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「手をとって和裁を教わるということは、かぎりのあることですから、和裁をなさる多くの方が、図解を見て、説明文を読みながら、細部にわたってよく理解できる本をどんなに望んでおられることでしょう。」

こういう本は、見つけたときに手にとらないといけないんですよ。

滝沢ヒロ子著『新しい和裁全書』(永岡書店、1992年)

いま出版年をみて、意外と新しいな?と思いました。
新しいったって、もう30年前なんですが。
……そうか、90年代って、もう30年前なんだ……

「はじめの一文」でいうと、こういう本もけっこう難儀するもので、なぜといって口絵の部分に解説がついてるじゃないですか。
でも今回は口絵はとばして、はじめの「推薦のことば」から取りました。

わたしは洋裁の経験があるのでその気になったら(もう2度とその気にならない見込み)わりとなんでも作れるのですが、それは基礎の技術を徹底的に仕込まれたからです。
だから、簡単な手順しか載っていない本を参考にしても作れる。

でも、大人になってそんなにがっつり時間を割いて新しい技術を学べることってないんですよね。
特に趣味の領域では。
ということを、わたしは昨年和裁をやってみて思いました。
あれはね、先生付きっきりじゃないとできない。

もちろん、先生付きっきりだからこそ学べる「カンどころ」みたいのはあるので、お教室に通えるのが一番です。
でもお教室ってそれなりにお高いじゃないですか…… 技術を学ぶので当然なんですが。
その点、基礎をぎっちりと詰め込んでいる「全書」みたいな本は本当にありがたいです。

この本は、和裁の基礎からはじまって、女物の仕立て方(浴衣、単、袷、羽織、道中着、襦袢…)、男物(同様)、子供物、赤ちゃんのきもの、と本当にさまざまな種類のきものの作り方が載っています。
図解は絵で、細かく指示書きがされていて、わたしはこういう本はわかりやすくていいなあと思います。
実際のところ、本物の生地で縫っているところを写真でとるより、図解として絵でかいてもらったほうが、手順や細かな注意点がわかりやすいんですよね。
ましてや、動画などでは自分のペースで進んでくれないので、やっぱり作り方を学ぶなら本がいいと思います。

いやあ、たまたま寄った古本市でしたが、いい買い物ができました。
こういうのは出会ったときに買わないと、次がないですからね。

昨年の夏から放りっぱなしの和裁に手をつけられるのは次はいつか、と思いはするのですが、これを見れば少しは自分で進められるかもしれません。
いつか出番があるといいな、せっかくの本だし。


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