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彼が姿を消した理由①

2022年・12月の終わり
ボランティアでアニマルコミュニケーションさせてもらっている
保護猫団体・ソラネコせたなさん(以下・ソラネコ)から
脱走した猫の捜索に協力してほしいという連絡が入りました。

私はそれまで2件ほど、脱走案件の捜索に関わったことがありました。
上記2件に関して、私は少し協力しただけですが
それぞれ無事飼い主さんの元に戻ることができました。


ただ、私は霊感があるわけでもないので居場所の特定もできませんし
できることといえば
「その子を励まし、捜索してる人を見つけたら姿を見せるように」
などと促すことくらいなんです。
見ている景色などのイメージを受け取ることは可能ですが
彼らは随時移動しますし、その脱走期間中にコンスタントに話を続け、
報告し、関わり続けることは精神的にも体力的にも非常に負荷がかかります。
そういった理由もあり、現在は承っておりません。



ソラネコさんからは
「彼」の里親さんからは脱走の連絡をもらえず
脱走の翌日に他のルートから連絡が入ったこと

禁止しているハーネスでの散歩をしようとした際、体が抜けての逃走だったこと
脱走時はソラネコに連絡必須と譲渡契約書にサインをしてるのに
契約書はもう無くしたから知らない等、言われたこと

捜索にはSNSやチラシでの拡散が有効なので
名前は出さずに目撃情報の収集をしたいという申し出にも
里親さんに拒否され
『私がバカだと広めたいんですか?』などと言われ
埒があかない状態であると・・・


かなり問題のある方であることは間違いなく
私も発見のためには早い段階で協力した方が良いと感じ
彼と話してみることにしました。


=====
(前略)

どうやったらあなたを見つけられるかな?
→いや、僕はこのままでもいいと思っていて・・・

逃げ出したのはどうして?
→うん・・なんかあの家には僕は必要ない気がして。

可愛がられてないってこと?
→そうではないと思うんだけど・・なんとなくね。
(すごく寂しそうな気持ちが伝わってきました)

保護されたあと、お家に戻りたい?
→いや、だからそれはいいかな。
僕のこと必要じゃないなら戻る必要もないでしょ。
(彼の悲しみが伝わってきて私は泣き出していました)


かずさんやわーこさん、あなたを探してる人を見かけたら出ていけるかな?
→うん・・・どうかな・・
でもなるべく早めには捕まるようにするよ。


ちゃんと捕まってくれても
もう前の家には戻らないって私が約束するから
お願いだから捕まって欲しいんだ
→うん、ありがとう。それなら嬉しいよ。

※通常は依頼者様に確認をとっていないことを
私の判断でペットさんに告げることはありませんが、この段階で伝えなければ彼は出てこないと感じたので勝手な約束をしました。


あなたはもっと幸せになれるからね
→そうかな。僕、生まれてきてよかったのかな。


そんなこと言わないで。大丈夫、ちゃんと幸せになれるから。
→ありがとう。もう少し外の世界を楽しんで戻るよ。

=====

また、翌日も彼と話してみると
外の寒さがだいぶ堪えて来ている様子で
私にも彼の感じている内臓の冷えが伝わり、気持ちが悪くなって来たので
彼自身の体調も心配になって来ました。

猫の足跡をくまなく追っていました



年末、雪も多く凍える寒さの中
ソラネコのお二人とボランティアの方々は朝から晩まで
猫の足跡を辿りまくり
隙間という隙間を徹底的に捜索していました。


「なるべく早く戻るよ。」
「見つかるようにするよ。」
会話の中では、私の説得に対して、こんな言葉を発していてはくれたのです。

ただ、それは今思いかえしても表面的で
心がこもってはいない 
彼なりの 時間稼ぎ だったようにも思えます。


その後の会話中、私自身が眠たいというか意識が遠のく感覚に襲われました。
彼が寝てしまって凍死してしまう予感がありました。

=====

寒いし眠いかもしれないけど寝ちゃダメだよ!
→うん、寒いよね。
眠ってしまいそうになるよ。

でも寝たら死んじゃうからね!
→そうだよね。それは何となくわかるんだ

=====

こんなに多くの人が時間をかけて探していることを知りながら
それでも出てこない、見つからない、ということは
彼の命をかけた人間へのメッセージなのでは

と、当時の私は記していました。


そして数日に渡る捜索も虚しく
彼が見つかることはありませんでした。



あれから一年

ソラネコの方々の思いは

『過酷な環境にいたこの子を救い、幸せに繋ぐ為に譲渡したのに
自らの意思で家を出て自分は必要じゃないと感じて過ごしていた事を知り
こんな気持ちで過ごさせてしまい本当に悔しさと申し訳なさで
胸が苦しくてたまりませんでした

結局見つけてあげる事ができず
私達はこの一年間、ずっと胸の痛みを抱えたまま過ごして来ました

そして一年経過した今
私達が前に進むために』 と

再び彼とのセッションのご依頼がありました


続く

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