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好き嫌いとは別次元な”自閉症の人の偏食”。「食べたくない」じゃなく「食べられない」んですよ!

自閉症の子がいる家族は家にこもりがちになるっていうのは数日前のnoteにも書いたんだけど、たくさんある「家にこもらざるを得ない」理由の一つに「偏食」の問題があるんだよね。

「食べられる物が限られている」っていうのがそもそもの外出を制限せざるを得ない理由ではあるんだけど、偏食のある子のいる家族は、食べられる物があるレストランの有無を下調べしてから行楽に出かけたり、食べられる物を持参しないと外出は難しくなるんだよね。

これはどういう事かというと、行き当たりばったりで長時間の外出や遠出するのはリスクがあり過ぎるし、他の人との集まりの場、例えばお誕生日会だったり、親戚の集まりだったり、結婚式だったりといった「食事が先方によって提供される」状況の時に「配慮が無い状態」ではその集まりへの参加自体を諦めないといけないんだよね。

じゃぁ、偏食のある子のいる家族が「そうしてもらえたらいいなぁ」っていう配慮はどんな事かというと

‐その子が食べられる物を特別に用意してもらえたり
‐その子が食べられる物を持参する事を許可してもらったり

ということなんだよね。

もちろん「特別に用意してもらう」っていうのは相手との関係性によっては度が過ぎてるからあまりそういったお願いはしない家族が多いとは思うんだけど、「持参する事」を「失礼だ」と断られる事があるんだよね。もちろん、腕によりをかけて作った物やおもてなしの気持ちを台無しにしかねないのは重々承知なんだけれど、偏食を「単なるわがままだ」とみなしていることで生じる誤解が事態を複雑にしてしまってるって事がよくあるんだよね。

発達障害の人の困り感ってね、障害がない人からすると「それって要はわがままだよね」って誤解を受ける事が多いのね。

そんな「わがまま」と誤解を受ける困り感の代表的なものが自閉症の子の感覚過敏による「偏食」。
「好き嫌いはよくないよ」
「親が何でも食べさせようとしないからじゃない?」
「要はわがままだよね」
とかって言われるケースが本当に多くて、本当の理由を説明するのにいつも大変だし、しかも納得もなかなかしてもらえないんだよね・・・。

だからね「食物アレルギーがあるから」と同じくらい「自閉症の特性による偏食です」って言って「あ、そうなんだね」と納得してもらえる日が来てほしいなって思うから、ちょっと今日は過去に書いたブログから抜粋して「自閉症の人にとっての偏食とは」を説明したいと思います。

自閉症の人の感覚過敏による偏食とは?

自閉症の人の偏食は、「好き嫌い」っていうわがままな感情の次元ではなく、自閉症の人の特性である同一性保持(同じ物・同じ状況へのこだわり→同じものや同じ状況に「安心」を求めた行動)や自閉症の人に多い感覚過敏という感覚の特性が原因で「ある一定の食品しか食べられない」という体の”Can not eat”の反応であって”Don't want to eat"といったような意思や感情による選り好みの行動ではないんだよね。

感覚統合療法といった特異な感覚に働きかけるセラピーでの改善は少しはみられるものの、残念ながら偏食改善への明確な解決方法は見つかっていないんだよね。でも「安心」を求めた行動という観点から「無理強い」は悪循環でしか無い事をまずは多くの人に知っていてもらいたいなって思うのね。

口の中が異物を感じやすいのには理由がある

人ってね、四六時中外からの感覚刺激に反応して生きているんだよね。でも、それらの感覚情報を同じだけ受け止めてるんじゃなく、外からの感覚を特に感じやすくなっている体の場所があるんだよね。

それを人形で表してくれているのが以下の写真:ホムンクルス。

このホムンクルスっていう人形は、人間の感覚の感じやすさ度合いを大きさで表しているんだよね。一見してわかるように、手と唇と舌が実際の体の体積に比べて異常に大きいよね。要するに、それらからの感覚情報は生きて行く上で重要であり、できるだけ沢山の情報が得られるように人間の体はできているのね。感度が高いというわけ。

例えば手のひらに砂がついていたら気になってはたきたくなるけど、背中に同じ量の砂がついてても気にならないよね。でも、ほんの一粒の砂のような異物が口に入ったら、すぐに気づくよね。魚の小骨に気づけるのも、この機能のおかげなのね。

自閉症の人で「偏食」の問題を抱えている人の多くは、唇や舌の感覚が普通よりも過敏になってるんだよね。ただでさえ多くの感覚情報が唇や舌から脳に送られていくのに、まるで異物のような嫌な食感の物が口に入って来た時、吐き出したくなる。これって恐怖だよね。

だから、感覚過敏による自閉症の人の偏食は、恐怖に対する防衛反応でもあると思うのね。例えばあさりのお味噌汁に砂が混じっていたり、魚の小骨が入っていたら、次のひと口からはすごく警戒するよね。さっきまでよりはもっと念入りに小骨の有無を調べてからじゃないと口に入れたくなくなる。偏食のある自閉症の人が以前に嫌な経験のあった食べ物を口に入れられないのは、それと同じ反応が極端に起こってしまっている状態っていうことが一因でもあるんだよね。

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今日書いたのは、味覚、触覚、嗅覚、聴覚(噛んだ時の音)に感覚過敏があって決まった物しか食べられない自閉症の人の偏食の原因の一つを書いただけだけど、なんとなくでも「好き嫌いじゃないんだな」「わがままなんじゃないんだな」って理解してもらえてら嬉しいです。

夏休みの帰省などで親戚で集まったり、夏休みのサマーキャンプだったり、休みを利用して集まりを企画する人も増える時期かと思うんで、このnoteを読んだのをきっかけで自閉症の人の偏食が「Don't want・食べたくない」じゃなく「Can not・口にできない」であり、無理強いするんじゃなく配慮が必要なんだなって知ってくださる人が少しでも増えてくれたら嬉しいです。

そしていつか、「食物アレルギーがあるから」と同じくらい「自閉症の特性による偏食です」って言って「あ、そうなんだね」と納得してもらえる日が来てほしいなって思います。

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