積み木で作った塔の上に、サイを乗せる。私は、ドキドキした。塔が倒れちゃうんじゃない？サイじゃなくて、リスならいけるかもよ。でも、私は声にしない。私は、あなたがリスじゃなくてサイを積み木に乗せる姿を、じっと見つめながら、信じる。「倒れないで！」

同じ積み木であなたとオリが遊んでいる。オリのつくっている塔が倒れた時、オリが癇癪を起こした。「もう一回やろうよ！」と、あなたは、怯まずにいう。オリは、怒りをすっかり忘れたかのように、また塔を建て始めた。あなたの番になって、建てている塔が倒れたら、オリと一緒に笑って、また新しく建てはじた。「カイって、怒らへんな。癇癪起こさへんで、またやり始める。なんでや。」オリのお母さんが、私に言った。

でも、いつしか、あなたは、積み木にサイを乗せるのをやめた。「リスは乗るでしょう。」私は、声に出して言った。あなたは注意深くそこにとても小さな正方形の木の塊を乗せた。とても器用に。でも、いつか倒れてしまうんじゃないかと、ヒヤヒヤしていたのは、あなただった。

積み木の土台をしっかりしなきゃいけない、とあなたは言った。作り上げてきた塔の隙間に、小さな木の塊を入れて、補強していく。丁寧に、小さな木を、いろんな形の木を、はめていく。石灰をそこに流し入れちゃえば、もう二度と倒れないかも知れない。だけど、そうしたら、木の振動が抑えられ、木の動きを完璧に妨げる。

いろんな形の木。それを、積み木の土台にはめ込んでいく。丸い木と四角の木の間には、小さな隙間ができる。長い木の塊は、土台からはみ出す。だけど、それで土台は強くなる。

私は、そんなあなたを見守って、信じていく。