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ガラクタ屋さん創立30周年をお祝い

世界中のカメラ店をあっちこっちして、ガラクタカメラとかガラクタレンズとか、忘れ去られたアクセサリーなどを探し出すと言う楽しみを私は1970年代にオーストリアのウィーンで知ったのである。ガラクタカメラ屋さんからガラクタカメラ屋さんを歩いている間についでにスナップ写真も撮影した。それらのスナップ写真を今発表したりそれらを販売したりしているわけだから私の写真の仕事の重要な部分をバックアップしてくれたのはライカよりもガラクタやカメラなのだ。

この極東の日本でも同じような私の写真家としての生活パターンができたのは30年前に開店したガラクタ屋さんによるものが大きい。もちろんにだいめさんの父上の本家買取職人さんがやっているお店が超有名ではあるのだが、こちらは買取専門であるから自分の持っているカメラやレンズが減るのが問題なのである。それでもっぱら私のカメラ散歩コースは佃島からあちこち回ってガラクタ屋さんと言うことになる。

ガラクタ屋さんが創立30周年で期間限定で来店のお客さんに記念のバッチとこの本を差し上げると言う太っ腹なので、私も手元に本がないからガラクタ屋さんに行こうと思う。この本が出た21世紀の最初の数年間の時代にはまだフィルムクラシックカメラとかクラシックレンズは過去のものであると言う認識があって、言い方を変えれば時代遅れの古いメディアであったのだ。ところがそれから10数年が経過してみると若い世代を中心にフイルムカメラの魅力というのが発見されてここのところちょっとしたブームになっているのが良い。

そのブームが本物だと私が思うのは、1部の連中しかその魅力に気がついていないと言うことである。全日本的なブームと言うのは信用ができないしすぐ廃れてしまうのである。ほら、今流行の蛙の卵みたいなのをストローで飲む流行ものがあるでしょう?

ガラクタ屋さんで何が魅力かと言うと自分の貧困なカメラが欲しいレンズが欲しいと言う想像力よりも、ガラクタ屋さんの在庫の方が私の貧困な想像力を超えていると言うところにある。だからこれは大げさに言えば写真家のクリエイティブな部分を伸ばしてくれる得難いスペシャルショップと言うことになるのだ。

世界でもなかなか存在しない不思議なスペシャリストのためのスペシャルショップになったと言うのがこの30年の一大成果である。

開店30年おめでとうございます!!!


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