見出し画像

オフィスの在り方を再定義した25社の事例と、私見のメモ(リモートネイティブ/解約/縮小/分散/維持/拡大)

緊急事態宣言前後の "emergencyコロナ期" から、"withコロナ期" へとシフトしてきた中で、多くの企業が試行錯誤を重ね、新しい働き方を模索したことで、企業や人々の「オフィス」に対する考え方が変化してきています。

この文章を書いているのは2020年10月下旬ですが、ここ数か月の間に、実にさまざまな企業がオフィスの在り方を再定義し、その結果、オフィスを解約したり、縮小したり、拡大したり、分散したりする事例が出てきました。

それらの判断が正しかったのかどうかは、afterコロナの世界となったとき、各企業がどれだけ成長し成功をおさめるか、というところまで見定めなければ分かりません。

後々振り返るためにも、いち早くオフィスを再定義した好例といえる25社の事例(beforeコロナのときから既にオフィスを再定義していたリモートネイティブな4社を含む)と、現時点で私自身が思うことをメモしておこうと思います。

※「事例だけ見たい」という方は「1. ここ15年くらいのオフィス業界を振り返る」を飛ばして、2 からどうぞ!

1. ここ15年くらいのオフィス業界を振り返る

大学を卒業して、私がオフィス業界に入ったのが2005年。それから15年が経ちました。

この15年の間に、業界全体を揺るがすほどの大きなインパクトのあった出来事が3つあります。2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災、そして、2020年の新型コロナウイルスによるパンデミックです。

12年前のリーマンショックがオフィス業界に投げかけた問いは、「いかにコストを削減するか?」です。フリーアドレスを中心に、立ち会議室や収納スペースの効率化など、とにかく徹底的に面積効率を高めて賃料を圧縮するのが大きなブームとなりました。

9年前の東日本大震災がオフィス業界に投げかけた問いは、「いかに事業を安定的に継続させられるようにするか?」です。BCPを最重視して拠点戦略を練り直し、バックアップオフィスとなる拠点をつくったり、拠点を分散型にする動きが活発になりました。

リーマンショック後の省スペース化と、東日本大震災後の拠点分散化は、もちろん良い面もあったものの、過剰な面積圧縮が働きにくさを生んだり、拠点が分散することによるコミュニケーションロスが浮き彫りになったりと、負の側面もありました。

「コストやBCPも大事だけど、働きやすさやコミュニケーションの取りやすさはやっぱり大事」と考える企業が増えてきたこともあり、2010年代後半のオフィス業界のトレンドは「はたらき心地の追求」や「拠点統合による組織の一体感」といったものが多くなります。

ここに、世界的なトレンドとなっていたオフィスのレジデンシャル化(オフィスのリビング化)を背景にして、多くの企業で ABW (Activity Based Working) をベースコンセプトとした拠点の集約と拡大が進みました。

結果として、2010年代後半の(before コロナの)オフィスは、リーマンショック以前と比べてベースコンセプトやゾーニング・レイアウトにこそ特徴的な違いはあるものの、構築される空間の目的やオフィスの存在意義といったところはそれほど変わっていないと言えます。

ところが、with コロナ以降にオフィス業界に起こっている変化は、リーマンショック・東日本大震災のときの変化とは "本質的に" 異なるものとなっています。

それまでほとんどのオフィスが、「企業がオフィスをもつことは当たり前の大前提で、いかに良いオフィスをつくりうまく活用するかが大事」という考え方で設計されていたのに対し、with コロナ以降のオフィスは「まず、自分たちにはオフィスは必要なのか?必要なのであれば、どんな要素が求められるのか?」という問いを始めるところからスタートするようになりました。

より正確に言うなら、「ほとんどの企業が当たり前にあるものとして捉えていたオフィスの必要性を、すべての企業が自問自答しなければならない時代になった」ということです。これは業界全体にあった "暗黙の了解" を根本的に覆す、とてつもなく大きな変化です。

当然ながら、「オフィスは必要か?」の問いに対する答えは、一意に定まるものではありません。しかし、「オフィスを持たない」や「オフィスを大幅に小さいものにする」といった、かつては考えることすら稀だった選択肢が、もはや "特殊解" ではなくなってきています。

それでは、かつて "特殊解" とみなされていたオフィスの捉え方の事例を、7つのパターンに分けてみていくことにします。

2. beforeコロナからオフィスをもたないリモートネイティブな企業

(1) Caster / キャスター
おそらく日本で最も有名な "リモートネイティブ" な企業。2014年の設立時から社員には出社を義務付けておらず、誰も出社しない日もある状況であったことを受け、2018年に本社オフィスを廃止、登記上の本社所在地をWeWorkへ移行。その後、宮崎県西都市と包括連携協定を締結し、現在の本社所在地は「キャスタースクエア西都」となっている。
cf. キャスター、本社オフィス廃止 シェアオフィス移行
cf. リモートワーカー700人超在籍のキャスター、宮崎県西都市でITによる地域活性化を加速へ

(2) SonicGarden / ソニックガーデン
2009年の創業からしばらくの間はオフィスをもちながらペーパレス化やクラウド化、メールからチャットへの移行、テレビ会議活用などさまざまな取り組みを進め、2014年にはバーチャルオフィスを導入、2016年に物理的なオフィスを撤廃した。「ワークプレイス」と呼ぶ事務仕事ができる住居用マンションが数か所あるのみで、2018年から「オンラインファースト」を掲げてリモートワークを推進中。
cf. 物理オフィスがない完全リモートワークまでの10年間の道のり

(3) GitLab Inc.
2015年からフルリモートでオフィスなし、現在では68カ国1300人のメンバー全員が地球上のどこかからリモートではたらくという、真のリモートネイティブな企業。かつて、Y Combinator卒業時にオフィスをつくったものの、3日でメンバーが出社しなくなり、オフィスをもたないフルリモート企業として成長を続けている。(日本法人となる GitLab Japan は2020年3月に設立)
cf. オフィスを持たないGitLabはフルリモートワークをどう成功させたのか?

(4) Buffer, Inc.
2015年にオフィスを廃止して完全リモートワークへ移行。全社員の給与リストを公開したり、世界各地のメンバーをタイムゾーンごとに顔写真付きで一覧公開するなど、透明性を非常に重視した企業文化を持つ会社としても有名。
cf. 社員数の増加により物理的なオフィスを捨て全社員がリモートワークに移行した理由

3. withコロナを機にオフィスを解約・廃止して完全なフルリモートへ移行した企業

(5) overflow / オーバーフロー
2020年1月、人員増に伴って手狭になったことから移転を計画、2.5倍の広さとなる新オフィスの候補先を見つけていたが、感染者が増加を続ける3月に移転を中止する決断をし、全社でリモートワークへ切り替え。2週間程度リモートワークを続ける中で、物理的なオフィスはもはや不要だと判断。4月に解約通知を出し、7月に退去。以降、本社登記用に借りたオフィスのみで、全社員が在宅勤務へ移行。
cf. さよならオフィス(中) 「オフィスでしか絶対できないことなんて、ない」の真意

(6) Work Happiness / ワークハピネス
感染の拡大に伴い、従来型の研修・組織コンサルティング事業から、展開する全ての研修・ワークショップ・コンサルティングをオンライン上で提供できる体制へと事業変革を目指すことを決定。「テレワークならではの受講スタイルと働き方」を実現すべく、まず自社を100%テレワークへ移行するためにオフィスを解約し、あわせて新サービスのサイトを開設。
cf. 突然ですが、オフィス捨てちゃいました。
cf. BLOG | テレワーク&リモートに特化した株式会社ワークハピネス

4. withコロナを機にオフィスを(ほぼ)解約・廃止した企業

(7) Kids Corporation / キッズコーポレーション
保育士以外のスタッフ社員を原則在宅勤務へ移行する中、全国7か所にある地方拠点オフィスの賃貸契約を2020年中に解約、都内に2か所あるオフィスも移転・集約し、全社的な定着を目指す。これら一連のオフィス解約・集約移転に伴い大幅なコストダウンになるが、東京オフィスだけでも年間1500万円の賃料が浮く計算となる。なお、在宅勤務への本格移行にあたり、自宅の執務環境整備のためにオフィスにあった椅子やモニターを希望する社員に無償で譲渡。あわせて、シェアオフィスの確保も進める。
cf. キッズコーポ、在宅勤務推進 地方オフィス全て解約

(8) 特定非営利活動法人NEWVERY
オンライン営業をきっかけとした取引が拡大し、リモートワークを活用することが事業展開上のメリットとなってきたことを受け、2020年7月にオフィス機能を廃止。ただし、既存オフィスの閉鎖と同タイミングより、職員・スタッフ・インターン生などがコミュニケーションをとるための施設として「コミュニケーション・ハブ」を2箇所新設。
cf. NEWVERY、フルリモートワーク導入により常駐オフィスを廃止すると共に、コミュニケーション施設を設置

5. withコロナを機にオフィスを縮小した企業

(9) Wingarc1st / ウイングアーク1st
3月以降リモートワークへ移行、アウトプットの質・量は低下せず、数回にわたって実施した同社の社員調査の結果でも、ほとんどの社員がリモートワークを好意的に受け止めていたことを受け、リモートワーク中心の働き方へシフトすることを決定。2フロア・約1500坪の本社オフィスを、1フロア・約500坪へと縮小する。契約期間が2年残っているため、億単位の違約金が発生するが、新しい働き方へシフトすることを優先し、違約金を払ってでもオフィス縮小を断行する。
cf. 違約金を払ってオフィスの3分の2を返却、ウイングアーク1stが開く「新常態」序章

(10) ClipLine / クリップライン
緊急事態宣言後、リモートワーク主体の勤務に切り替えたところ、多くの社員に良い効果が出ていることを確認。リモートワークによる個人の生産性向上を維持しつつ、さらに組織の生産性を向上させるためにオフィスの形態を変えることを決断し、コラボレーションスペースを中心とした、新オフィスを構築。オフィスの面積は約60%減(184坪→78坪)、家賃は80%減(500万円→100万円)。
cf. ClipLine株式会社、リモート主体の勤務に移行しオフィスを縮小移転

(11) ENECHANGE / エネチェンジ
コロナへの危機感が高まった2月に代表直轄の対策チームが立ち上げ、3月から原則フルリモートへ移行、5月に「ウィズコロナ時代の新しい働き方改革宣言」を発表し、テレワークの恒久化・オフィスの縮減・ハンコの電子化・出社を楽しくする工夫などを会社方針として策定。7月にはオフィススペースを40%削減し、浮いた賃料を使って、大人数用セミナールームをオンライン会議に対応できるよう配信用機材を整えた小会議室に改装するなど、新しい働き方に応じた環境整備も実施。
cf. テレワークと出社を併用するハイブリッド型勤務体制へ ENECHANGEの手応え

(12) さくらインターネット
beforeコロナでは、オフィスは「『社員が働きたい』と思うような情緒的な場所」、「経営者の成功のステータスシンボル」、「会社を体現する象徴的なもの」、「社員を引きつける役割も担う」といった価値観で捉えていたが、田中社長は「経営者のエゴで、古い考え方」と認識するように変化。さまざまな制度・手当を整備するとともに、入居している西新宿ビルの3.5フロアを1.5フロアに縮小する方針を策定、従業員主体でどんな要素がオフィスに残るべきかを検討中。
cf. さくらインターネット、東京オフィス半減へ “眺めがいい最上階”も手放す、田中社長「リモート前提」の考え方

(13) xenodata lab. / ゼノデータ・ラボ
もともとエンジニアはフルリモートだったが、緊急事態宣言以降は他の職種の社員もリモートワークを経験。予想以上に問題なく業務ができたことを受けて、全社的にリモートワーク体制に移行したところ、業務上のコミュニケーションを見える化する効果も実感。オフィスの必要性を見直した結果、面積を約70%(45.9坪→13.35坪)減らし、家賃も7分の1に減らす縮小移転を決定。
cf. 完全リモートワーク体制への移行に伴うオフィス縮小移転のお知らせ
cf. 渋谷からオフィスバブル崩壊始まる、コロナで「縮小移転」ラッシュ!

(14) ラクスル
目黒・五反田に2拠点のオフィス(それぞれ200人・60人)を構えていたが、3月からリモートワークを継続する中で、五反田の拠点がなくても十分と判断、解約することを決定。交通費(通勤費)とオフィス賃料をあわせて月700万円程度のコストが浮き、このうち半分の350万円分を社員へのリモート手当および環境整備のための補助金として活用。
cf. オフィス解約して社員に補助金…リモートワークを本格導入した企業の新たなお金の使い方

(15) nulab / ヌーラボ
beforeコロナのときから週1回までのテレワークを実施しており、感染拡大後の2020年2月中旬からは、回数制限をなくしてテレワークを推奨。今後も出社を前提とはせず、オフィスと在宅勤務を個人が選べるようにし、テレワーク手当やリゾートワーク制度などを整備。さらに、将来的にオフィスの在り方そのものの見直しを計画する中で、東京事務所を移転・縮小することを決定。
cf. ヌーラボ、社員へ支給するテレワーク補助を月1.5万円へ増額。長期的なテレワーク環境構築を見据え、東京事務所の縮小も決定
cf. ヌーラボ、テレワークを主軸としたワークスタイルへの変更に伴い、採用時の勤務地条件を廃止。全国でフルリモート勤務の採用を開始

(16) FUJITSU / 富士通
「オフィス縮小」の例としては最大クラスの規模感かつ大きな話題となった事例。7月に富士通全社員の行動原則である「FUJITSU Way」を12年ぶりに改訂、直後に、約8万人の従業員の勤務形態を原則テレワーク化し、2022年度末までにオフィスを現状の50%程度とすることを含んだ「Work Life Shift」という施策を発表。
cf. オフィス半減・基本テレワークで「一番風呂DX企業」に変身する富士通
cf. 富士通がテレワークを「常態」に、オフィス面積を半減し在宅勤務補助月額5000円

(17) TOSHIBA / 東芝
こちらも富士通同様にかなり規模感の大きい縮小事例。工場を除く本社・支社のオフィスを縮小するために、10月から調査を開始して時期や場所を検討、最終的には国内のオフィス面積のうち約3割の削減を目指す。また、あわせて契約するサテライトオフィスの運営企業を3社に増やし、テレワーク時に活用できるサテライトオフィスを従来の2倍の180拠点とした。
cf. 東芝、国内オフィス面積の3割削減を検討
cf. 東芝、サテライトオフィスを2倍の180拠点に

6. withコロナを機にオフィスを縮小しつつ+αした企業

(18) BULLET GROUP / バレットグループ
感染対策として3月から原則在宅勤務を継続しており、リモートワークを前提とした働き方に対して物理的オフィスの必要性を検討した結果、オフィスを縮小すべきと判断し、7月に本社を縮小移転。また、移転にあわせてコワーキングスペースやシェアオフィスを複数契約したり、ワーケーションを推進するなど、新しい働き方を導入。
cf. 〈バレットグループ〉フルリモート勤務推進に伴うオフィス移転のお知らせ

(19) Works Applications / ワークスアプリケーションズ
3月から全社テレワークを実施、今後もテレワークを主体とした働き方を継続することをふまえ、オフィスを「作業の場」から「チームワークによる新しい価値を創出する場所/従業員のエンゲージメントを高める場所」と再定義し、2020年12月に移転予定。新オフィスは座席数を1/3程度に減らし、新しいコミュニケーション創出に向けたアイデアソンの社内イベントを開催する。
cf. オフィス移転のお知らせ ー ニューノーマル時代の”新しい働き方”の実現にむけて ー

(20) TATERU / タテル
ニューノーマルな働き方への移行の取り組みとして在宅勤務へ取り組み、これと並行してオフィスの在り方についても検討。テレワーク体制をベースにしながら、モデルルームを併設する形で本社を移転させ、同時に、新たに別拠点となるサテライトオフィスを設けることで従業員の生産性向上を図る。拠点数は増えるものの、全体のオフィススペースとしては大幅に減らし、年間賃料を1億円以上減額。
cf. 働き方改革としてオフィススペースを削減し、生産性の向上と業務環境の快適さを追求した新東京本社を開設

(21) NURVE / ナーブ
全従業員を原則リモートワークとした勤務体制へ移行するのにあわせて、リモートでは業務遂行が難しい点のあるハードウェアの開発拠点を新設して、そこに本社機能を統合させて移転。今後はワーケーションの導入も積極的に検討していく。
cf. 完全リモートワーク体制移行に伴うオフィス移転のお知らせ

(22) BRIDGESTONE / ブリヂストン
グループ全体での働き方の再定義への取り組みの一環として、オフィス拠点の配置とワークスタイル・制度を刷新。主要47拠点を34拠点に集約し、約8億円の経費を削減、オフィス内ではフリーアドレスを拡大、また、首都圏でのサテライトオフィスを3拠点から7拠点に拡充する。制度面では、テレワーク回数の上限とその対象者の制限を撤廃、自宅での執務環境整備を目的としたテレワーク手当を新設する。ワークプレイスとして選べる候補に従業員の自宅も加え、会社方針として働く場を分散させようとしていることが伺える。
cf. ブリヂストン、オフィス拠点を統合・再編 47拠点を34拠点に集約

7. withコロナを機に検討はしたものの現オフィスに留まることにした企業

(23) LayerX / レイヤーX
緊急事態宣言前後で全社員をフルリモートに移行、オフィスは不要と判断し、4月中旬に解約通知を届け出た。しかしその後、約2か月間に渡り、移転先の候補探し、新しいオフィスの在り方、必要なコストなどについて議論を続けていく中で、「リソースをオフィス検討ではなく事業に向けるべき」と判断したことから、現オフィスに留まることを決め、解約通知を撤回。
cf. さよならオフィス(下) 「解約やっぱりやめた」僕らがオフィスに戻るワケ

8. withコロナを機にオフィスを拡大移転した企業

(24) 10X
3月~6月まで4か月間の完全在宅勤務を経て、テレワークの効果を確認し、一度は解約通知を出したものの、在宅勤務を続ける中でコミュニケーション面での課題を感じ、それまで気付いていなかったオフィスの有効性に注目した結果、それまでの3倍の面積のオフィスへ拡大移転することを決意。
cf. さよならオフィス、その後(下) 縮小から一転、面積を3倍にするベンチャーの決断

(25) リノベる
4月~6月までの原則テレワークの期間に、業務の工数計測や生産性などの検証を通して、リモートでできること・リモートでは難しいことを整理。オフィスに集まることの大切さや、コミュニケーションセンターとしてのオフィスといった考え方に確信を持つことにつながり、3つに分散していた拠点をまとめ、2倍強の広さのオフィスへ拡大統合移転することを決定。
cf. 【vol.56】 リノベる新オフィス移転レポート①/これからの働き方、リアルなオフィスの価値を探る

9. 「オフィス不要論」に対する(私の)結論

「オフィスは不要か?必要か?」

この問いに対する私の答えは、以下のようになります。

「オフィスが必要かどうかの答えは、企業によって異なる。また、その答えは 必要 or 不要 という2択から選ぶことすらできず、答えを導き出すためには自社にとっての "オフィスとは何か" を再定義することが必要である。さらに、その定義は企業の成長段階によって変わることもあるため、同じ企業でもオフィスの必要性は変わっていく。」

いま、オフィス業界で最も重要視されている働く場づくりの考え方・コンセプトは、「フリーアドレス」や「ABW」ではなく、働く場の「ライトサイジング」(right-sizing / 規模の適正化)です。

同業界・同業種で同じくらいの人員数のいくつかの企業があったとしても、それぞれの企業にとって適切なオフィスの規模や拠点の配置は異なります。そして一つの企業だけをとってみても、その企業にとって適切なカタチは成長段階に応じて変わっていくのです。

今回、ピックアップした25社は、それぞれ思案を重ね、オフィスを再定義した好例ですが、それが正解かどうかはまだ分かりません。各社の "今後" がどうなるのか、afterコロナとなったときに各社のオフィスはどう変わっているのか、非常に楽しみです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?