スマートフォン向けRTK-GNSS機についての考察

昨今のDroggerブームはスマートフォンによる測量の可能性を広げた。
写真測量やLiDARスキャン、方式は様々だが取得した点群を公共座標に結び付けるためにはGNSSの位置情報が必要となる。この位置情報がスマートフォン内臓の単独測位だと、その位置精度は10m程度であるが、このスマートフォンの測位情報をRTK-GNSSの測位情報に置き換えることで、数センチメートルの位置精度になる。
冒頭で名前を挙げたDroggerはandroidでしか対応していない。
また、androidのほうも開発者向けオプションをオンにし、仮の現在位置情報アプリをDroggerGPSに設定して初めてandroid端末の位置情報をDroggerの位置情報に置き換えている。
この設定をすることで基本的にandroidにインストールされたすべてのアプリが位置情報をDroggerから得ているのではないかと推測する。

iPhoneは脱獄しないと無理

iPhoneやiPadには、悪意のあるソフトウェアを利用者が誤ってインストールしないように、Apple側からインストールやアプリの実行についての制限をかけています。そのため、androidのように開発者向けオプションをオンにするような操作はほぼ不可能です。いわゆる脱獄をすれば位置情報を内蔵GNSSからDroggerなどの外部機器に置き換えることもできるでしょう。
ただし、それはサポート外の事なので実践的ではありません。

でもViDOC-RTK があるじゃない?

そう、PIX4Dから発売されているViDOC-RTK  ROVERは、iPhoneやiPadと接続することが出来ます。PIX4Dcatchというアプリを使ってLiDARスキャンをより高精度で行うことが出来ます。

MFi認証とは?

MFi認証とは、アップル社が、他社(サードパーティ)製アクセサリとiPod/iPad/iPhoneとの互換性を保証することを示すものです。 アップル社によって互換性が保障されているといえます。 "MFi"とは"Made For iPhone/iPad/iPod"を意味します。
コネクタ、ケーブルをはじめ、iPod/iPad/iPhone向けのアクセサリを製造・販売するには、 メーカーはアップルと MFi:Made For iPhone/iPod/iPad(Apple) ライセンス契約を結ぶ必要があります。 このライセンス契約のもとに「MFi認証」された製品には「MFiロゴ」をつけることができ、将来にわたってアップル製品との互換性が保障されています。そのためアップル製品に対応したアクセサリーは割高となるのです。

MFi認証だけではRTK-GNSSを利用できない。

ここからは実物を持っていないので推測の話となります。
ViDOC-RTK ROVERは多分PIX4Dcatchの上でしか利用できません。
おそらくPIX4DcatchというアプリはBluetoothでViDOC-RTK ROVERと通信するように設計されているのだろうと思います。
だからViDOC-RTK ROVERはその他のアプリからでは位置情報を取得出来ないだろうと思います。
また、mapryの販売するiPhone向けのRTK-GNSS機や、オプティムジオスキャンなどはひょっとしたらNMEAのデータを通信しているのかも知れません。
ちょうどそれはA-Surveyが外部GNSSからNMEA183のデータを受信して画面にプロットしているようなイメージでしょうか?
ただしこの方法だとカメラのExifには位置情報を書き込むことは出来ません。位置情報書き込みアプリがNMEA183のメッセージを読み取り、写真に書き込むような作業が必要となります。(たぶん)

アップルがiPhoneにL2受信可能なチップを搭載すれば単体でRTK可能

なので今後もiPhoneやiPadで直接RTK-GNSSが接続できるようになるのはappleが保護している限り難しいと思います。
しかし、LiDARセンサーを搭載するほどのイノベーションを成し遂げてきたアップル社です。内蔵のGNSSチップをubloxのF9PのようなL1、L2、L5信号受信可能なものにするだけで外部機器など使わずiPhone単体でNtrip方式によりRTK測位が出来るようになります。そこに期待したいところです。

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