サファリは運だけではないのです!自然観察力がカギ
良いドライバ―さんがいたら紹介してください
という問い合わせを読者の方から時々いただきます。サファリの良し悪しはドライバ―さんで決まると言われますもんね。
でもよほどサボリ癖がない限り、たいていの動物は問題なく見つけてくれますよ。ダメなドライバ―さんなんて、そうそういません。
ただ、こだわりを持ち始めると普通のドライバ―さんでは足りなくなってくる。私にも「絶対この人!」というドライバ―さんがいます。
ドライバ―さんは動物を探すとき、
1.経験値と並外れた視力で探す
2.ドライバ―同士で情報交換する
3.無線で情報を取り入れる(マサイマラで)
この3つは基本。そしてさらにそれ以外の方法を色々駆使していますが、それ以外の方法が私にとって “すごい!” と思える人がお気に入りのドライバ―さんです。
サーバルの赤ちゃんが見られた!偶然だけじゃないんです。
サファリを何度も経験してもなかなか見られないのがサーバル。
そんなサーバルが運良く現れました!
左手前方の草地を右に向かってサクサクと歩いています。草はそれほど長くなく、体がバッチリ見られます。
これだけでもそうとうラッキーです。しかも時々立ち止まって辺りを見回したり、かなり長い時間観察することができました。
やがてサーバルはスタスタと歩いて、右手前方にある倒木の後ろに入り込み、姿を消してしまいました。
ああ、大満足。滅多に見られないサーバルがこんなにしっかり見られるなんて!
でも、もっと見たい。←つい笑
「どこに行っちゃったんだろう?倒木の後ろにまだいるかなぁ?」
と私が言うより先に、ドライバ―さんはもう動き出していました。
倒木の裏側に回り込んで探すと、先ほどのサーバルが草に紛れているのを発見できました。
そしてなんと! 草の間から赤ちゃんが姿を現わしたのです。
お母さんはひとしきり子供をなめてあげると倒木の後ろにストンと座り込み、体の小さな赤ちゃんは草の中に隠れてしまいました。ここで再び顔を出すまで待ちたいな……。
ところがドライバ―さんは車を動かしてしまったのです。
え?え?赤ちゃんが出てくるのを待ちたいのに!
ドライバ―さんは倒木の横の方に回り込んで車を付けました。倒木の横からは腰を下ろした親の姿が見えます。
でも私は赤ちゃんが見たい!と焦る私の気持ちをドライバ―さんは察しているようです。
「ちょっと待ってな」
↓
↓
すると、
赤ちゃんが倒木の空洞から顔を出したのです。
そこまで先読みするか?さすがのドライバーさん
サーバルの赤ちゃんが見られたのは偶然だけではありません。ドライバ―さんは自然を読み、その先回りをしていたんですね。彼は、
サーバル(大人の)が消えたのが倒木の陰だった
↓
倒木の陰に身を隠して休んでいるだろうと察して回り込んだ
↓
倒木の陰には赤ちゃんがいた(赤ちゃんがいることを予測していたと思う)
↓
その倒木はかなり古く、空洞ができているだろうと察した
↓
空洞の中が赤ちゃんの隠れ家になっていることを予測した
↓
そこで子供達の出入口となる幹の方(横)に回り込んだ
一緒にいた2台の車は親サーバルが倒木の後ろに姿を消したので、立ち去っていました。でも姿を消したのが倒木の裏だったことにピンときたドライバ―さんのお陰で、こんなかわいい赤ちゃんに会えたのです。
倒木←要注目ですね。冷静になればBBCのドキュメントで、バッファローに取り囲まれたライオンの群れが、倒木の中に赤ちゃんを隠すというシーンを私も見ていました。この時は目の前のサーバルに興奮してそんなこと忘れていたけれど、サファリ中はそんな知識の一つ一つが大切。
動物、季節、環境は様々な形で繋がりあっています。
共生関係、群れ、親子の繋がり、敵対関係、食物連鎖などなど。
季節も繋がっています。
長い乾季が終わり雨季へと繋がり、雨が降れば草の成長に繋がります。草が生えれば草食獣を惹きつけます。
環境も繋がっています。
川が流れ、川があれば豊かな水で森の生成に繋がります。開けた草原は草食獣や全速力で走るチーターを惹きつけ、低木が茂るブッシュには葉を食べるディクディクやインパラが集まります。
環境と動物は繋がっているし、季節が変われば環境も変化します。環境が変われば動物の行動も変わります。
サファリをより充実させるためには<自然の繋がりの先を読むこと>が大事。お気に入りのドライバ―さんには色々勉強させてもらっています。
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