見出し画像

スズキコージ展 入場料はくりのみ10個

出展:御殿山生涯学習美術センター「スズキコージ展~入場料はくりの実10個~」

入場料はくりのみ10個

思わず目をひく、面白いタイトルです。
開催された御殿山生涯学習美術センターのスタッフさんのアイデアだそうです。
実際にどんぐりを持ってきたお子さんがいらっしゃったとのこと。
そのお話を聞いたスズキコージさん
「どんぐりならクマが喜ぶねえ。」とおっしゃっていました。

講演会は13時半からだったので、原画を拝見してからにしようとじっくり拝見していました。

展示されていたのは
【ライブペインティング】6点
【便座-BENZA-シリーズ】3点
【ダンボール立体作品】4点
絵本『やまのディスコ』原画 19点
絵本『チンチラカと大男』原画 13点

もう、色と筆遣いと質感に圧倒されてしまって心の中で「ひゃあひゃあひゃあ」と叫んでいました。

すっごいんですよ。
是非ほんものを直に見ていただきたい。

興奮したまま、講演会10分前なので会場に入ると

スズキコージさん、もう座ってお話を始められていました。
えっ?
と焦っていたら、スタッフの方の
「先生、講演会は13時半からですよ。」の声で
「あら、そうなの?」と
一旦退場。

そして再び現れた時には、なぜか仮面をかぶって太鼓を叩きながら入場をされました。会場はみんな大喜び。
かなりサービス精神が旺盛な方のようです。

ジョージアの地図をホワイトボードに描きながら

地球上には放浪の絵描きが何人かいてね、山下清みたいな感じの。
僕も放浪の絵描きかもしれない。

撮影と掲載の許可をいただいております。

そう、今回の講演の題材はジョージアが舞台の絵本
チンチラカと大男とともに」

文章を書かれた片山ふえさんがご欠席とのことで、スズキコージさんがこの絵本を作られたきっかけのお話をする・・・

そのはずだったと思うんですよ。

ジョージアになぜ惹かれたのか、それはピロスマニ―という放浪の画家がいて、素朴で僕の大好きな絵なんですよ。
彼の絵は真っ黒、なんでかっていうと極貧でその日暮らしの生活。キャンバスなんか買えないから真っ黒な防水布に絵を描いていたんだ。
その絵を描いているときは彼にとって至福の時間だったと思うんだよね。
僕は彼に出会っちゃったんだ。

と放浪の画家へのあこがれを話されたかと思うと

なんとお酒をやめて今日で40日目なんだよ!拍手!

って言ってみたり。

みんなで「チンチラカ!チンチラカ!」と掛け合いをしてみたり。

お話が飛びまくってて、それが本当に楽しくて。
講演会ってこんな面白いもんだったかしら?

って思いました。

講演会も中盤を過ぎてから

やっとチンチラカのお話になりました。

行ったことないけど、見たように描くのが得意なんだよ。
出てくる登場人物なんか僕の田舎のお坊さんに似ている。近所の人に似てきちゃうのかもしれないね。
昔話はお話にパターンがあって、同じシーンが何度か出てくる。これは描いていても面白い。
チンチラカは知恵が働くから、大男をだましちゃうんだけど。
愛すべきは大男で、チンチラカの方が悪党に見えてくるね。

ちょっとどんくさい大男に愛着を持たれているのかなって感じました。

あちこちお話が変わる中で印象に残った言葉。

頭の中に世界がある。なんでこんな絵が描けるのか僕にもわかりません。
ガキ大将がいたり、子どものころのいろんな体験があったから描けるんだろう。
頭がいいんだか悪いんだかわからない風になりたいね。予期せぬことが起こる方がおもしろい。

質問コーナーで

「先生の原風景はどこですか?」と聞かれた時に
あなた達の原点、一番大事にしているものはどこにありますか?
逆に問いかけられました。

スズキコージさんを作り上げてきたものは、今までの体験であり、それは唯一無二のものかもしれない。
でもそれって私たちもそう。自分の経験は自分のものでしかない。
それを何かにアウトプットできるのが創作に携われる人なんだろう。

そして
ひとつのことをしつこくやれば、なんにでもなれる。
そして人との出会い。僕はそれがめちゃくちゃ良かった。
ともおっしゃられていました。

お話の終わりの方に
2月28日生まれなんだよ。
うお座なんだけどね、溺れちゃうタイプなの。お酒に。

最後までお茶目なスズキコージさんの講演会でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?