ギリシャの怪物&日本vsトール・ブラックス

みなさんこんにちは、佐々木クリスです。

FIBAワールドカップ1stラウンドの戦いが終わり日本は順位決定戦へと回ることが決まりました。日本vsアメリカのゲームは、まさに王朝強し!と言った印象でしたね。それでも日本は12名全員がきっちりコートに立てたこと、3Qにはセンターを置かず八村をセンター、渡邊をパワーフォワードに起用するスモールラインナップも試すなど収穫もあったと思います。
日本バスケの為にも馬場はこの秋、Bリーグで開幕を迎えてはならない!と改めて感じる馬場の取り憑かれたようなプレーに痺れましたし、シェーファーの出場時間は非常に限定的となりましたが、走力とフィジカルでは引けを取っておらず、将来の先発センターとしてのポテンシャルを再び垣間見ることも出来ました。

残念ながらこれにて日本代表参加を終えてアメリカに戻ることを発表した八村このゲームでは2015年にウォリアーズが起用したスモールラインナップ、通称Death Line up=『死のラインアップ』(カリー、トンプソン、イグダーラ、バーンズ、グリーン)でPFとして暗躍したハリソン・バーンズにマンツーマンで完全に封じられてしまいました。目の覚めるようなダンクを一発を叩き込んだものの、悔しさの残る洗礼だったに違いありません。
しかし、これを実際のNBAシーズン開幕前に体験できたことは大きな収穫です。NBAとは選手同士でも優劣を競い合う弱肉強食の世界で、毎年ルーキーたちはベテラン勢から照準を合わされたかのように洗礼を浴びせられるからです。
ドラフトで毎年60人がNBAの門を叩きますが、毎年正式にNBAのロスターに正式に名を連ねられる選手は450名しかいません。

つまり、元々NBAにいる選手たちも生き残りをかけて“出る杭を打ってくる”のです。どんなに打たれても、打たれても、伸び続けた、鋼のように強くなった選手達だけが長いキャリアをNBAで過ごせる… 八村なら必ずやってくれるはず。

今回、日本のW杯2試合を残しての離脱、休養とNBAシーズへの準備も、これから始まる彼の長く険しいチャレンジには必要なこと。そして彼がまたNBAで活躍すればするほど仲間の選手達も刺激されまた日本のバスケは底上げされるはずです。

アメリカから感じたことも一点。アメリカはプロセスをしっかり結果に結びつけるバスケを展開していました。見ていて何が上手くいっているのか『分かりやすい』という感覚になった方も多いと思います。それは原理原則にそった正しい、判断と行動が出来ていると必ずと言って良いほど得点になっていたからに他なりません。シュート力と、原理に裏打ちされた判断、この最もエッセンシャルな2つの両輪がしっかりと噛み合っていました

少し技術的なことを加えると、“出し手”と”受け手“の関係地でみるパスの角度作りと質に大きな差を感じました。これは実際に対戦した当事者にしか分からないディフェンスの圧力の差による部分でもあると思いますが、アメリカのパス捌きからも日本の若きプレーヤーやファンが感じてくれることも多いことを期待しています。

さて、日本は順位決定戦でまずはニュージーランドと対戦。アメリカは3連覇に向けた生き残り合戦へと進みます。個人的には引き続き日本の戦いに注視していくとともに、是非この対戦を機会に多くのバスケファンが引き続きW杯とアメリカの戦いを楽しんで頂けたらと思っています。

ですので、今回は日本×ニュージーランド(日本時間 9/7 16:30)のレビューも後半にお届けしますが、先にアメリカ×ギリシャ(日本時間 9/7 21:30)のレビューを軽く書いておきたいと思います。

NBA軍団 vs NBAのシーズンMVP

日本と対峙したアメリカには一切の慢心やおごりを感じませんでした。怪我からの回復を待つテイタムと、W杯直前にふくらはぎを痛めていたスマートには休養を与えましたが、日本戦へのフォーカスは素晴らしく、同時に課題だったゾーン・オフェンスの向上、そして自らもセンター2人を起用しての2-3ゾーンの施行など積み上げも図っていました。改めてですが日本代表は結果に恥じる必要はないと思います。

アメリカに油断がない理由。それは前回のnoteにも書きましたが、一流スターの不在。
対するギリシャのエースは神話の世界からそのまま飛び出てきたのか!?と目を疑うような身体能力と手足の長さを誇るギリシャの至宝でNBA 2018-19シーズンのリーグMVP、ヤニス・アテトクンボがチームの中心。これから世界やNBAを知りたい方々に是非覚えていただきたい名前です。

まず、説明はさておき、昨シーズンのハイライトをどうぞ!

もはや説明不要の超人ぶりで試合中に相手の選手を飛び越えてダンクを決めたこともあります。

改めて、NBAミルウォーキー・バックスのヤニス・アデトクンボ。そう!早口言葉のような名前で24歳の青年はNBAデビュー当時名前を間違えられることもしばしば。なにせGiannis Antetokounmpoと綴りも非常に長い!
ナイジェリア移民の両親の下ギリシャで生まれたヤニスは少年時代を兄弟たち(ギリシャ代表にもう一人入っています)と行商人をしながら家族の生計をサポートしながらバスケに勤しんでいたところから2016年に4年約110億円の契約獲得、3度のオールスター選出、そしていよいよリーグのMVPまで上り詰めました。今やNIKEのスニーカーも彼の名前を冠したモデルをリリースするまでに。

最大の特徴は名前のように長い手足、身長211cmで両手を水平に広げるとその長さは221cmとNBAの中でも規格外。動きは小柄な選手に勝るとも劣らず、ひとつのドリブルで10mも離れたところからダンク、3人の選手に囲まれても腕を伸ばして楽々ダンクを決めてしまう。バスケットボールの最重要地点であるリング付近の覇者でその存在感と肉体はまさにギリシャの神話の世界か、彫刻の様。ニックネームGreek Freak(グリーク・フリーク)は訳して”ギリシャの変わり種”ですが、怪物or超人と表現されることの方が多いです。
こちらの動画はその恵まれた身体的な能力がいかにバスケットコートで活かされているか、非常に分かりやすく解説されたものです。

そんなヤニス、W杯出場前には

ギリシャの為に優勝できるならMVPを返上しても良い

と言っており非常に鼻息荒くアメリカに向かっていくことが予想されます。配信などを見ているとヤニスがボールを持つだけで会場から大歓声が上がるほど世界的な人気も確立しているヤニス、必見です。
もちろんギリシャもヨーロッパの強豪国、PGのカラテスやオールラウンダーのパパニコラウもかつてNBAに在籍していた超実力者で間違ってもワンマンチームではありません。そう言った観点からもアメリカは油断できず、壮絶なゲームを目の当たりに出来るかもしれませんよ。

このあとはニュージーランド戦に臨む日本について。ここからは恒例、W杯期間中有料でお楽しみいただけます。みなさんから頂いたご購入、サポートは全額日本デフバス協会様に寄付させていただきますので、どうぞご協力ください。

それでは日本の次戦について...

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