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アンストイックダイアリー

アンストイックダイアリー


・     プロローグ
・     当たり屋
・     チョメコー
・     ワールドカップ編
・     札幌旅情編
・     鬱編
・     冬山ボード編
・     高知旅情編
・     逝ってこいニッポン!
・     エピローグ
 

主な登場人物


エースケ 26歳B型、都内某企業で働くマーケッター。

 
アツシ  26歳A型、都内の外車専門の中古車販売店で働く営業マン。

 
サトル  25歳O型、神奈川県内にある大手自動車販売店で働くメカニック。

 
ユウ   26歳O型、神奈川県内にある釣具販売店で働くショップ店員。

プロローグ


 世の中において、多くの人々が平凡である。平凡という言い方が気にいらなければ普通の人、いわゆる「一般人」である、としておいてもらおう。


 しかし、その「一般人」の中において明らかに家柄、職業ともに一般的であるのにかかわらず、一般的であることを嫌い、自らの個性や考えを際立ったものだと信じ、

    とにかく楽しい方面へ生かしたい。

    日々楽しく暮らしたい。

    そんな楽しい暮らしをしながら将来を考え、少なからず抱いている夢を実現したいと思っている青年は恐らく、大勢いる。


 春が来れば、

「あたたかくなったねー」

    などと言いつつ夜の街へ繰り出し、

    夏になれば、

「開放的だねー」

    などと言いつつ夜の浜辺へ繰り出し、

    秋が来れば、

「なんだか鬱っぽい」

    などと言いつつハードボイルド小説を読み漁り孤独感を深める。

    冬が来れば、

「いよいよボードの季節だねー」

    などと言いつつ毎週のように雪山を目指す。

    簡単に言えばそれの繰り返しである。

    しかし、ただそれだけでは語りつくせないから人間ドラマが成り立つ。

    普通の人なら学生生活を終えると社会人になる。

    社会に出たての頃といえば、フレッシュマンである。

    望むと望むまいと自らが選んだ道を正しい選択であったとすべく、仕事に対しては意外とガムシャラに取り組んだりしていたりする。

    そうなると、友人との付き合いは疎かになりがちで、休日は彼女と会うのが最優先となり、職場の方面が違うとなかなか会う機会もなくなっていく。

    しかし、そんな年月を経ながら旧友と会う機会は次第に増えていく。

    結婚式のお誘いなどがいい例だ。当時の付き合いが密であればある程、この誘われ方も簡素で乱暴なものである。

    自宅に届く招待状には宛名だけが見るに耐えない程の汚い文字でドーン!!と極太マッキーで手書きされてあったりする。

    その時はとうとう怪文書が届いてしまったかと思ったぐらいだ。

    電話だけで済まされることもある。


「エースケ?久しぶりー。元気―?」


「おー!!ユウか!!久しぶりー!!元気元気―!!」


「最近どーよ?」


「うーん、最近てゆーか、いま沖縄に旅行に来てるんだよねー。沖縄って初めてなんだけどさー、なかなか日本らしからぬ開放感に満ち溢れててスッバラシーとこだよー。ユウは?」


「オレ?実はさー結婚するんだよ」


「マジっすか!?いつ!?」


「マジさー。五月なんだけど、式の乾杯の挨拶ヨロシクな」


    などという風に。

    しかし、こういう事がきっかけとなり、近況報告も兼ねて近々飲みにでも行こう。という風になる。

「なあユウ、アツシとはたまに会ってるけど、サトルはどうしてるかなー?」


「彼女探しに燃えているらしいよー」


「ナルホドなー。じゃー、とりあえず二人にはオレから連絡しとくから」


    この乱暴極まりない結婚式のお誘い及び乾杯の挨拶依頼という一本の電話が全ての始まりだった。

    これを機に、仲の良かった四人の青年たちが再会し、そこから移り変わっていく環境や、四季折々の出会いと別れ、そして現在に至るまでの出来事を綴った物語なのだが、なにせ四半世紀近く前のことなので、きちんとかけるか分からない。

    当時のビデオカメラで撮った模様や、関係者へのインタビューも交えながら徐々に書き進めていきたいと思う。


次章
当たり屋へつづく

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