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レ・ミゼラブル ジャベールが推せる

 ミュージカル「レ・ミゼラブル」を観たことはありますか?
本当に世界中で愛されている作品です。私は特にジャベール警部が好きです。
なぜ好きなのか、考えてみました。

ジャベール警部とは

 ジャベールさんのことを詳しくWikipediaさんが教えてくれたので引用しています。

ジャヴェール警部 (Inspecteur Javert)
 ユーグ版より。1780年に、服役囚の父と、同じく服役囚のトランプ占いのジプシー女の子供としてトゥーロンの徒刑場で生まれた、ブルドッグのような顔つきの男。社会から外れ、「普通の人間として」社会に関われないという絶望から、自身の境遇やそれと同じ境遇に属する人間を憎み、社会を守る人間であることを選ぶ。その素養が備わっていたこともあり、彼は警察官となる。禁欲主義で生真面目かつ自分にも他人にも厳格な男。社会秩序を絶対的に信奉する法の番人であり、これに逆らう者には公正だが容赦なく振る舞ったため、町のならず者達を震え上がらせる。パトロン=ミネットに名を連ねていた者も彼を恐れた。1820年に40歳で捜査官(inspecteur:私服警官と呼ばれる刑事の階級で、現在のフランス警察のlieutenant(警部補)に相当)となってモントルイユ=シュル=メールに赴任するが、有名人であるマドレーヌ氏のことを、昔トゥーロンで見たジャン・ヴァルジャンではないかと疑い続ける。ある日、バマタボワといざこざを起こしたファンティーヌ(コゼットの母)を逮捕するが、マドレーヌ市長(ジャン・ヴァルジャン)が自らの裁量でファンティーヌを釈放してしまったことに憤慨し、とうとう彼をジャン・ヴァルジャンとしてパリ警視庁へ告発しに行く。結果、シャンマティユーの一件でついにヴァルジャンを捕らえるものの、後に逃げられてしまう。ヴァルジャンを逮捕するための助っ人としてパリに招集され、警視庁の上層部にその熱意を買われた彼は一等捜査官 (inspecteur de première classe; 現在のフランス警察のcapitaine (警部)およびcommandant (上級警部)に相当)としてパリに駐在することになる。彼は六月暴動の際、警察のスパイとしてアンジョルラス率いる暴徒に紛れ込むが、ガヴローシュに正体がばれて捕虜にされてしまう。その時、彼を救ったのが、意外にもジャン・ヴァルジャンであった。ヴァルジャンは暴徒らからジャヴェールの処刑役を買って出て、銃を空に向けて一発撃ち、「処刑した」ことにして逃がしたため、ジャヴェールは意表をつかれてしまう。その後、マリユスを助けるため下水道を通って脱出したヴァルジャンが出てきたところを捕まえたが、ヴァルジャンの願いで、待たせていた馬車で、まず一緒にジルノルマン邸へマリユスを送り届けた。さらに、一旦自宅へ戻りたいというヴァルジャンをロマルメ通りへ送り届けた後、ヴァルジャンを逮捕することなくその場から立ち去った。聖人と化したヴァルジャンを逮捕することができなかったためである。ヴァルジャンと対峙することで、彼は自身が信奉してやまなかった法にも欠点があり、法が語っていることは必ずしもすべてではないこと、社会は完璧にできていないことを痛感させられた。法律が支配する秩序の世界ではなく、神が支配し、道徳や親切、寛容がある世界を感じて心が乱れ、信念が崩壊してしまった彼は、シャトレー広場 (Place du Châtelet) の派出所で意見書をしたためた後、1832年6月7日未明、ノートルダム橋の欄干から投身自殺を図った。52歳で死去。
※Wikipedia参照

推せるポイント①ジャベールは自分が嫌い

 両親はどちらも囚人。トゥーロンの徒刑場で生まれたこと。ブルドッグのような容姿であることなど、生まれもったもの、育った環境に強いコンプレックスを感じています。そんな自分が嫌いだから、自分と同じような境遇の、貧困層や囚人、罪人を憎み、法律に従って物事を統制していくことを美学として貫いてきた強い男です。自分にも厳しく、他人にも厳しい。法律を守らない人間を許すことができず、公正で厳格な判断を下すことで、警察官としての信頼を得てきました。
 その厳格さゆえに市民からは恐れられ、孤立していきます。社会から外れ、「普通の人間として」社会に関われないという絶望を抱えて生きてきたジャベールは”法律”というものに固執することで自分を保っています。
 生い立ちに闇を抱えた悪役は好感度が高くなってしまうヲタクの性です…

推せるポイント②内向的な性格ゆえの深い絶望

 レ・ミゼラブルの登場人物たちが抱える絶望には、ファンテーヌの身売りやエポニーヌの失恋、コゼットが受けた虐待、など、人が経験する絶望の中でもトップレベルの絶望が並べられています。
 しかしジャベールの絶望は自分の信じてきた法律が、ジャン・バルジャンの善行によって完璧でないことを痛感させられ、自分の行いや存在を信じることができなくなってしまった。という精神的に深い苦痛です。
 もし、ジャベールが明るくて、物事を引きずらないさっぱりとした性格であれば、「ジャン・バルジャン、おいかけるの、やめよ~」ぐらいのノリですごせるかもしれません。でもジャベールは自分にも厳しい男です。憎いジャン・バルジャンを逮捕することこそを至上命題として生きてきたのに、追いかけるのをやめてしまった自分自身を法に背いた存在として、認めることができなかったのだと思います。 
 自分を責めるあまりに自死を測るジャベールは少し、夏目漱石の「こころ」に出てくるKと似ている気がします。Kは失恋と友情、自分の信念に反する気持ちを抱いていることへの苦しみから自死をしてしまいます。Kもジャベールも繊細で内向的な性格であり、自分を律することで保ってきたタイプなため、自死を選ぶしか方法が思いつかないほど思い詰めてしまうのだと考えます。

ジャベールの絶望には共感しか湧かない

 最初は、「なんやねんこの警官」と思ってしまうジャベールさんですが、内向的自己肯定感低めマンの心を鷲掴みにする要素が満載の魅力的かつ共感を誘う登場人物でした。
 コゼットよりエポニーヌを推したくなる女性が多いように、バルジャンよりもジャベールを推したくなる人もいることと思います。
 ぜひ、みなさんのレミゼの推しキャラ、教えてください。そしてジャベールの良さをまた教えてください。それでは。

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