「音楽(おとあそび)表現ワークショップ」 についての覚え書き

 以前より「音楽とは?」「演奏とは?」について考えています。
ぶっちゃけ未だに判っていませんが。


 「音楽」とは何でしょうか?とてつもない大きな問いです。
これを先人たちはこのように定義して語っています。

・広辞苑
 「音による芸術」
・4世紀の哲学者アウグスティヌス
 「音楽とは音を良く整える知識(scientia スキエンティア)」
・20世紀アメリカの音楽家ジョン・ケージが、カナダの音楽家マリー・シェーファーへ宛てた手紙
 「音楽は音である。コンサートホールの中と外とを問わず、われわれを取り巻く音」
  ・20世紀イギリスの音楽民族学者ジョン・ブラッキング
 「音楽とは人間が組織づけた音」

 そもそも「音楽」と云うことばは古くから存在していました。しかし一般的な用語ではなかったのです。現在われわれが使っている意味、すなわち様々の音楽形態をすべて包括する意味での名称として、「music」の訳語を「音楽」と当てはめたのは、明治初頭の日本人、西洋音楽導入期の音楽教育者たちでした。そして明治期における「音楽」とはほとんど西洋音楽を意味していました。江戸期以前は様々な音楽形態に対し様々な呼称があり、「音楽」もそのうちの一つにすぎなかったのです。「音楽=music」と再定義されたのは、たがだか150年程度の歴史しかないのです。
 古来の多用な呼称のなかで、現在の「音楽」を意味する「music」に近いことばは、「樂(楽)」であると言えます。今日ではよく〔「音を楽しむ」から「音楽」になった〕と云う説がありますが、これは語源的な観点から見ると間違っていると云えるでしょう。

 古く中国において「聲(声)」「音」「樂(楽)」とは、別の概念として区別され、

「聲」: ものに感じて動くもの(が発するおと) …おおむね”sound(s)”
「音」: その声が変化して形を表す(意味のある形のおと) …おおむね”tone”
「樂」: その音が重なりあって作られたもの(音楽) …おおむね"music”

 これは音楽の要素として観念的な概念が「声」であり、実際的な表現の単位が「音」であり、その「音」が集まって「楽」となるというような用語法であったと考えられてきました。
 「樂(楽)」の字源は、木の柄がある手鈴の形です。櫟(くぬぎ)の「木」に「糸(幺)」を張り、「白(親指の爪)」で奏でる祭礼用の楽器を表した象形から成り立ったと言われています。

続く……

音楽(おとあそび)表現ワークショップ

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