昔、タレントのRIKACOが自分の陰毛に白髪を見つけたが受け入れられず、自分の子供に白髪を確認してもらったとテレビで語っていた。刺激的な話題だったので、強く印象に残っている。

一人で見ていたお昼の番組で、ノースリーブから出た綺麗な二の腕で身振り手振りを交えて、RIKACOは語る。

わたしは思う、RIKACOはやべえ。し、多分すげえ。

今もなお現役で綺麗な彼女（RIKACO）をみると、わたしはいつも、この妙なエピソードを思い出す。

２０１９年、夏、無毛の韓国アイドルにハマるよりも先に、わたしは「毛」には、そちら岸のあることを知る。

その日、２０年来の友人たちと居酒屋で枝豆の食べ比べをしながら、何の話の流れだったのか、わたしたちは自身の陰毛の有無について語り合った。久しぶりの集まりだったが、ソーシャルディスタンスもクソもない、情報の殴り合いだ。長い友人関係の彼女たちのまだ知らない一面に驚き、毛のある私は、毛のない彼女たちに置いて行かれたような気分になる。ちょっと前まであんなに小さかったのに…と、親戚のような気持になり、無毛を語る彼女たちの口元を見る。
振り返らず、間に流れる河を飛び越えていった者たちが、こちらを振り向く姿は眩しい。
その日、陰毛の有無に関しては引き分けのきらいを見せた。脇はエステ脱毛をしたが陰毛には手が出ないとひより、ひげの為に全身脱毛するしかないとカミングアウトし、無毛は感染症予防になると誰かは言い、温泉で醒めた目で見られるくらいは乗り越えろと鼓舞し、急に失くしたら驚かないだろうかと心配をし、ブラジリアンワックスは経験したが良いとも悪いとも思えなかったと語り、白髪はレーザーに反応しないから、やるなら陰毛が白髪になる前にやれと口々に言う。黒いものに反応するレーザーは白髪には反応しない。
あの頃のRIKACOは何歳だったのだろう。ノースリーブから出たRIKACOの鍛えられた美しい二の腕を思い出しながら、わたしは考えていた。

わたしの他にもう一名の有軍であったはずの彼女も実は私と同じ気分だったのだろうか、先日会った彼女は、華麗なる無軍への鞍替えをしていた。

こちら側に一人。
深い河は私のこの置いていかれたという幼稚な思いも飲み込むだろう。飛び込んでしまいたくなる。流れに任せて、行けるところまで行ってみたいと感じている。その後もいろいろな話をしたはずだが、わたしはずっと彼女たちから無くなっていく陰毛のことを考えていた。
RIKACOの言う陰毛に白髪を見つけた戸惑いが、有識者の言う「白髪には反応しないから、レーザーやるなら早めにやったほうがいいよ」が、無毛の脇の韓国アイドルが、目に写る全ての事がメッセージだったような気がしてくる。

２０２２年、６月。

我が推しであるヒョンジン君が所属しているグループstraykidsは今、ワールドツアー真っ只中である。

ソウルから始まり、日本、アメリカと周るが、今回、彼らが３年ぶりに日本に来ることを記念し、無毛の脇のヒョンジンくんと真っ向勝負を挑むために、わたくしめも無毛となるべく、深い河を飛び越えました！！！！！

ヒョンジン君来日記念全身医療脱毛（全然1回目）！！！！！

施術は目が回るほど忙しく、色々話しかけられるし、思ってたより全然痛いし、こっちは全裸だし、ちょっと記憶が飛び飛びで、ちゃんと思い出せない。今後あと何回か、あれが待っていると思うと、出来るか不安。

もう全然行きたくなくて、困ってる。来日してくれないとあの河もう超えられないから三か月に一回、わたしの脱毛周期に合わせて来日して欲しい（本気と書いてマジ）

もう全然秘密だけど、レーザーは白に反応しない為（何度言う）、自分にも元気よく白髪の陰毛が生えている事を目視してしまい、前のめり（股のめり）で、ギョッとしてめちゃくちゃに萎えたと言う事。
真昼間のテレビで言っちゃうのも、息子に確認してもらうのも、全然あり得るほど、公共のnoteに書くくらいには萎えるということ。受け入れられず何度も確認してしまうという事。
RIKACOの気持ち超分かる。あのRIKACOに私、今追いついちゃってるという事。すげえし、やべえって事。

あってもなくても、こんなにわたしをかき乱す毛ってなんなんだろうって事。

無毛の脇のヒョンジン君は指毛が未処理でも、それはそれで生きてるって感じで、

今日も綺麗だって事。

今、確か、なのはこんな事。