Dr.岸田の 感染症コンサルタントの挑戦(10)

Dr.岸田の 感染症コンサルタントの挑戦(10)
第10回 ICT(→AST)への臨床推論教育③
岸田直樹 きしだ なおき
感染症コンサルタント
北海道科学大学薬学部客員教授


はじめに

 前回は,感染症の臨床推論のツールとして,“感染症診療における5つの穴埋め作業”の話をしました.その中で「感染症診療のロジック」として5つの側面での情報収集とその整理が必要不可欠であることを述べました.臨床感染症のマネージメントがうまくいかない場合は,この5つのどれかのアセスメントが不十分なだけのことが多いでしょう【1】.

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【感染症診療のロジック】
1.患者背景を理解
2.どの臓器の感染症か?
3.原因となる微生物は?
4.どの抗菌薬を選択?
5.適切な経過観察

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 たとえば「熱があるので抗菌薬」という発言はよく見かけますが,1~3が完全に抜けています.このように,抗菌薬を解熱剤のように使っているように見える診療には,ちょっとした苛立ちを覚えるICTの方も多いでしょう.しかし,適切な臨床感染症を学んだ経験がある上級医は多くはありません.研修医にはこのロジックを「背景・臓器・微生物・抗菌薬・経過観察」とお経のように日々唱えさせていますが,みなさんも日々唱えつつ,目の前の患者さんがこの5つを踏まえて整理されているかをチェックできる一人になってください.この穴埋め作業こそがASTそのものであると言っても過言ではありません.繰り返しますが.臨床感染症は目の前の患者さんからこの5つがきちんと捉えられているか? ただそれだけです.ただそれだけですが,多くの場合はこの5つを考えるための「情報収集が不十分」であったり,得られた情報から今回の患者さんに関係する5つについての「アセスメント」が不十分であることがほとんどです.臨床推論はそれぞれの目的に対して[図1]の3つのプロセスをとっているだけです.「目の前の患者さんごとに,どのような情報を,どのように収集し(Process 1),得られた情報を病態生理を踏まえてどのように解釈し(Process 2),診断・治療方針・効果判定などの判断につなげるか?(Process 3)」です.その結果としてこれらの穴埋めがされることになるのですが,そのためにもまずは的を射た情報収集(Process 1)が大切になります.今回は,臨床感染症における情報収集についてご紹介します.

[図1]臨床推論3つのプロセス


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