ロームの2019年Q1決算を読み解く

今回は京都の電子部品大手、ロームの決算をみていきます。

以下、今期決算の解説文以外は前回の決算時の記事とほぼ同じです。以前の記事をご覧になった方は読み飛ばしてください。

※SiC採用例の記事のみ大きく加筆してあります。


ロームといえばかつては京都を代表する優良企業のひとつでした。

日本の大手家電メーカーから特注でカスタムLSI開発を請け負う企業として非常に高い利益率を誇っていました。

しかしその後、日本の家電メーカーが没落すると共にロームの業績も下降しはじめ、サブプライムローンバブル崩壊&リーマンショックを受けた大不況のなかで業績不振に。

2013年には赤字に転落し、まさに日本の製造業の衰退の歴史を代表する銘柄となりました。


SiCパワー半導体に期待されるローム

そのロームが、最近は株式市場の注目を集め始めています。

注目されているのはSiC(シリコンカーバイド)を用いたパワー半導体の伸びです。

これまでのシリコンを使ったパワー半導体に比べて、SiCを用いたものは電力消費を著しく抑えることが可能になるため、今後普及拡大が予想されています。

ロームはこのSiCを用いたパワー半導体の大手企業であり、しかも、同業他社にはない最大の強みを持っています。

今回はそのあたりのSiC関連の業界動向なども含め、ロームの決算内容をみていきます。

また、かつてロームがやっていた(今もやっている?)営業手法についても、軽く触れておきます。(深くは書きません・・・というか書けません・・・)


ロームの長期業績推移グラフ

まず、同社の長期業績推移を眺めて、ざっくりとした解説をしておきます。

ごらんのとおり、ロームの業績は非常に低迷してきました。

この20年、ほとんど売上が成長していません。

というより、利益はかつての水準に遠く及びません。

昔と今とでは全く別企業のようです・・・

これは営業利益率でみれば歴然です。



ロームはかつて営業利益率30%を誇る超優良企業だった!

むかしのロームは、株式市場でも非常に評価の高い、超優良企業でした。

営業利益率は30%超という高い収益を誇っており、世間の人は知らないが、株式市場の人はみんな知っている・・・

そう、今で言えばキーエンスのような扱いをされていた企業でした。

それが没落します。


背景にあったのは、日本の家電メーカーの没落です。

ロームは強力な営業部隊を誇っており、国内の家電メーカーと密な関係を保っていました。

各社が製品の差別化のために特注でカスタムLSIを発注してくるのを受注し、同時に、簡単なデバイスやタンタルコンデンサなども抱き合わせで販売する、そんなビジネスを行っていました。


ロームの営業部隊とローマンティック女性部隊

ロームは毎期、「ローマンティック」という季刊誌を発行しています。


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