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スタジアム寄付の集め方を考える #まちスタ

先日の報道でもありましたが、広島のスタジアム建設に当たって法人寄付・個人寄付を受け付ける基金の設置が表明されています。

広島)新サッカースタジアム建設へ基金 官民寄付募る(朝日新聞 2019年6月5日)

建設費に充てる、企業や個人からの寄付を集約する基金も創設する。今年度に見込む個人の寄付は2千万円。個人寄付は総額1億円程度を目指したいという。

目標まで寄付を集めたいのはもちろんですが、それ以上集められれば今後のスタジアム運営の助けにもなりますし、何より周囲に良いインパクトを与えられると思うので頑張っていきたいところです。

ところで、寄付の集め方にも色々とあります。沢山集めるためにも現在想定されている手法のほか、他地域における事例も知っておきませんか?というのが今回のテーマ。

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①ふるさと納税

広島市が想定している個人寄付の手法はふるさと納税です。ふるさと納税のシステムを今さら細かく説明するのはアレなので、ご存じない方はYahoo!の動画をどうぞ。それでも不安なら税務署にGO。

まれに誤解する方がいらっしゃいますが、税金(所得税・住民税)を納めている人(給与天引きを含む)がふるさと納税をすると税金が安くなる(自己負担2000円を除き、控除上限あり)というシステムなので、税金を納めていない方が本制度を利用しても還付等を受けられるものではありません

また、自身が住んでいる自治体に対する寄付金自体も可能です(地方税法37条の2。ただし一定の場合を除く)。ただし、返礼品を受け取ることは総務省の指示により認められない可能性が高いです。

「返礼品が貰えないなら居住地にふるさと納税をする意味がないのでは」と考える方もいらっしゃるでしょうが、寄付額の使途を指定できるというメリットがあります(これがスタジアム建設にとって重要なポイント)。なお、前述のように自己負担2000円がある点はご注意を。

セレッソが現在実施している募金活動では5万円以上寄付した方はネームプレートに名前を刻んでスタジアムに掲示するそうです。この方法はガンバ大阪京都サンガFC今治など各クラブが実施している手法。古くからある寺社仏閣に対する寄進みたいなものですね。

広島もそういった手法は想定しているようです。前述の居住地に対する寄付した場合の取り扱いが気になるところですが、京都府は観戦招待券の提供の提供はできないと説明していますので、ネームプレートは大丈夫そう

広島は5年間寄付を受け付けるそうなので、毎年寄付をして毎年税制上の特典を享受することは当然可能です。「1回寄付したからいいや」ではなく、毎年忘れないように寄付していきたい。

②企業版ふるさと納税

今回の本筋とはずれるのでちょっとしか触れませんが、法人版のふるさと納税もあるので、法人のPRサポートショップさんはこちらの活用も検討してみてほしい。

ただし、本社の所在する地方公共団体への寄付は本制度の適用対象外であり、自己負担が4割となっている点は個人版ふるさと納税とは異なります。

③たる募金

広島市民・県民にとっておなじみの方法。上記のふるさと納税とは異なり、所得税等から控除することはできません。純粋な募金です。

先日もご説明しましたように、新広島市民球場建設に際してたる募金で集まった募金の額は約1億2500万円。当時はふるさと納税なんてシステムはなかったので、①と③で1億円という目標は軽々達成したいところですが。

それから、この樽そのものをどこに設置するかという問題が残ります。分かりやすいのはV-pointや試合会場でしょうが、PRサポートショップでこういった活動の受け皿ができたら最高なんだけどなぁと身勝手に想像中(責任や情報開示など負担は大きそうだけど)。

④グループ寄付

これは京都府が現在実施している寄付の手法で、自分の知る限り結構斬新な方法です。

Q.グループ名で寄附をすることはできますか。その場合、受け取ることができる特典はどうなりますか。

A.5万円以上ご寄附いただける場合は、グループ名での寄附も可能です。ただし、「ふるさと納税」を活用した税額控除は受けられません。
カード決済の場合は代表者名でご寄附いただき、「グループ等によるご寄附を希望されますか」を「はい」で回答いただき、申込書を送付してください。ゆうちょ銀行・郵便局・銀行等よる払込みの場合は、ご依頼人の欄にグループ名を記入していただき、申込書を送付してください。

このように税制上の特典を受けることはできませんが(つまり③の募金型)、代わりにグループ名で名前を出すことができるというもの。例えばサポーターズグループとして名前を出したい場合には嬉しい制度なのでは。

⑤タイアップ募金

こちらはガンバ大阪の取組の一つで、パティスリーブラザーズさんで発売する特定の商品を購入すると売上の10%を寄付してくれるというシステム。クラブOBの嵜本氏が携わっている企業だから成立した案件ではあるでしょう。

売上の10%というのは中々ぶっ飛んだ額ですが、災害地への寄付などではこういった手法はメジャー。ハードルは相当高いような気はするものの、こういう取組をしてくれる企業があったら是非買いたい。

⑥番外編:ミニ公募債

これは寄付ではありませんが、新広島市民球場建設時に実施した資金集めの方法。前回も紹介したけど再掲。

新広島市民球場が「異例の低金利」で資金調達できた理由(J-CAST会社ウォッチ 2012年3月15日)

なぜ、僕が感銘したか。その地方債の発行コストがものすごく低かったからだ。球場建設の歳出増に対応する地方債の応募者利回りは1.03%だった。同時期の国債の応募者利回りは1.20%なので、国債より低い金利で資金調達ができたことになる。一般的には自治体は国よりも信用が低いので、地方債の金利は国債より高くなるが、市民球場の場合には、地元住民に支持された事業だからこそ、こうしたことが起きたということである。

一般的な地方債よりも遙かに利率は低いでしょうが(当時と現在の金利を比較したらなおさら)、それを上回る充足感があります。広島市が破産しない限りは返済して頂けるので、こういうアナウンスがあったら是非応募したいところ。

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という辺りがこれまで自分が調べた範囲で知っている方法です。スタジアム寄付に限らず、他にもこういう方法があるよー、こういう返礼品があるよーというのがあったら教えて下さい。

ふるさと納税であれば自己負担は大変小さいので、認知して貰って沢山の方に寄付して貰えると嬉しい。他地域に寄付することと比較してデメリットを感じる方もいるかもしれませんが、貢献したという満足感とかを強く刺激していければ理想。

あとはクレカを持っていないと手続きが大変だと感じる人もいそうなので、その辺を上手くやる方法があれば最高なのですが。コンビニとかでもできるらしいけど(上記URL)、上手い誘導法がないか考えたいところ。

サポートして頂いた金額は、広島のスタジアム建設募金に全額寄付する予定です。