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CDアルバムデザイン「Dragonfly Raindrops」制作譚

2021年冬にリリースされたシンガーソングライター・mi-ln(みーるん)さんのCDアルバムデザインを手掛けた時のことを備忘録として。

こちらはmi-lnさんのnoteです。
エッセイストとしてもたいへん秀逸な文章を書かれる方です。

mi-lnさんよりお声掛け頂いたのは2020年7月。紆余曲折あってリリースまで1年以上を要しましたが、その分しっかりと良いものが作れたと思います。

まず、デザインするにあたりアルバムタイトルと楽曲音源と歌詞を送って頂きました。ちなみに、歌詞は全曲英詞だったので、英語力ゼロの僕はmi-lnさんにお願いして訳詞を送っていただきました。

タイトル:Dragonfly Raindrops

アルバムコンセプト:自身の生き方と愛がテーマのベストアルバム

タイトルナンバー「Dragonfly」から想起したイメージ。

薔薇の蕾に止まるトンボ。

薔薇の花びらの赤と蕾の緑を映す緑色の肢体と赤い眼のトンボ。
赤い薔薇の情熱的な愛を己が身に投影するトンボ。

そんなイメージ。

で、早速トンボを描くことに。

トンボの描画

トレースした画像をもとにイラスト化して薔薇の抽出色で配色。

ところが、
そこで困ったことが・・・

画像からのトレースでは薄〜いトンボの翅がうまく拾えず!

仕方がないので翅だけはイチからPhotoshopで描画しました。

透けた質感と翅脈に苦戦しつつも素材を合体させて完成!


バックインレイにもこだわりを注入!

バックインレイ外側
バックインレイ内側

イメージはもうひとつのタイトル曲「Raindrops」の歌詞から。

“鳥はカゴから飛び立って・・”
“雨が上がる前に・・”

という表現があり、
外側には雨の中を飛び立っていったイメージ、
内側にはカゴから飛び立っていったイメージを。

鳥を描かなかったのは、アルバムアートのメインイメージがトンボであることから、鳥を配することでトンボのインパクトが減衰するから。
なので、鳥の存在は羽根で匂わすことにしました。

こだわりといえば・・・

CDの帯のデザインにはいつもこだわっていることがありまして・・

それは
背景に和紋様を施すこと!

背景に流水紋様

今回は観世水という流水紋様をあしらってみました。吉祥紋様は縁起が良い柄と言われているので、作品がたくさん売れるように・多くの人の元に届いて幸せを生み出してくれるように、という思いを込めています。
CDにおける“熨斗(のし)”のような意味合いですね。

そして最後にフォントのお話。

全曲英詞ということで歌詞カードに欧文フォントが使えるのはGoodでした!
日本語フォントだと視認性も考えてある程度決まったフォントしか使えないけど、欧文フォントならバリエーション豊富だし、ADOBEユーザーなのでロイヤリティ気にせず美しいフォントが選べるから!

ってことで・・・
なんてフォントだったっけ???と調べてみたら、
Antiquarian Scribe
でした!う〜ん、美しいフォントだ。

歌詞にはAntiquarian Scribeを使用

アルバム全体を覆うノスタルジックな雰囲気は柔らかなトーンではあるが決して優しさ一辺倒な世界ではなく、人間のダークな側面もプンプン匂わせてくる、J-popとは一線を画する世界観。まるで洋楽のようなアルバムテイストにAntiquarian Scribeはピッタリなフォントだったのではないかと思います。

mi-lnさんの「Dragonfly Raindrops」は下記サイトにて販売中です。

もう残り枚数わずかみたいだから気になった方はお急ぎ下さい。


ほんとに素敵な作品です!

CDに限らず配信用のジャケットアートなども承っております。お気軽にお声かけください!

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