スキャニングトータルステーションの選び方

スキャニングトータルステーションとは、トータルステーションに地上型レーザースキャナ機能が搭載された物だ。その見た目はほぼトータルステーションと言っていいと思う。
私の知る中ではニコン・トリンブル社のSX12と、ライカジオシステムズのMS60の2機種が代表的なスキャニングトータルステーションだ。

MS60
SX-12

一般的な地上型レーザースキャナ(TSL)は、いきなりTSLを地上に置いて、360度フルドームスキャンをします。そして少し移動してまた360度フルドームスキャンをし、先のスキャンと共通する特徴点を使い点群を合成して行きます。これをレジストレーションと云います。レジストレーションが上手く行くか行かないかはTLSの設置位置や周囲の特徴点の数、位置に影響を受けます。オフィスに戻ってからゆっくりとレジストレーションをする場合もあるそうですが、できれば自動でレジストレーションできるように工夫しながらスキャンします。
 片やスキャニングトータルステーションは、トータルステーションなので基準点に機械を設置します。後方交会方を用いて基準点に設置しない方法も有りますが、何れにせよ機械点座標が精度良く求まっているのでそこからスキャンした点群の精度はトータルステーションならでは抜群のものとなります。レジストレーションは不要となります。
私はSX-12とMS60を天秤にかけた時、トータルステーションとしての役割とTLSとしての役割の両方を求めてしまったためMS60を選択した訳ですが、私のような仕事環境ではスキャニングトータルステーションの選択とすれば失敗だったかも知れません。
何故かと言うと、せっかくのTSL機なのにスキャンをせずにトータルステーションとして利用するなんて愚の骨頂という事なのです。TS機能が付いた地上型レーザースキャナとして考えるべきでした。
と言うのは、一度スキャニング定義をしてしまうとパノラマ写真の作成、スキャニングしている間は何もやることが有りません。ただ待つだけなのです。その待つ時間が非常にもったいないのです。とにかくスキャニングトータルステーションにはスキャンをさせて、自分自身は待つ間別のこと(測量)をすべきなのです。
第1台目の測量機として購入するならばMS60はワンマン測量機としては優秀だと思います。ですがスキャン機能が勿体ないです。
既にトータルステーションを所有していて追加で購入するのであれば私はSX-12の方がスキャン性能が高く現場の時短になるだろうと思いました。
 SX-12とMS60とのデータシートを見てみましょう。

ここで比較するのはまずスキャン速度です。MS60は30,000点/秒に対してSX-12は26,600点/秒でMS60の方が勝っています。
しかしMS60のそれは30KHzモードで観測した場合のそれであって、私の経験上今までに30KHzモードを推奨された事は無く、8KHzモードとか1KHzモードがほとんどです。なのでこの数字はあてになりません。
それよりも点群を取得するに際しRGBのカラーって付けたいですよね。そのためにはパノラマ写真を取得しておく必要があります。このパノラマ写真撮影にかかる時間が曲者でした。スキャンニングトータルステーションはパノラマ写真作成のために狭い画角の写真を何枚も撮影して結合させます。
MS60ではフルドームスキャンをしようとするとパノラマ写真のために464枚ほどの撮影をし、そのために1枚7秒ほどを要するため合計で54分もの写真撮影の時間を必要とします。これはカタログには載っていないスペックです。
デモでの体感上SX-12の方がこれは速かったです。
まあつまり、スキャニングトータルステーションはスキャン専門で利用した方が良いということと、だとすればSX-12のほうが速いってことだけは言えますね。
だけど純粋なTLSであるライカRTC360とかトリンブルX7の方が圧倒的にスキャンスピードは速いですから、用途によって使い分けるべきなんでしょうね。
ここまでSX-12が良いと書いてきましたがそれはあくまでもスキャン機能だけを取り上げた場合です。
でなければ私はMS60を選択していませんから。
その理由についてはまた別の投稿で説明したいと思います。

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