「どうして叩いたの?」「…」「腹が立って叩いたの?」「うん」の危険性

スマホが鳴る。着信番号を見ると学校から。日中の学校からの電話。もう嫌な予感しかしない…。

電話は、息子の支援級の担任の先生から。
「話したいことがあるから迎えに来た時に少し時間をとってほしい」と。

これは、息子が2年生か3年生の時の話しなんだけど、例の新幹線の事件を受けて、走馬灯のように私の脳裏に駆け巡ったんだよね。

支援級の先生が口を開く。

「手短に言うと、チャビが今日トムを叩いてしまった。でも悪いのはチャビじゃなく、トム。でも叩いてしまった事は許されることじゃないし、そこはチャビには説明済みで謝罪済み。でも今日ママにきてもらったのは、それを咎めるためじゃない。チャビの社会性・コミュニケーションスキルの低さからくる誤解を受ける危険性について一緒に話し合って、今後そのリスクを回避したいから」と。

息子がトムをたたいた時、先生をはじめ大人は誰もそれを目撃していなかったと。で、騒ぎをききつけて来たある先生がチャビに「なぜ叩いたの?(Why: Open ended question)」と理由をきくとチャビは「・・・」。先生が「腹が立って叩いたの?(Closed ended question: Yes or No)」「うん。腹が立って、叩きたかったから」と。

ここで話が終わると息子は「凶暴な子」でしかない。

そこへ呼び出されて後からきた支援級の先生が息子に事情をきいたんだよね。支援級の先生は息子の特性の事をよく知ってるし、それに今まで息子が人を叩いたりといった行動一度もしたことが無い事から、話を丁寧に聞き出さなきゃいけないなと状況をさかのぼると、きっかけは相手の子で息子の正当防衛だったらしい。

「叩きたかった」という言葉とは裏腹に、意味もなくたたきたかったわけではないんだよね。

目撃してた子供達の話と、息子への丁寧な支援級の先生の聞き取りを元にわかったのは、トムが執拗に息子の身体的な部分を馬鹿にし続けたと。それを「やめてください~!」と少しパニックぎみに懇願し続けた息子。で、トムに「やめてほしければ叩いてみろ。弱虫だからできないだろうう」と言われた息子がトムの肩を叩いたと…。

当時の息子は、過去やその場であった出来事を構造的に語るのが苦手だったんだよね。こんな風に、自閉症の子は想像力や物事の認知に困難な部分があるので、物事を時系列にかつ関連付けて考えるのが苦手な子が多んです。(特にアスペルガーの子は、流暢に話すけれど、その見かけとは裏腹に、物事への理解が困難な場合が多いんです。)

だから、行動の理由を表現する時「今」の感情を語りがちで、実直の感情の「たたきたかった」としか表現できなかったわけ。この時のように息子の障害の特性のよき理解者が話を丁寧に聞きださないと真相は闇の中になり、誤解が事実になってしまうんだよね。

こんな息子のように、子供なら大人の目や理解・介入もあるから事なきを得る場合が多いんだけど、これがこと大人の発達障害の人になると話は別。

このnoteは、新幹線の事件を受けて私が思いだした話で、事件との関係は全くないんだけど、一般論として、自閉症の人が取り調べを受けたりする時に、こういった自閉症の人の特性の理解や、質問の仕方への配慮(Yesを誘導するような質問の仕方をしない等)への理解が進んでほしいなって思うし、

学校や放課後に友達と遊ぶ機会の多い自閉症の子供達がトラブルを起こした時(勿論トラブルじゃない時も)、こんな風に誤解のままそれが事実にならないように、こういう自閉症の特性を知ってほしいなぁと思ったのが今日のnote。

(ちなみに、息子はこの時に「人を叩くのはいけない」とソーシャルストーリーを使って丁寧に学び、人を叩いたのはこれが最初で最後です。)

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

たくさんの方々に読んでいただいたり、支援方法を参考にしてもらえたらと思い記事を無料公開していますが、 今までもこれからも勉強を続ける私の為に「投げ銭」という形でご支援いただければすごく励みになります。 よろしくお願いします。

Thanks! I wish you happiness :)
114

チャビ母

発達障害のこと、みんな知って~

発達障害(自閉症・学習障害・ADHD)の理解をできるだけたくさんの人にしってもらいたいチャビ母の願いが込められたnoteたちです。
1つのマガジンに含まれています

コメント4件

わたしは30歳を越えてますが、幼いときに息子さんと同じような経験をしたことがあり、「どうして?」を優しく投げ掛けられる大人がそばにいてくれたら…と今でも思います。
事情をちゃんと聞いてくれる先生が近くにいて良かったですね。
ゆきさん、こんにちは。コメントいただきありがとうございます。
そうなんですか…。それは、歯がゆくてくやしい経験ですよね。本当に、子供の立場に立って理解しようとしてくれる人の存在って大きいですよね。息子はそういう意味で恵まれていました。そういった息子と私の経験をこうやってシェアすることで、救われるお子さんが増えてくれたらなって思います。
記事内の先生のように、息子に対して「私が」対応するべき場面も今まで多々ありました。小学校入学後からの何度かの事件を経て、3年生頃に気づきました。小学校の低学年の時の優しい担任の先生に救われました。その先生はいろんなトラブルの報告のあと最後に「お母さんはどんなことがあっても、お子さんの味方であってください。何があってもです!」と会うたびに強調しておられました。今になって思い出しました。
今改めて覚悟しました。
puniさん、コメントありがとうございます。
そうですね。一番の味方がお母さんという事と、お母さん以外に理解者がいるっていう事は本当にとっても大切な事だと思います。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。