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便秘集中講義の第9回では、ワスレグサの一種が便秘予防の野菜として期待できるという研究成果をお話します！ワスレグサは、鮮やかなオレンジ色の中国大陸に由来する植物で、日本の本州から九州にかけて7月から8月に確認できるとされています(環境省 皇居外苑ニュースより)。そんなワスレグサの便秘に与える効果について調査したのが、2023年3月2日に発表の"Study on Anti-Constipation Effects of Hemerocallis citrina Baroni through a Novel Strategy of Network Pharmacology Screening"です。ワスレグサとはどのような植物か迫った上で、研究成果のお話をしていきます！

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ワスレグサとその一種

ワスレグサは、中国大陸に由来する植物で、日本の本州から九州にかけて7月から8月に確認できる1)、美しい花を咲かせる植物です。

ワスレグサの名前は、「この植物を植えると悩みを忘れるとする言い伝えがあることから付いた」とされています1)。また、ワスレナグサという植物もあるそうです1)。今回の研究では、ワスレグサ属の中でもユウスゲに着目しています。

ユウスゲ(Hemerocallis citrina Baroni)は、黄色の大きな花を咲かせることで知られており、中国原産のウコンカンゾウの変種とされています2)。

乾燥したユウスゲは、食用や薬用として知られており、抗うつ効果なの効能が古い医学書には確認されています。ユウスゲの効果は消化器へも期待されており、ユウスゲに含まれる700以上の化合物の中で、フラボノイドや多糖類が腸の機能に対して有用であることが先行研究から示唆されています。そこで、便秘に与えるユウスゲの影響を本研究のスコープとして、調査しています。

便秘モデルマウスを用いた実験と評価

本研究では、BALB/c系マウスに対してロペラミドを投与することで便秘モデルマウスを作成し、乾燥したユウスゲの懸濁液を用いてユウスゲの影響を2週間に渡って調査していきます。他にも、盲腸における短鎖有機酸のガスクロマトグラフィーによる定量、盲腸の腸内細菌叢解析、遺伝子発現量の調査などを行いました。

乾燥したユウスゲの投与によりマウスの便秘が改善

調査の結果、ユウスゲの投与によりマウスの便秘症状の改善や盲腸内細菌叢の変化が確認されています。

• 便秘モデルマウスにおいて乾燥ユウスゲの懸濁液投与がマウスの排便回数を促進

• 盲腸内細菌叢において、Akkermansia, Bifidobacterium、Flavonifractorは増加し、 HelicobacterやVibrioは減少することが確認された

• 大腸組織の遺伝子発現量を解析した結果、736種類の遺伝子の発現量が変化し、92種類の遺伝子がアップレギュレーション、644種類の遺伝子がダウンレギュレーション

本研究では、ユウスゲのどのような成分が便秘に影響を与えているかまでは明らかに出来ていません。この点について明らかになれば、同じ成分をもつ異なる野菜や薬草についても再評価を行うことができ、食品としての価値が高まると考えられます！

以上、ワスレグサの一種であるユウスゲが便秘改善につながることを示した研究のご紹介しました！

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また次回、お会いしましょう！
本日も一日、お疲れさまでした。

参考文献

Liang, Yuxuan et al. “Study on Anti-Constipation Effects of Hemerocallis citrina Baroni through a Novel Strategy of Network Pharmacology Screening.” International journal of molecular sciences vol. 24,5 4844. 2 Mar. 2023, doi:10.3390/ijms24054844

1) ワスレグサ（忘れ草） 皇居外苑ニュース、環境省、2020年7月3日、Access: 2023/03/20, URL: https://www.env.go.jp/garden/kokyogaien/news/2020/07/post_381.html

2) ユウスゲ（別名：キスゲ、アサマキスゲ）, 東京大学大学院 理学系研究科附属植物園日光分園, Access: 2023/03/20, URL: