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ホテル・リッツ・エスコフィエ料理学校協賛 パリ・お菓子の研修旅行の記録

Day1

パリでお菓子を習いたい!そんな思いでお菓子教室に通っていたが、その夢が実現。たった1週間だがあのリッツ・エスコフィエで学ぶツアーに参加することになった。コーディネーターとして先生も同行。ケーキ仲間の会社の同僚M嬢も一緒で、かなり心強い。

が、いきなり成田に大遅刻。でも、事なきを得て、飛行機に。機内はシャンパン飲み放題。夕食はサーモンだったが、味はちょっと。結構よく寝て、夜食のサンドイッチが配られたのを知らなかった。

パリの空港では事件発生!先生が機内で隣り合わせたご婦人のお迎えが来ない。成り行きで世話をやく先生達。タクシーでお送りしてあげ、が、先方(娘さん)不在の為、我々のホテルに。そのまま泊まられたもよう。私達は取り残されて外へ食事に。

パリは寒い。びっくりだ。一番近くのリヴォリ通りのカフェで、田舎風サラダ(チーズと生ハム)、いちごのタルト、コーヒーの軽い夕食。その後パリを散歩しようとしたが、寒くて断念。土産物屋を覗いて、ピンを買い、帰る。ホテルは思っていた程悪くない。広さもあり、テレビも冷蔵庫もタオルも2枚あって、一安心。日本人スタッフもいた。でも、セーフティボックスが満杯ってどういう事?翌日に備えて、早く休む。

Day2

早朝まだ暗い中、リッツへ向かう女6人。寒さに震えている。ゴディバの角を曲がり、サントノーレ通りを少し行き、シャネルやセリーヌのあるカンボン通りを入ると、右手にリッツの従業員用の裏口がある。地下に降りてしばらく行くと、リッツ・エスコフィエ、研修の場である。

まずは、パンとコーヒーの朝食をとりながら、レシピを受け取って、研修のオリエンテーション。リッツのクロワッサンは最高。この旅一番の感動だったかも。パン・オ・レザンは生地よりレーズンの方が多い位。ブリオッシュもおいしくて。この3つを食べてしまったら、昼食は無理といわれながら、3つしっかり制覇。私の胃袋ったら…。

それから、ユニフォームを借りるために、洗濯室に。客室のシーツやバスローブも、ここでクリーニング。帽子をかぶり、エプロンをすると、気分は名シェフ。中身はこれからだ。

この日の研修は、
●パリ・ブレストParis Brest
●パッションフルーツのムースMousse aux Fruits de la Passion

研修はアトリエ形式で、簡単な説明の後、シェフが実演し、その後、基本的には2人一組で実習を行う。泡立てやクリーム作りには機械を使い、温度は温度計で計るという、感覚より、数字に頼った菓子作りである。工程がよく考えられていて、生地を休ませている間に、次はこれ、次はこれとどんどんこなしていかなくてはいけない。材料は計っておいてくれて、洗い物もしてもらい、真ん中の楽しい所だけやる感じ。

その場でシェフの作品を、コーヒーと共に試食。いたれりつくせりの研修だ。最初の完成品、パリ・ブレストは生地はぱりぱり、クリームは濃厚でおいしかった。緊張の研修初日を終え、昼食ははリッツの職員用のカフェ。さすがホテル、社食なんかより全然充実している。盛りもすごい。ワインもチーズもデザートも種類豊富。食券を見せると食べ放題。この日は豚肉とマッシュポテトをどっさり。ちょっとでいいって言ってるのに。

ホテルに戻り、全員で町へ出る。とにかく寒くて耐えられそうにないので、近くの観光客相手のような店で、防寒具探し。とりあえず、黒いストールを買う。予想外の出費だ。メトロの1週間用の定期、カルト・オランジュは私達の研修中に先生が買っておいてくれた。

まずはメトロで東駅へ。10区のパラディ通りの辺りで、「バカラ美術館」とその近くの食器屋をまわる。バカラ美術館では、スカートがシャンデリアのようなガラスの人形がお出迎え。中に入ると、グラスやら花瓶やらがずらりと並ぶ販売のコーナーと、その奥にアンティークの香水瓶やランプシェード等が飾られた展示のコーナーに分かれている。いくつもあるシャンデリアも見事。販売といってもテーブルコーディネートされていたり、ゆったりと配置されているので、見ているだけでも飽きない。バカラのグラスは見る度に欲しいなーと思うのだけど、宝の持ち腐れになりそうなので、今回も我慢。いつか新居を構えたらと先送りにしているが、いつになるのやら。

次に見たのは「LA TISANIERE」というリモージュ焼きのお店。ここで、白い食器と小鳥の形のレモン絞りを買うが、後に紛失してしまう。多分荷造りの時、部屋のどこかに置いてきてしまったのだろう。

その後、「モデュイ:MAUDUIT」へ。商店街の中のモダンな店構え。1つしかなかったモンモランシーを道端で6人で分け合う。なんと先生は“とらや”かどこかの水ようかんのスプーンを持っていたのだ。以後マイ・スプーン持参は旅の常識となる。でも1/6じゃあ、味はいまいちわからないよ。

それから、余り時間はなかったが、メトロに乗り、「マリアージュ・フレール」へ。ずっと立っていてかなり疲れていたので、即お茶したかったが、席が空いていない。買い物する気力もないので、おとなしく待って、先生お薦めのアールグレー・インペリアル(earl grey impérial)を飲む。さすがに誰もケーキを食べようとはしなかった。

一息ついて、ユダヤ人街のケーキ屋の前を通り、惣菜屋「ジョー・ゴールデンベルグ:JO GOLDENBERG」へ。独特の匂いと雰囲気。ウォッカや魚のオイル漬け等が並んでいる。

そして、ポンピドーセンターの脇を通って、辻静雄先生一押しの「ビストロ・ブノワ:Benoit」へ。豪華に花が活けられ、高級感溢れる店内。お客さんもちょっぴりおめかしした、落ち着いたカップルや、葉巻の似合うおじさま。ちょっと浮いた感じの我々は、前菜を6種類とり、6人でまわして取り分ける。周りの目が気になるが、観光客だから許してね。

オーダーは①フォアグラのテリーヌ ②牛肉のサラダ ③オマールとアーティチョーク ④鴨とフォアグラ ⑤エイのゼリー寄せ ⑥スモークサーモン。いかにも昔ながらのフランス料理だ。メインは鶏と牛肉と鱸の3品。前菜だけですでにお腹は一杯なので、これで精一杯だ。でもデザートはしっかり食べる。真っ赤な椅子にクラシカルな装飾。優雅なディナーだった。

Day3

8:00~12:30までは菓子研修。この日の研修は
●ピティビエPithiviers
●アーモンドのサクリスタンSacristains aux Amandes
●洋梨のタルトTarte aux Poires William

この日完成したもの、パッションフルーツのムース、ピティビエ、洋梨のタルト、アーモンドのサクリスタン。これだけ一度に出来てしまうと、処分に困ってしまう。しかも実習の時にシェフの作品を試食している。ピティビエは大切に日本へ持ち帰り。洋梨のタルトはこれまで食べた中で一番おいしかった。ランチはチキンとポテトフライ。デザートにプリンまで食べてしまう。

午後は、メトロで6区のVAVINへ。目的地は「ジャン・ポール・エヴァン:Jean Paul Hévin」さんの店。入口はグレーとシルバーのハイテク調。店内のディスプレイは宝石店のよう。中央にショーケースがあって、中につやつやのチョコレートがすまして並んでいる。先生が話し込む中、うろうろ、うろうろ。ひっきりなしにお客さんが入ってきて、なかなか店員さん(聞けば奥様だとか)と話が出来ない。ボンボン・オー・ショコラはどれも食べてみたい気がする。適当に選んで150gの小さい箱に詰めて貰う。箱は茶色の濃淡、リボンは青。空港で買うお土産チョコとは大違い。後、プレゼント用に2個入りの箱を2つ買う。500円位するギフト用の箱も用意されている。エヴァンさんは「何か食べてみる?」と言ってくれたようで、先生お薦めのビターのものとハチミツのものを試食させて貰う。チョコレートのケーキも何種類もあり、さすがチョコ職人という感じ。マカロンを1つ買う。

それから、「ポワラーヌ:Poiilane」まで歩く。通り道にある文房具屋に寄り、ミシュランのガイドブックのパリだけの薄い版があったので、また来たいという期待を込めて購入。ノート類は日本製の方がものが良さそうだ。ポワラーヌでは翌日の朝食用に小さなパン・ド・カンパーニュとクルミパンを買う。

さらに歩いて、リッツで今習っているブルノー先生の奥様がやっている「マリー・テ:Marie-Thé」というサロン・ド・テでお茶をする。でも奥様は不在。日本の鉄瓶を紅茶のポットに使ったり、日本の絵が飾られていたり、日本のテイストが入った素敵なお店だ。ブルノー先生がこっそり作るというケーキと紅茶を頂く。アングレーズ・ソースがかかった薄くて素朴なチョコレートケーキとチーズケーキ。

一息ついたところで、徒歩で「ル・ボン・マルシェ:Le Bon Marché」というデパートへ。建物がいわるデパートの部分と、食料品を扱う2棟に分かれていて、閉店時間も異なる。まずは7時に閉まってしまうデパートの方へ。1階はアクセサリーや化粧品、地下に文房具や雑貨がある。先生は地下できのこのキャンドルを買って、うれしそう。我々も負けじとカードのコーナーで、動詞の活用がプリントされたはがき(子供用?)を購入。

そして、食品館「La Grande Epicerie」へ。時間がないので、駆け足。30分勝負だ。中には肉、野菜の他にフォション、エディアール等のブランドものやフランス各地の産物コーナーまである。ここでフォションのハチミツ、ブルターニュの岩塩(灰色をしている)、スペインのアーモンドプードル、カルテ・ノアールというコーヒー豆、アーモンドにキャラメルコーティングされたお菓子等を買う。

全員集合し、タクシーでサンミッシェルのベトナム料理「THANH-THE」へ。いかにも現地の人間がやっています、という感じの食堂風。生春巻き、麺、鶏肉の炒め、野菜炒め、うなぎのサフラン煮込みを堂々とシェアする。料理は可もなく、不可もなく。うなぎが普通の惣菜の扱いなのが、フランス風か。ビールがとってもおいしかった。
THANH-THE: 24, rue de Tournelles  Tel: 42.72.53.37

Day4

8:00~12:30までは菓子研修。この日の研修は
●オペラOpéra
●ヴィジタンディーヌVisitandines
●パルミエ・パイPalmiers
●フルーツのタルトレットMini-tartelettes aux Fruits

ランチはタルトと野菜のトマト煮。

午後はコンコルドまで歩いてそこからバスに乗る。メトロより景色が見える分楽しい。エッフェル塔を過ぎ、凱旋門の脇を通って、16区へ。まずは「ルノートル:Lenôtre」。意外と小さい。ワインや惣菜もある。ケーキはクラシックだが、かわいい。大きなパルミエがある。が、何も買わずに出てくる。

「point à la ligne」、「Marouise de sevigne」という昔ながらのチョコレート屋さんを通り過ぎ、「マルキーズ:Marquise」ではお目当てのリンゴのパイはなかったが、代わりにクロワッサンとショソン・オ・ポンムを買い、再びバスに。バスがなかなか来ない。旅行者はせっかちなんです…。

降りて一目散にアガタ(日本にも進出している、フランス中にあるアクセサリーショップ)へ。先生はお土産を探している。私もつられてテリアが気球に乗っているブローチを買う。M嬢は“私はネコが…”と無関心。

次はパリの「Yamazaki」(あの食パンのヤマザキ)。日本風のいちごのショートケーキが人気とか。フルーツがたっぷりのったケーキもあるのに。バナナボートは食べてみたかったな。でもウインドウを見ただけ。

「コート・ド・フランス:Côte de France」やはり日本に進出しているチョコレート屋)も素通りし、今田美奈子系必見の「コクラン・エネ:Coqullin Ainé」へ。でも、名物“愛の泉”(今田先生が好きそうな名前だ)とやらはない。ほんとに人気なのかな。そこで、解散しての買い物タイムとなったので、近くの「ラ・バガジェリー」(バック屋)、「ET VOUS」(洋服屋)、「ニコラ」(ワインショップ)を覗く。お茶をするほどの時間はない。お菓子屋はほとんど下見状態。本番はいつなんだろう。

そこからタクシーで12区のマダム・ヴォージェル家での料理講習へ。フランス人のお宅拝見だ。バテ気味(食べ過ぎ?)のM嬢は大事をとってホテルに戻って休むこととする。オートロックのアパルトマンにお住まいのヴォージェルさんはとってもエレガント。ホントに料理やるのかね、という感じ。アシスタントさんの方は、下町のおばさん風で、ぱりぱりしている。しかし、庭にぶどうの木のあるお宅に住んでいるらしい。揚げ物用というかっぽう着もかわいい。飯田深雪先生のお写真や、日本語の本があった。調理には、なんと菜箸を使っていた。

実習のメニューは①いわしのフリット ②夏野菜のタルト ③カスレ(白いんげんの煮込み) ④洋梨の赤ワイン煮。いわしは久々にバターの香りから解放された一品で、美味しい。タルトは生地をタッパーに入れて力を込めて振って作る。塩味がちょっと足りなかったのが上品といえなくはない。カスレは逆に塩辛かったが、家庭的で、生の白いんげん(乾燥していないもの、この時期だけしかないとか)は柔らかく煮えていておいしい。

ワインはCLOS CAMP D’ANVIOL “CAHORS” 1989年、ミネラルウオーターはAIX LES BAINS。ぶどうの葉でデコレーションされたチーズは、カンタル、サンネクテール、ブルード・オーベルニュ。カスレがオーベルニュ地方の料理なので、ワインやチーズも地のものを合わせている。Nさんは酔わないワインだと言っていたが、単に量が少なかっただけでは?デザートは作っておいてくれて、作り方だけ教えてくれた。来られなかった方にといって、カスレと洋梨を器に入れて、持たせてくれた。ほんわかとした良い時間を過ごさせて頂いた。

Day5

8:00~12:30までは菓子研修。この日の研修は
●パート・ド・フリュイPâte de Fruits à la Framboise
●キャラメルCaramels
●ウイスキー・トリュフTruffes au Whisky
●モンテリマールのヌガーNougat de Montéelimar

大人のキャラメル、とてもクリーミーなトリュフ等、小さなお菓子が完成する。ランチは牛肉の煮込みと角切りポテト。

この日の午後はフリータイム。待ちに待った買い物の日だ。毎日ブランドストリートを歩いているのだもの、そりゃあ欲しくもなりますよ。M嬢と2人いそいそと「モラビト:Morabito」に飛び込み、日本から目をつけていた手帳を探すが、これはオーダーメイドらしい。値段もよくわからなくて断念。それならお財布にしようかと、かなり迷ったが、保留。次はシャネル。M嬢はさっさと最新モデルのバックを買う。店員さんに“ここにしかない”と日本語で説得されて、すっかりその気になった模様。私はここでも決断出来ず、翌日に持ち越す。

ブランド通りを離れ、「ル・スフレ:Le Soufflé」というスフレ専門店の前を通り、「とらや」(羊羮の)のウインドーを覗いて、マキシムの花屋に立ち寄り、「オー・バン・マリー:Au Bain Marie」というキッチングッズのお店へ。アスパラガスを型どったお皿等があったが、特に目ぼしいものはなかったので、「ラデュレ:Laduree」を探すが見つからない。するとグッチが目に飛び込んでくる。吸い込まれるように入り、が、超人気のバンブーバックはやはりない。

表に出て、よく見ると、通りの向こうにラデュレがある!小さい方のマカロンを2つ(チョコとピスタチオ)買って、マドレーヌ寺院へ。2人とも何度かパリに来て、マドレーヌ広場の「フォション:Fauchon」や「エディアール:Hédiard」は行っているくせに、マドレーヌ寺院の中には入ったことがなかった。中で休憩させてもらって、外の階段の所でマカロンも食べてしまい、マドレーヌ広場のキャビアの店「Caviar Kaspia」、トリュフの店「La Maison de la Truffe」、エディアールをまわって、いつものフォションへ。トリュフ屋で、トリュフの入ったオイルを買ってみる。地下のカフェでまたまた休憩。フレッシュなオレンジジュースの一気飲み。

今度は「フォンドゥール・チバ:Fondeur Chiba」という、日本人の千葉さんのお店を探す。が、ここも中々見つからない。見落として通りを終わりまで行ってしまい、引き返してやっと発見。あら、ここでもお茶が出来たのね。もう飲み物はいらないので、特大レーズンサンドを1枚買う。日本のものの3倍位の大きさで、色も茶色が濃くつやつやしている。日本人の奥様はちゃんと2重包みしてくれた。さすが几帳面。

それから、プランタンへ。時間を決めてM嬢とも別れ、それぞれの買い物。クリストルの取っ手がとれて重ねられるステンレスのお鍋を3つと、フライパンまで買ってしまう。雑誌の私のお薦めコーナーによく登場するので、ずっと欲しかったのだが、日本では1万円以上もするから、買えなかったものなので。でもやっぱり重い。どうやって持ち帰ろうか。手一杯になり、愛用していたルイ・ヴィトンのポシェットのストラップが、この旅行の早々に切れてしまったので、代わりにと見つけたソニア・リキエルのウエストポーチは買えない。荷物を引きずるようにしてタクシーに乗り込み、ホテルに戻る。

夕食は先生と待ち合わせて、「LE RELAIS DU PARCホテル」内にあるロブションのディフュージョンのビストロへ。元ジャマンの方は、ロブション引退説が流れたので年内は予約で一杯だとか。日本で行くしかないのかも。入口を入ると中庭があって、右手がジャマン、左手が目指すビストロ。新しそうだ。8時に入店した時には、人もまばらだったのに、途中ですっかり満席になり、こちらも人気のよう。ギャルソンが若くて、明るい。

この日のメニューは、
<前菜>
①キャベツのサラダ 
②スモークサーモンロール
③なすのキャビア仕立て、トマトソース
<メイン>
①あんこうのフライ 
② 牛肉のステーキ、玉葱のせ 
③ ウインナーシュニッツェル 
<デザート>
①クレームブリュレ
② 2色のチョコレートムース
③ フルーツグラタン(ルバーブ、赤い実のフルーツ)

勿論、全てのお皿を味見したのは言うまでもない。料理は目新しく、ブノワと好対照。味付けは濃い目だが、1皿1皿わくわくする。サーモンロールはサーモンを細かく切ったものをサーモンで巻いてあるのだが、これが、美味しい。フルーツのグラタンは初めて食べたルバーブの酸味と、サバイヨンの程よい甘さが絶妙のハーモニー。甘い部門、この旅ベスト1。大満足の一夜であった。

Day6

8:00~12:30までは菓子研修。この日の研修は
●皿盛りポワールのババロワBavarois aux Poire en Ecailles de Chocolat
●タンバル・ド・グリオティーヌTimbale de Griottines

リッツでの研修はこの日で終了。レストランの厨房を見学させてもらい、修了書を頂き、シェフと記念撮影をしてお別れ。たった5日間なので、技術が格段に上達したとか、お菓子のことを知りつくしたというのはないが、本場フランスで、フランスの食材を使って、フランスの現役のシェフに習ったというのは、とても貴重な体験であったと思う。バターも粉も卵も味が違うので、日本で同じ事をしても同じ味は再現できないが、そこがまたいいのかもしれない。カフェテリアでの食事もこれが最後。サーモンで締めくくる。

そして、買ってしまった、シャネル…。リッツからの帰り道、先生に「独身のうちだけよ」なんてそそのかされて。ウエストポーチのみならず、黒いシルクのコートまで。ああ、カードってなんて便利なんだろう!?先生もしっかりシャネラーになっている。なんだ、誘われたってことか。いやあ、ポシェット壊れちゃったから…。いやあ、寒くって…。それにしても、今しか買えないと言い続けて、はや10年。この後は何年続くのか。

それからホテルに戻り、改めて買い出しツアー。今日が最後だ、買うぞーって、感じ。その前にメトロでEtinne Marcelへ。昔ながらのお菓子屋さんの「ストーレー:Stohrer」に。正面の絵の女性は右手に○○、左手にXXとメモる先生。ババが有名とか。なので、アリババを買って、6人でつつく。アルコールがすごい。

それから「G.DETOU」という食材屋へ。チョコ3kgとか、粉10㎏とかで売っている。バニラ棒も50本3000円。とても素人が買う量ではない。小さい瓶のカフェ・リキッドとバニラ棒を3人で買う。

ドュイルラン:E.Dehillerin」はプロ用の埃っぽい道具屋だ。リッツの受講証を見せると1割引いてくれる。一々リストを見ないと値段がわからないので、余り考えるのが面倒で、あれこれ買ってしまう。もっと予習しておけば良かった。リッツで使ったおそらく日本にはない形のボールと、日本よりかなり安い銅鍋は、しっかり購入。めん棒やらホイッパーまで買って、まだ足りずに「モラ:Mora」へ。ここからは待ち合わせ時間まで2人行動。品揃えは同じようなもの。日本の雑誌ではこちらの方がよく紹介されている。更に「シモン:a.simon」へ。ここは値段が貼ってあってわかりやすい。

それから、何軒か洋服屋を見て、「agnés b」で洋服を買って、待ち合わせのSaint Eustache教会へ。皆でラッピングの店に行ったら、金曜日は17:30クローズ。がっかり。仕方なくユニフォーム屋さんに行き、ウエイトレス用のフリルのついたエプロンを買う。メトロで戻るが、駅からの短い帰り道で、ちょっとしたアクセサリーを値切って買ったりする。

ホテルで着替えて、タクシーで2ツ星レストランの「Le Grand Vefour」へ。800FFでコースを組んでもらう。まずはマグナムのシャンパンで乾杯。頑張ったよね。え、買い物を?この日のメニューは
 
①チーズクリーム、うなぎ入り
②ポーチドエッグのゼリー寄せ、キャビア入り
③フォアグラのラビオリ
④かれい
⑤仔羊
⑥4種のムース
⑦ビスキュイ・ド・サヴォワ
⑧チーズ
⑨チョコレート
ワインは
Echezeaux Grand Cru, Mongeard-Mugneret 1978
Ch. De Beaucastel(Châteauneuf-du-pape)

甘いソースはちょっと口に合わなかったが、三大珍味が盛り込まれ、是非食べたかった羊もありで、充実していた。チーズもおいしかったし。雰囲気はそれはそれは良くて、お皿も壁とコーディネートされていてかわいい。しかし、日本人のお客さんが大勢。こっちも女性6人で異様だっただろうけど。翌日までお腹が一杯だった。

Day7

前夜、荷造りの途中で寝てしまい、朝方4時頃までがさごそやっていて、疲れている。でも、最後だからとリッツホテルの朝食をリザーブしてもらってあったので、頑張って起きる。初めてホテルの正面から入る。入口はけっこう狭い。レストランは思ったよりすいているが、ここにもやはり日本人の団体が。ジャージを着ているカップルもいて、びっくり。でも久々のんびりした朝食。感動のクロワッサンとも再会。壁に溶け込んでいるトイレとホテルの売店を見学して、ホテルに戻る。

チェックアウトし、荷物を預け、メトロでルーブル美術館へ。駅からもうアートしている。切符売り場には行列が出来ているが、何カ所もあるので、案外すんなり入れる。無料の平面図を頼りにしばらく見ていたら、“時間のない人のためのガイド”といものが日本語版も売られているのを知り、購入。3時間で名作を見れるように順序と場所が示されていて、最初から持っていれば、もっと良かったのに。しかも逆周りをしていたので、わかりにくい。でもどうにか1つを除いて制覇。

お昼は館内のカフェでサラダとサンドイッチ。サーモンはなんだか臭かった。絵は感動!というよりも、オリエンテーリングのようで、見た、見た、っという状態。どれも有名な作品なので、驚きというのはなく、本物はこうなのね、と確認した感じ。大きさには驚かされたが。しかし、広い。1フロアーが1つの美術館のよう。名作の目白押しで、これじゃあ感動も薄れてしまう。3時間コースのはずが、予定より大分遅れて、次の目的地に。

メトロでサンミッシェルの川沿いの古本市へ。日差しが強く、人出も多かった。探していた絵を買い大満足。きのこの絵もあったので、先生にプレゼント。絵はがきも何枚か買う。

そしてメトロで「プランタン」へ。乗る方向を間違えてしまい、あわてる。だいぶ慣れたつもりだったのに。デパートの前では、ヘア用品の実演販売。見事にひっかかり、2人でおそろいの髪止めを買うことに。プランタンではとにかくお土産探し。キッチン用品や文房具を中心に見るが、結構高く、ついつい自分で欲しくなって買ってしまう。化粧品も買いまくり。勢いでディオールのスヴェルト(注:やせるローション。当時とても流行っていた)まで買ってしまう。1階の免税店でも買う、買う。免税手続きするだけのつもりだったのに。お土産物コーナーでもエッフェル塔のピン等買う。

タクシーでホテルに戻って、増えた荷物を無理矢理押し込んで、空港へ。パナシェ(ビールのレモネード割り)を立て続けに2杯飲み、もうひと頑張り。キルシュとグランマニエを買う。さすがに重い。

<<後日談>>
 こんな重たい思いをして買ってきた道具類は、合羽橋でさほど変わらない値段で売られているのを知り、がく然とする。その場しのぎで買ったウールのスカーフは、気に入らない母に無理矢理押しつけた。バニラ棒は一度も日の目を見ないうちに、冷蔵庫の中でカビがはえてしまう。状況はM嬢も同じだったらしい。2500円で買った絵は、それに合わせて1万円の額をオーダーし、我が家のトイレを飾っている。シャネルのウエストポーチとは、その後のフランスツアーを同行している。食べたものは確実に身になっている(だろうな)。リッツホテルという一流の場に足を踏み入れることが出来たのと、パリに1週間も滞在し、食べ歩いたことは、とても貴重な経験だったと思う。想い出は、ちょっとづつ薄れながら、でも、しっかりとその後の“私”を変えている。

この研修旅行の体験が雑誌に掲載されました!

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