神木宮愁人

最近ハマっているHADOというスポーツを題材にした小説『60 BULLETS IN 8…

神木宮愁人

最近ハマっているHADOというスポーツを題材にした小説『60 BULLETS IN 80 SECONDS』を書いています!

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  • 60 BULLETS IN 80 SECONDS

    テクノスポーツHADOを題材にした神木宮愁人作のスポーツ小説。初回は日曜でしたが隔週で金曜更新の予定。

  • HADO参考記事

最近の記事

BULLET 5

「うぉぉぉぉお!!!」 「ユイ先輩マジかよ!」 「決まったぁ!」 “1-0” 遂に試合が動いた。 ユイは間髪いれずに前へと詰め、センターライン真ん中より少し自陣に入ったところでシールドを展開すると、コート後ろ角で復帰を待つ佑真の前に浮かぶ“K.O”の文字が消えた瞬間、柔らかな動作で腕を振り出した。 リスキルを狙った弾はしかし、前への動きで射線から逃れた佑真の冷静な判断によってコートの隅で弾けた。 そのままコートの前角に詰めた佑真を避けるようにユイは反対サイドの前角にポジシ

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    • 【小説】BULLET 4

      片足に深く体重をかけて沈み込む。 体を左右にゆらゆら揺らしながら腕を振る。 コート隅に備え付けられたカメラが、それぞれに調子を整えながら対峙する二人を斜めから捉えていた。 僕たちに教えながらプレイしていた時より明らかに集中しているユイの様子がモニター越しでも伝わってくる。 ワールドカップ出場選手が相手だというのに、全くプレッシャーを感じているように見えない。 「佑真さん彼女いるんですかね?」 チエリは僕と全く別のベクトルで成り行きを見守っていた。 「ユイ先輩に振り向いてほしく

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      • 【小説】BULLET 3

        「じゃあこのまま詩音と武田君と彩菜が赤サイドで」 ユイから一通りのレクチャーを受け僕達はいよいよHADOの基本形式である3on3で実戦を行うことになった。 右手に装着したアームデバイスに表示されている数字は左から3331。それぞれが表すのは、弾速、大きさ、チャージ速度、シールド耐久のステータスで、数字が大きいほど能力も大きい。一人に与えられているステータスは合計10だ。本来なら戦略や各々の得意不得意でステータスを変えていくのだろうが、赤サイドのステータスは全員3331にした。

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        • 【小説】BULLET 2

          線路の向こうに見える誰もいない古いホームの上から大きな緑の屋根が突き出している。 「今は使われていないホームだけど、たまにイベントで使ってるんだよ」 僕の視線を勘違いしたユイがそう説明してくれた。 「ああ、そうじゃなくて奥の緑の屋根は?」 「あれが国技館だよ」 両国に移動する総武線の車中でユイの話を聞いたり、動画やテキストを見て少しHADOについて学んだ。 PVはあくまでも未来のイメージであり、実際の操作性やビジュアルは異なること。PV並の大観衆が観戦する大会はまだ行われてい

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        • 60 BULLETS IN 80 SECONDS
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        • HADO参考記事
          6本

        記事

          【小説】BULLET 1

          3限が始まって人が少なくなった理学部棟の池の淵でスライムを突っついていた。もちろん本物ではなくてドラクエウォークのAR機能で表示させたスライムで、突っついているのはスマホの画面だ。 大学4年だというのに少なくない単位を残している僕は、本来なら細胞生物学の授業に出席していなければいけないのだが、いつものように全く気が乗らず、理学部棟まで来たはいいものの、気が付けばベンチに座ってスマホをいじっているのだった。 同期の大半は卒論以外の単位を取り終えて、卒業旅行の資金を作ろうとバイト

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          【小説】BULLET 1

          【小説】CHARGE

          人は80秒で何が出来るだろう。 本なら何ページ読めるだろう。 英単語ならいくつ覚えられるだろう。 80秒は日常生活において、そして人生においてもほんの短い時間だ。 しかし、この短い時間にどれだけの選択と行動を繰り返し、それをどれだけ積み重ねていくかはとても重要なことだ。 僕らの目の前にいる六人と彼らを取り囲む人々は80秒という時間がどれだけ濃密になり得るか、きっと世界中の誰よりも知っている。 走り、止まり、屈み、跳び、腕を振る。 そして同時に相手がどう動くのか判断する。 そう

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          【小説】CHARGE