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スポーツ報知が激推しするFC東京の新本拠地(代々木アリーナ)報道を整理した ※追記あり

今年もこの時期がやってきました。スポーツ報知による代々木公園新スタジアム構想の報道です。

ご存じの方も多いと思いますが、スポーツ報知のこの報道は実に7度目。しかも定期的に発生します。「時候の挨拶かな」と指摘を受けましたが、仰るとおりです。お中元お歳暮のような感覚すらあります。もうそんな季節か。

さて、Twitterでいつ頃報じられてきたか書いていたのですが、折角noteを利用しているのですから時系列に並べてみました。なお、見落としがあったりしたら教えてくださると助かります。

※2018年9月13日に続報があったため末尾に追記しました。

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①スポーツ報知第零報(2016年12月30日)

そもそも代々木公園に関する報道が出る前に抑えておくべき報道がこちら。新国立競技場をFC東京(と鹿島アントラーズ)の新本拠地にしてはどうかという報道です。2016年の年末のことでした。

五輪後は黒字化を目指すため、政府はサッカーなどの特定クラブの本拠地としての利用を可能とする方針を固め、Jリーグ側に既存クラブの移転が可能かどうか検討を進めるよう要請した。政府関係者は取材に「Jリーグのクラブが東京23区内に存在しないのは今後のサッカー界の発展につながらない」と問題点を指摘。その上で、「1からクラブを作るのが難しいのであれば、既存クラブの移転が可能かどうかも検討している」と明かした。候補は首都圏のクラブが有力とし、鹿島とF東京の名前が挙がっている。

新国立競技場の話をすると長くなるので割愛しますが、急にFC東京の新本拠地の話題が降って湧いてきました。この頃から新本拠地の検討は始まっていたのかもしれません。

②スポーツ報知第一報(2017年7月29日)

その上で、翌夏に飛び出したのが代々木公園スタジアム構想です。

複数の民間事業者が東京都に対し、渋谷区内の都立代々木公園内に複合型サッカー専用スタジアムの建設を提案していることが28日、都関係者らへの取材で分かった。スタジアムは約4万人規模で、総事業費は約400~500億円を予定している。サッカーJ1・F東京の本拠地化を目指しており、資金は民間事業者が負担する。建設開始は2020年東京五輪・パラリンピック後で、25年までの完成を目指す。
計画案によると、サッカー以外にも若者文化の発信拠点である渋谷のブランドを生かし、エンターテインメント要素を取り入れた複合型スタジアムを目指すもよう。試合開催日以外は音楽フェスやさまざなイベントなどを開催し、稼働率を高めていく。商業施設や飲食店などを併設する可能性もあり

「4万人規模」「建設費は400~500億円」「複合スタジアム(サッカー+音楽イベント+商業施設等?)」「複数の民間事業者が提案・負担」という内容。突然降って湧いた話だったので話題性十分だったように思います。ただ、前述しましたようにこの話題はスポーツ報知だけが報じている話題で、他紙が追随したという話は確認できていません(強いて言えば後追いのサカダイ。他にもあったら教えてください)。

建設予定地は、代々木公園内の南部にある球技場と織田フィールドと呼ばれる陸上競技場周辺。NHKの渋谷放送センターに隣接した場所になる。

立地はこのように説明されています。ちなみに前述した新国立利用の話はどうなったかというと…。

政府は26日に新国立競技場を東京五輪後に球技専用とする方針を固めた。運営権を民間に売却する「コンセッション方式」を採用し、公募で事業者を募ることになる。Jリーグクラブの本拠地化を視野に入れているため、運営権を買い取った事業者からF東京が借り、新国立に移転する案もあるが「クラブ単体では難しい」との指摘もある。

このように述べており、新国立をFC東京の本拠地にという話はぽしゃった模様。その上で、代々木が新候補地!という話がぶち上がりました。細かい話は他にもありますが、長くなるので各自確認してください。

③スポーツ報知第二報(2017年7月30日)

第二報としてカウントしていいのか微妙な記事ですが、報道の翌日にFC東京の大金直樹社長がスポーツ報知のインタビューに答えています。

大金直樹社長(50)は「実現は不明だが、FC東京としてはそういう方向になればいい。代々木公園はアクセスがいいし、(地盤を築いてきた)多摩地域の人にとっても来やすい最高の立地」と話した。現在は味の素スタジアム(調布市)を本拠としているが、クラブは今後の発展のために、東京23区内にサッカー専用スタジアムを作ることを目標に掲げてきた。

報じた当人が当たり障りのないコメント貰ってきて再度報じてるだけなので割とどうでもいい気はする。

④スポーツ報知第三報(2017年8月1日)

その2日後、スポーツ報知は続報を投入します。

そのため試合日以外は音楽フェスやイベントなどを多数開催し、稼働率を高める必要性がある。そこで検討されているのがアリーナだ。グラウンドは球技専用だが、音響なども考慮し福岡ヤフオクドームのような開閉式の屋根を設置することが浮上。

スタジアムの構造というか活用方法の詳しめな話が出てきました。ノエビアスタジアムや豊田スタジアム(現在停止中)のような開閉式の屋根を導入したいそうです。

また、「若者文化の発信地である渋谷のブランド力を生かしたい」というフレーズがしつこく出てきますので、音楽イベントとの共存は確定事項なのでしょう。そうなると確かに屋根は大事。サッカーでも大事だけど。

⑤スポーツ報知第四報(2017年8月18日)

2週間後さらに続報。ただし、記事のメインテーマはミクシィのプロスポーツ界参入です。

また、ミクシィが五輪を見据え、将来的にスタジアム・アリーナを整備する構想もある。場所は渋谷区などが候補に挙がっている。施設は屋根を設置してバスケ、サッカー、ライブなどを想定。スポーツ開催日以外にも人が集まることができる場所を理想としている。

これまで、複数の民間事業者が渋谷区の代々木公園内の陸上競技場周辺を再開発する計画が判明。同場所は建築物の高さや面積などに一定の制限がかかる「風致地区」に指定されており、渋谷区の担当者は「さまざまな規制がある。スタジアムなどを建てる場合は国、都、区との協議や手続きが必要」としている。

ミクシィのプロスポーツ参入の話の流れから明らかに無理矢理代々木スタジアムの話に繋がっている辺り大変臭い。ただ、これだけでは代々木スタジアムの続報と言っていいのか微妙だと感じる方もいるかもしれません。なので第五報を確認しましょう。

⑥スポーツ報知第五報(2018年1月5日)

夏の4連発の後しばらく大人しかったスポーツ報知が動き出したのは、半年経った年明けのこと。今度はFC東京とミクシィの鎖骨スポンサー契約から話が派生。

今回の契約を機に大きく動き出すのが、東京23区内にサッカー専用スタジアムを建設する計画だ。

今までお前達が報じていた話題はなんだったのだ。小さく動いていたのか。そうか。

そのため、クラブは数年前から23区内にサッカー専用スタジアムの建設、移転を目標に掲げてきた。さまざまな候補地を検討しているが、理想は都立代々木公園(渋谷区)の南部付近だ。球技場や野外ステージの既存施設周辺で、3~4万人規模のアリーナ型スタジアムを検討。建設費は300~400億円と試算する。

建設費が400~500億円から300~400億円に、収容人数も4万人規模から3~4万人規模にスケールダウンしたのが気になりますが、概ね以前と同じ話。

ここでついに候補地地図も表示されるようになりました。第一報で説明されていた「代々木公園内の南部にある球技場と織田フィールドと呼ばれる陸上競技場周辺」ですね。陸上競技場周辺というか陸上競技場にかかっているのはちょっと気になりますが。

これで第四報も一連の報道の流れにあったと認めて頂けますでしょうか。

19年末に完成する新国立は、政府が五輪後に球技専用として改修する方針を固めている。水面下でJリーグ首脳らに新国立の運営権の取得を含め、Jクラブの本拠地として使用できないか打診したが、年間約24億円の高額な維持管理費がネックとなり、難色を示している。F東京にとって、新国立への移転は現実的な選択肢とは言えず、集客が見込め、収益を生み出すことが可能な「自前スタジアム」への建設へと舵(かじ)を切った。

なお、新国立の話はここでバッサリ切り捨てられました。

⑦スポーツ報知第六報(2018年1月6日)

その翌日、スポーツ報知は迷走します。

F東京が主体となって、東京23区内に3~4万人規模のサッカー専用スタジアムをつくる構想をめぐり“自然一体型スタジアム”を検討している
関係者は「憩いの場である公園にふさわしい自然と調和した新しいスタジアムを目指したい」と話し、環境に配慮した計画になる見込みだ。構想段階だが、候補に挙がるのが古墳スタジアムだ。

「~~サッカー専用スタジアムをつくる構想」→わかる
「公園にふさわしい自然と調和した新しいスタジアム」→分からなくはない
候補に挙がるのが古墳スタジアム」→まったく分からない

この日、F東京の大金直樹社長(51)は「守秘義務があるので何もコメントできません」と話した。

記者「社長!古墳スタジアムを造るという話は本当ですか!」

こんな聞かれ方したら自分もノーコメントだわ。こんな聞き方したか知らないけど。というわけでどう取り扱っていいかも分からないので飛ばします。

⑧スポーツ報知第七報(2018年9月11日)

そして、迷走した事を反省してか8ヵ月間沈黙を守っていたスポーツ報知ですが、目が覚めてしまったらしく再びこの話題を報じました。

昨年7月の本紙既報通り、ライブやイベント会場、東京23区内初の大規模サッカー専用スタジアムとしての利用を見込んでおり、実現すれば渋谷の新たなシンボルとなる。

たぶん他の誰も報じないから敢えての「本紙既報通り」なんだろうな…。

ついに行政も動き出した。昨年から民間事業者が進めていた「多目的アリーナ計画」について、都と渋谷区が本格的に検討を始めたことが判明。建設費は民間事業者が負担する形で、2020年東京五輪後の着工を目指している。建設予定地は代々木公園の南側。球技場や野外ステージなどの既存施設がある付近で、緑地を削る必要はなく、3~4万人規模を想定している。

これまでなかった「緑地を削る必要はなく」という一言が加えられたのは小さいけれど大きい変化かもしれません。今回も候補地地図が公開されたので見てください。

今回は候補地の点線が陸上競技場にはかかっていません。多少計画が現実的になったのかもしれませんし、あっちこっちに怒られた結果かも知れません。あと、「新スタジアム建設予定地」が「新アリーナ建設予定地」になりました。アリーナにすごい拘ってる。

検討されているのは、施設の稼働率を上げるため、悪天候でも利用可能な屋根で覆われた全天候型のアリーナだ。
東京23区内初の大規模サッカー専用スタジアムとしての側面も持つ。可動式の天然芝を導入することが検討されており、試合日以外はライブやイベント利用が可能。

「屋根で覆われた全天候型のアリーナ」とありますが、第三報で報じられていた開閉式の屋根という話はどこかに行ってしまったのでしょうか。また、「可動式の天然芝」という新しい情報が入ってきました。

芝生の育成上、屋根を完全に締め切ってしまうと風が通らず芝の育成を阻害するという話があります(あったはず)。なので、外で育成して使うときに中に入れる札幌ドーム方式を採用するのでしょうか。イベント利用的には便利そうですけど、お金はかかると思う。開閉式とどっちがかかるかは分からない。

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という感じで少々長くなりましたがスポーツ報知が激推しするFC東京の新本拠地報道について時系列で並べてみました。話の大筋は変わっておらず、それが話がまったく進んでいないからなのか、着実に進んでいるからかは外部からは判断できません。

ただ、今年6月にミクシィの新社長に就任した木村弘毅氏執行役員としての担当領域がスポーツ領域であることは確かなことですから、今後この計画がきちんと前に進む可能性はあると思います。踊れるうちが華とも言いますし(ドメサカことわざ)、踊っておきます。いいスタジアム作って下さい。

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※2018年9月13日追記

踊ってたら続報が来てしまいました。しかもついにスポーツ報知以外の媒体でも報じられました。良かったなスポーツ報知!信じてたぞスポーツ報知!

というわけでこれまでの報知の報道と比較検証してみましょう。

・名称:スクランブルスタジアム
→×不一致 スポーツ報知は第三報以降「アリーナ」という呼称に拘っていた。

・場所:建設地は代々木公園内の南部。球技場や野外ステージなどの既存施設がある付近
→○一致 スポーツ報知の既報通り。

・規模:3~4万人規模を想定
→○一致 スポーツ報知の既報通り(第五報)。

・設計:代々木公園の自然と調和したスタジアムを目指していく
→○一致 本気で古墳スタジアムにするつもりか(第六報)。

という感じで報知は嘘を言ってなかった。偉いぞ報知!ところで報知が報じていないところで日刊スポーツが気になることを書いていました。

川淵氏は、新スタジアムを使用するクラブについて、既存から募るのか、それとも新たに作り上げたクラブが使う方が良いのか? と聞かれると「もちろん、クラブの熱意によるよね」と即答した。その上で「スタジアムを作りたいという活動をしていたのは、ヴェルディなんだよね。Jリーグをスタートした時、あれだけの人気チームで今は不遇をかこっているわけで。これをきっかけに、ドンドン活躍してもらうと、ヴェルディファンも帰ってくる…というのも、僕も考えないわけではない」と語った。
一方で代々木公園に新スタジアム構想を持っているのは、今回のイベントを主催した渋谷区の外郭団体の一般社団法人・渋谷未来デザインだけではない。FC東京と、東京の新スポンサーになったIT企業大手のミクシィとの間で新スタジアム構想が浮上しており、代々木公園は、その候補地の1つでもあるという川淵氏は、その件について聞かれると「そうなの?味の素スタジアムで今まで築いてきた地域への根ざし方(があるから)。

という感じで、FC東京がイベントではしご外されそうになっててワロエナイ。頑張れFC東京!負けるなFC東京!

(追記終わり)

サポートして頂いた金額は、広島のスタジアム建設募金に全額寄付する予定です。