【事例】鹿島アントラーズが芝生で新しい事業を始める件

今回のお題はこちら。少し鮮度が悪い。

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①ピッチ常緑化への一歩

「シーショア・パスパラム改良型」と聞いて、She sells seashells by the seashoreを思い出したのは自分だけ?自分だけでしょうね…。

何はともあれ鹿島アントラーズがこの度、芝の張り替えをしたとのこと。その際、新品種「シーショア・パスパラム改良型」の芝生を採用し、独自開発したピッチ保温シートを活用し、短い納期でターフを張り替えるビッグロール工法を確立することでピッチ常緑化への第一歩を踏み出しました。

そんなことをいきなり言われてもよく分からないと思うのでナンバーの特集を読んで欲しい。

なぜ新品種・保温シート・張替工法がピッチ常緑化に繋がるのかといいますと、「通常、芝の全面張り替え作業は約3カ月かかるが、今回のプロジェクトによって夏場であれば7日ほどあれば張り替えが可能となった」という話のようです。

要するに芝が痛んだとしてもホーム&アウェイの間ですら張替が可能=常緑化というような意味合い。すごい。

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②ピッチ常緑化の重要性

Jリーグのスタジアム運用で一つのハードルとなっているのが天然芝の使用でした(Jリーグ規約29条2項1号)。天然芝を使わなければいけない以上、芝の育成・管理には細心の注意が必要であり、ピッチ稼働率低下の一因となっていました。

それが前述したように1週間で張り替えられるのですから、コストさえ許せばコンサートなやラグビーなど芝にダメージを与えるイベントを開催することすら容易となるでしょう。

正直、「新しい芝の採用で年間150試合は可能。最大限、使ってもピッチの質を維持できる」というアピールには感動すら覚えました。神戸市議会における答弁によると、全国のスタジアム稼働日数は次のようになっているそうです(神戸市議会平成25年第2回定例市会・2013年12月10日)。

◯副市長(鳥居 聡君)
ノエビアスタジアムは,現在80日程度という稼働率ということでございまして,それに比べて札幌ドームは140日ということになってございまして,ただ,サッカーの専門の競技場,国内にほかにもございますけども,例えば,鹿島アントラーズのスタジアムでありますカシマスタジアムでは稼働率が79日程度,それから浦和レッズの埼玉のスタジアムでございますけども,こちらのほうで年間62日と──これ,23年度の実績でございますけど,その程度になってございまして,やっぱりサッカー専門のスタジアムというのは稼働率がこの程度かなというふうな感じがします。
それに比べて,札幌ドームはやっぱり140日ということで稼働状況がかなり高いということは間違いないかと思っていますが,稼働の中身をお聞きしますと,天然芝の利用は大体その140日のうちの12日ということでございまして,それ以外,人工芝で野球とかは使われるんですけど,そういうのが128日,うち野球が86日ということでございまして,野球のウエートが非常に高いかなというふうに感じます。

このように鹿島の提案する「150日の稼働」というのがどれほどすごいことか実感できると思います。スタジアム収益の面でも、公共施設の大義という意味でも非常に大きな効果をもたらすはずです。

余談ですが、芝生についてもっと知りたいという方はスタジアム管理者の方々のレポートとか読むといいと思う。

余談の余談ですが、2017年改正によってハイブリッド芝が解禁されたことでヴィッセル神戸の本拠地・ノエビアスタジアムで試行が始まっています。ちなみに、今年は実験的な意味合いが強いからか「全クラブ公平になるために、スタジアムを使わせてもらえることになった」そうですね。

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③鹿島アントラーズだからできること

ここまでだけの話なら「すごーい!」「そだねー」で終わる話なのですが、鹿島がすごいのはこれを新事業として展開しようとしていること。

さらに短納期でターフを張替えるビッグロール工法や独自の養生技術を新たに確立させ、今年度より他スタジアムでのピッチコンサルティング事業に取り組んでいきます。

「田舎のクラブなので何度優勝しても危機感が消えることはない。我々は前に進むことでしか、攻めることでしか生き残れない」という姿勢を崩さないのが常勝軍団・鹿島アントラーズ。スタジアム運営でもその本領が発揮されているようです。

ここまで力を注ぐのは2006年からスタジアムの指定管理者となっているからで、何よりスタジアムの稼働率のアップを目指している

日経も報じていますが、やはりこれだけの投資ができるのは指定管理者となっているからでしょう。普通にハコを借り受けているクラブではここまでのことはできません。

スタジアムの所有または指定管理者となることがやはり今後のスタジアム運営にとって重要となるのではないでしょうか。

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Jリーグ事例研究

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コメント2件

shiba-teire.com筆者です。補足しますと鹿島の仕組みであっても全面張り替えは1週間ではできません。土を入れ替えたり種から育てたり根本的に手入れすることが多いのとお金もかかるためです。

ゴール前やタッチ際など傷みやすいエリアを試合間に部分的に張り替えられる、というのが1週間の話のポイントかと思います。
遅くなりましたが、ありがとうございます。

「通常、芝の全面張り替え作業は約3カ月かかるが、今回のプロジェクトによって夏場であれば7日ほどあれば張り替えが可能となった」とありますので、素直に読むと全面張り替えが7日のような気がしますが、仰るように何かしら特定の条件を満たす場合限定なのかもしれませんね。

もうちょっとこの情報は追っていきたいなと思います。
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