞妓さんがご挨拶に配るという「京丸うちわ」が壁にびっしりと飾られています。

席はカウンターのみ。たばこ吸えます。涙
イタリアの「チンバリ」製のエスプレッソマシンで抽出するアイスコーヒーが有名で、芸妓さんたちに愛されるそうです。常連客はストローなしで飲むそうです。私もやろかと思ったけど、ちょっとはずかしいのでやめました。

カウンターの奥では、スイーツ男子がケーキを頼んでいました。こういうお店を知っていると、京都の楽しみが広がります!

エスプレッソ珈琲 吉田屋
京都市中京区木屋町通三条下ル東入
電話:075-211-8731 
営業時間:11:30~21:00
定休日:月曜 
アクセス:京阪本線 三条駅より徒歩5分

1976年 高木珈琲

「イノダコーヒ」出身の先代3人が共同出資して作られた純喫茶です。高木というのは、創業者の高西さん、川辺さん、北村さんの頭文字を取ったのだそうです。高辻本店と烏丸店の2店舗あります。

店内はテーブル席やソファ席が40席ほど。なかなかのレトロ感です。マスターは寡黙なおじさま。注文をとって、調理もされます。

モーニングは5種類。Aセット(トースト、スクランブルエッグ、ソーセージ、ポテトサラダ)800円をいただきました。コーヒーカップの形がイノダコーヒと同じですね。喫茶タイムは名物のプリンが人気のようです。

高木珈琲 高辻本店
京都市下京区高辻通室町東入骨屋町
電話:075-371-8478‎
営業時間:7:00〜18:00(モーニングは11:00まで)
定休日:無休
アクセス:地下鉄烏丸線 四条駅より徒歩4分


この記事が参加している募集

おいしいお店

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?