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スキズスンミン.2


幼稚園のプール納めがあった日。園から帰って来た次男が、イルカのマークのメダルを自慢げに見せてくれる。少年の匂いがする笑顔に、夏が過ぎていっただけでなく、その分の時間で彼が成長し少し自信を持ったことを知る。

家族の中でわたし1人が体調を崩し、子どもたちとしばらく顔を合わせず過ごした期間があった。
それが明けた日、私の顔を見た長男がポロポロと涙を流すの見て、いつも人を食ったようなことを言っている彼の熱い気持ちに触れてしまう。

男の子はこうやって成長していくんだろうか。
頑張ったことで自信を持ったり、実は熱い気持ちを隠していたり、ちょっと泣いたりしながら、青年になっていくなんて、最高過ぎてどうしたらいいんだろう。
私の息子らは、どんな青年になるんだ。

子育ての中で、何が大事で必要なのかをずっと考えている。
自分由来の自信を持っている事じゃないだろうか。
自分の中の熱い気持ちを大事にすることなんじゃないだろうか。

人が正しく自信を持つのは難しい。
結局評価を下すのは他人である社会で、自分との闘いの中で妥協せず、人の目を気にせずに本気を出して、自分の想いと向き合い諦めない事の先に在る自信を手にするのは、とても難しい。

そういうことが出来る、
自分の大事なものが何かを確かめながら、生きていく人間になって欲しい。


例えば、キムスンミン(写真上段右から2番目)のような青年になって欲しい。お母さんオタクだから、この論法でしか話せなくて毎度、ごめんね。

キムスンミンは我が推しグループのメインボーカルだ。

見た目と合ったあたたかく軽やかでクセのない、腹の奥にトーンと届く歌声、余計な感情はなく、曲で表現されいている情景だけがある不純物のない、歌に立ち向かうような歌唱。
高音にかけて、逃げずに音をぶつけるキムスンミンを見ると、私はその無垢だけど、確かな様子に我が推しグループのメインボーカルを誇らしく思う。


彼が実際どんな青年なのか知る由もない。

親御さんが堅い仕事をされていると噂される彼は、姉のいる末っ子。そのことだけでも、良いとこの一人息子だと分かる。私も人の親だが、一人息子がアイドルになりたいと言い出したとき、その背中を押せるキムスンミンの親御さんの親としての心構えを心から尊敬する。

そんな親御さんのもとで育ったキムスンミンは根本を大事にする努力の人とよく言われる。
JYPの公開オーディションを受けて事務所に入所し、練習生期間はそんなに長くない。
サバイバルを経てからのデビュー後はリードボーカルのような曖昧な立ち位置で、強い個性はなく埋もれてしまうような、そんな時期が長くあった。その中で腐らず毎日の練習を続け、レッスンに通い毎日練習日記をつけて、彼は音域を広げてみせる。その意志の強さで、スンミンが愚直なまでに自分の信じる道を進もうとする彼の事をメンバーは「メンタルが強い」と言う。思い込んだら試練の道を行くが男のど根性(©︎巨人の星)を地で行く星飛雄馬っぷりである。(スンミンは野球が大好き)

ストレイキッズは、元々9名でデビューした。
初の音楽番組1位を獲ったその年、脱退したのはメインボーカルだった。
アルバム発売が決まっていたタイミングでメインボーカルが脱退し、結果、アルバムは発売延期となる。

メインボーカルが辞めても歌割りを振り分け、これまでの曲もメインの不在を、どうにか出来てしまうほど、ストレイキッズにはボーカルライン以外にも歌唱を得意とするメンバーがいる。その猛者たちの集まりの中で、

8人となり発売が延期されたアルバムの表題曲「leventer」(韓国語の題名【바람】は風という意味:ヨーロッパに吹く東風の事)



どのサビにもキムスンミン出てくる泣
で、メチャクチャに上手い(めちゃくちゃ泣ける)
これからどうするのか、グループとしてどう変わっていくかを決める時に、メインボーカルはキムスンミンに任せようと誰かが思ったんだよ(全部虚妄だけど泣ける)
キムスンミンにはその準備ができていると、歯を食いしばって立ち向かってくると、彼を信じたんだね(大虚妄号泣)


それから2年以上経った今、キムスンミンは、ストレイキッズのメインボーカルとして他の歌手と共演し、ドラマのOSTにソロで参加するほどの存在になった。
歌の実力を認められ、どこに出しても恥ずかしくない我らがストレイキッズのメインボーカルだ。

ここまでのキムスンミンが描いた軌跡を、順番だったしそんなもんだろうと思うことは出来ない。周りの期待と今まで自分に求められていたものとの差や、メンバー内でも歌の実力のあるメンバーとの間で問われる自分の実力を、どう乗り越えたのか。同じ土俵に立っていないわたしが、彼はメンタルが強いから出来たと、簡単に言えない。

キムスンミンはいなくなったメインボーカルを埋める存在としてでなく、ストレイキッズの新しい風「바람」として、グループに必要なメインボーカルになった。

その間、キムスンミンの優しげな眼差しがずっとまっすぐ見つけ続けていたものを思うとまた泣きたくなる。


デビュー前のサバイバル番組の頃から、彼は自信なさげだったり、自分のことを卑下したりすることはない。生意気なわけでもなく、いつも本気で彼は自分のやるべきこと、自分の歌に向き合ってきた。任された役割を、まっすぐ逃げずに受け止め続けてきた。

彼は何も変わっていない。変わったのは周りの見方だ。周りの勝手な評価や期待だ。

どんなに自分との闘いの中で妥協しなくても、人の目を気にせずに本気を出しても、結局評価を下すのは他人である。その中で、自分の想いと向き合う事を諦めないのは、自分の気持ちにきちんと気づいて大事にするのは、本当に難しい事だ。

プレッシャーを跳ね除け自分由来の自信を底上げした今のキムスンミンは、見た目も行動もデビューの頃から変わっていないのに、デビューの頃の何倍もかっこいい。

男の子のかっこよさってこうやって、後からはちゃめちゃに出鱈目な位の伸び代があるものなんだ…と目を見張るものがある。

大体いつも真顔のキムスンミンは、何を考えているのかよくわからない男だが、突然ライブで男泣き見せる。
後日、その涙の意味を、ライブのできないコロナ禍の日々を超えて、応援してくれる人の姿を生で見て、自分が何がしたくてここにいるのかを思い出したと真顔のキムスンミンは教えてくれる。おそらく物凄く本心なのだろうと思う。すごく真顔だけど。


経験や感情を自分の自信にして、大事なものが何かを確かめながら、素敵な青年になっていく。


男の子を育てるっていうのは、こういう事が起こる事なんだろうか。

キムスンミンの親御さんが彼が進もうとする道を止めなかったように、私も親としてそうでありたいと思う。
何か合ったときに、信じて任せられるような心構えでいたい。

で、あわよくば、私の息子らにも、キムスンミンくらいカッコよくなって欲しい。
キムスンミンのことを目指してほしい。
スタートは早い方がいいから、もう今から頑張っていってほしい。
遠慮しないで伸び代見せて欲しい。早く。

お母さんオタクだから大体この論法だけど、ごめんね。

長男になんであの時泣いたのかを聞くと、長男もキムスンミンにまけないほどの大真顔で
「俺は、ちーちゃんの事が好きなんだなと改めて思ったんだよ。」と言う。

わたしの子育て、間違っていませんように!!!!

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