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抗菌薬相互作用整理BOX(2)

抗菌薬相互作用整理BOX(2)
[第2回]古くて新しい相互作用!?プロベネシドと抗菌薬の併用
山田和範 やまだ かずのり
中村記念南病院薬剤部係長


はじめに

 梅毒が増えています.感染症法による感染症発生動向調査によると,梅毒の報告は1999~2012年は全国で年間500~900例で推移してきましたが,13年以降年々増加し,本稿執筆時点での梅毒の発生状況は国立感染症研究所のIDWR 2016年第49週によると累積報告数4,259例と増加傾向は継続しています.特に若い女性の異性間感染の増加が目立っています.先天梅毒も実数は少ないものの増加傾向がみられます.
 梅毒治療は,ペニシリンが第一選択薬であり,CDCガイドライン2015【1】によると,HIV感染を問わず,1期,2期梅毒,早期潜伏性梅毒にはbenzathine penicillin G(BPG)240万単位を筋注で1回,後期潜伏性,3期梅毒には240万単位を1週間おきに3回の計720万単位を筋注することが第一選択となっています.
 しかし,日本ではBPG筋注が使えませんので,これに対する代替療法として,アモキシシリンにプロベネシドを併用する経口薬治療レジメンも使われてきました.HIV患者の梅毒治療に対し1日3 gの高用量アモキシシリンにプロベネシド併用の有効性についても日本から報告されています【2】.
 今回は,このプロベネシドの相互作用についてみていきたいと思います.


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