橋本長道

将棋小説「覇王の譜」新潮文庫9月新刊(8月末刊行)/「サラの柔らかな香車」で第24回小…

橋本長道

将棋小説「覇王の譜」新潮文庫9月新刊(8月末刊行)/「サラの柔らかな香車」で第24回小説すばる新人賞、第24回将棋ペンクラブ大賞。元奨励会、神戸大学、兵庫県小野市/

マガジン

  • 小説家橋本長道の仕事

    雑誌掲載、小説新刊紹介などを行います。

  • 現代将棋新定跡をめぐる問題に関して

    「コンピュータ発!現代将棋新定跡」(suimon マイナビ出版)に対してプロ棋士・千田翔太六段が抗議を行い、マイナビ出版が詫び文を出した事件の経緯と論点を綴っていきます。

  • 雑文・コラム

    小説家・橋本長道の雑多な文章を置いています

最近の記事

将棋小説『覇王の譜』登場人物表

将棋小説『覇王の譜』は、ほぼすべて主人公の直江視点三人称で書かれており、人物に関する混乱は少ないとは思いますが、念のため登場人物表を作ってみました。 直江大(なおえだい) 主人公。二十五歳。C級2組。五段。 剛力英明(ごうりきひであき) 二十五歳。B級1組。王座。 師村柊一郎(しむらしゅういちろう) 三十五歳。A級。王将。 直江大の師匠。二つ名は「孤剣」。 江籠紗香(えごさやか) 二十三歳。女流五冠。 高遠拓未(たかとおたくみ) 十一歳、小学五年生。京都の天才少年。

    • 藤井聡太が現れなかった世界から 新作将棋小説『覇王の譜』

      「将棋×将棋」の新しい将棋小説 29連勝の衝撃とともに藤井聡太がデビューして以来、将棋を題材とした小説、ノンフィクション、漫画が花盛りを迎えている。ブームと言っていい。  四年前、新潮社の編集者から声をかけられた時、「困ったことになったな」と思った。私は既に『サラの柔らかな香車』と『サラは銀の涙を探しに』という二冊の将棋小説を出しており、将棋についてあらかた書き切ったという感があったからだ。漫然とならいくらでも書ける。しかし、次々と優れたエンタメ作品が出てくる中で、インパク

      • 仕事一覧&お問い合わせ

        プロフィール橋本長道(はしもとちょうどう) 1984年生まれの小説家。/将棋小説「覇王の譜」新潮文庫9月新刊(8月末刊行)/「サラの柔らかな香車」で第24回小説すばる新人賞、第24回将棋ペンクラブ大賞。元奨励会、神戸大学、兵庫県小野市/ 出版物・覇王の譜(新潮社) ・サラの柔らかな香車(集英社) ・サラは銀の涙を探しに(集英社) ・奨励会~将棋プロ棋士への細い道~ コラムねとらぼで将棋関係を中心に記事を書いています。 漫画評論、感想小説だけではなく漫画を読むのも好きで

        • 「低将」の安藤たかゆきさんと神戸で将棋を指した話

          1.安藤さんからのDM 先々月のある日、漫画家の安藤たかゆきさんからDMが届いた。Web雑誌・マトグロッソ(イースト・プレス)に連載中の「こんなレベルの低い将棋見たことがない!(通称・低将)」の取材で関西に行くことになったので、会いませんか――というお誘いだった。  「低将」は、ほぼ初心者同然の安藤さんが一念発起し将棋に目覚め、様々な人と出会い対局を重ねていくエッセイ漫画だ。  安藤さんはTwitterの相互フォロアーで、僕も何度か「低将」の感想をツイートしたことがあった

        将棋小説『覇王の譜』登場人物表

        マガジン

        • 小説家橋本長道の仕事
          3本
        • 現代将棋新定跡をめぐる問題に関して
          9本
        • 雑文・コラム
          1本

        記事

          第六回「棋譜・手順・定跡ファイルの権利について」

           本件では、関係3者が棋譜・手順・定跡ファイル等の権利についての法的知識を持たないまま事を進めた。長年将棋書籍を刊行してきたマイナビ出版にすら、そうした重要な知識の積み重ねはなかった。  今後将棋に関する文章を書いたり、コンテンツを制作する者は、棋譜・手順・定跡ファイルの権利について最低限のことは知っておくべきだろう。  本稿では、伊藤雅浩弁護士のツイートや、著作権法に関する書籍を参考にしながら、棋譜・手順・定跡ファイルの権利についてまとめていく。 +++++ ★目次 1

          第六回「棋譜・手順・定跡ファイルの権利について」

          第五回「本件における千田氏の問題点」

           本件におけるプロ棋士・千田翔太六段の問題点を検討していく。  千田氏は研究にコンピュータ将棋を取り入れた棋士の第一人者とみなされており、タイトル挑戦経験もある有力棋士だ。  しかし、批判されるべきことは批判されなければならない。 +++++ ★目次 1 問題点 1.1 初動の抗議はどうだったか? 1.2 2巡目の主張はどうだったか? 1.3 詫び文と論評 1.4 引き際の悪さ 1.5 三浦九段冤罪事件と同じ傾向の過ちを繰り返している 1.6 本件に関して千田氏の周囲の人

          第五回「本件における千田氏の問題点」

          第四回「本件におけるマイナビ出版の問題点」

           本件におけるマイナビ出版の対応には数々の問題があった。  私が本件に関して千田氏よりも、マイナビ出版に対して怒り、あきれているのは期待があったからである。全国的に有名な企業を親会社に持つ出版社として、社会的に当たり前の対応ができると思っていたからだ。  しかし、私の期待は裏切られることになったし、現在進行形で裏切られ続けていると感じている。(なんで早く詫び文を撤回しないの?大丈夫ですか?)  マイナビ出版は将棋戦術書市場において圧倒的シェアを誇る企業である。  批判点に

          第四回「本件におけるマイナビ出版の問題点」

          第三回「詫び文公開後の展開」

           千田氏の最初の抗議(8月頭)からマイナビ出版HP上での詫び文掲載(8月21日)までの出来事は、第一回、第二回で書いた。(論評ではなく事実関係だけが欲しい方は、第一回①経緯、第二回①経緯の部分だけを辿られるとよいと思う)  本稿では主に詫び文掲載(8月21日)から、本連載開始(9月8日)までに起きた出来事を時系列でまとめていく。今回はほとんどが既に公開されている情報である。取材者としての私だけが知る情報は、水面下でのsuimon氏とマイナビ出版とのやり取りとなる。 +++

          第三回「詫び文公開後の展開」

          第二回「参考文献を巡る経緯と論点」②論点

           前回は参考文献をめぐる経緯を中心に書いた。本稿では論点を中心に考察していく。 +++++ ★目次 0 千田氏の主張 1 論点 1.1 手順には権利がないので問題ない 1.2 参考文献問題と詫び文に因果関係がない  1.3 千田基準を実際に適用すると(C-bookトラップ) 1・4 floodgateでC-bookトラップを回避する 1.5 マイナビ出版の書籍は千田基準を適用していない 1.6 現代将棋新定跡と千田翔太六段作成の定跡 1.7 千田流無敵論法 1.8 論理と

          第二回「参考文献を巡る経緯と論点」②論点

          第二回「参考文献をめぐる経緯と論点」①経緯

           第一回「パクりをめぐる経緯と論点」では、「コンピュータ発!現代将棋新定跡(suimon マイナビ出版)」が千田翔太六段の「C-book」のパクり(盗作・剽窃)であるかの経緯と論点についてまとめた。  第二回「参考文献をめぐる経緯と論点」では、その後千田氏側が主張した「参考文献と引用」に関する経緯と論点についてまとめていく。(「①経緯」と「②論点」の2分割を予定)  本稿では「①経緯」を中心に記していく。 ++++++ ★目次 1 経緯 1.1 論点変更への経緯 1

          第二回「参考文献をめぐる経緯と論点」①経緯

          第一回「パクりをめぐる経緯と論点」③その他

          「③その他」では、私が現時点で言っておきたいことをとりとめもなく書き綴っていく。 ++++++ ★目次 3.その他現時点で言っておきたいこと 3.1 詫び文について 3.2 マイナビ出版の後手後手の対応 3.3 ことの進め方 3.4 著者のコスト 3.5 お願い(ですます調) 3.6 一般人のほうが面倒くさい 3.7 本件と私 ++++++ 関連 ◆第一回「パクりをめぐる経緯と論点」①経緯 ◆第一回「パクりをめぐる経緯と論点」②論点 3.その他現時点で言っておきたいこと

          第一回「パクりをめぐる経緯と論点」③その他

          第一回「パクりをめぐる経緯と論点」②論点

           前回はパクり(盗作・剽窃)問題の経緯に重点を置いて書いた。本記事では論点に重点を置いて書いていく。 ++++++ ★目次 2.パクり(盗作・剽窃)問題の論点 2.1 手順に関する権利のようなものは存在するのか? 2.2 手順のオリジナリティに関する検証 2.3 将棋書籍におけるオリジナリティ 2.4 参考文献について 2.5 本件ははじめての事態 +++++ ◆前回『第一回「パクりをめぐる経緯と論点」①経緯』 2.パクり(盗作・剽窃)問題の論点 2.1 手順に関する権

          第一回「パクりをめぐる経緯と論点」②論点

          第一回「パクりをめぐる経緯と論点」① 経緯

           今年6月に発売された『コンピュータ発!現代将棋新定跡』(suimon マイナビ出版)を巡る事件・議論・諸問題について「現代将棋新定跡をめぐる問題に関して」と題し、シリーズで書き起こしていく。  第一回では、千田翔太氏の当初の抗議内容である「パクり(盗作・剽窃)」という主張に関して、経緯と論点をまとめていきたい。  分量が多くなってしまったので、第一回は①「経緯」②「論点」③「その他」と記事を分割した。 ++++++++ ★目次 0 本記事の書き手である橋本の立場 1 

          第一回「パクりをめぐる経緯と論点」① 経緯