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Dr.岸田の 感染症コンサルタントの挑戦(5)

Dr.岸田の 感染症コンサルタントの挑戦(5)
第5回 具体的な介入 ③
感染対策上重要な微生物検出時のカルテ記載例
岸田直樹 きしだ なおき
感染症コンサルタント
一般社団法人Sapporo Medical Academy 代表理事


はじめに

 前回は,マイクロバイオロジーラウンドからの情報発信で,血液培養が陽性となった場合のカルテ記載例について確認しました.血液培養が陽性となった時点ですので,まだ正式な菌名が出ていない状況でどのような情報提供を行うかは意外に難しいと思います.ミスリードにつながる情報提供にはならないようにしないといけません.しかし近年,血液培養を取ってくれる先生が増えた一方で,培養結果の読み間違いにもかなり出会います.情報過多にならない程度に,しかし患者さんの救命のために適切な情報を迅速に伝えたいところです.ぜひ,各施設でカルテ記載を実践してみてください(各施設の状況に合わせて微調整してくださいね).
 さて,今回は具体的なカルテ記載例の感染対策編です.前々回にMRSAが培養から検出された場合の記載例を紹介しましたが,感染対策上重要な微生物は他にも多数あります.また,それぞれの感染対策が微妙に異なりますので現場にわかりやすく情報提供をしたいところです.血液培養など無菌検体に限らず,感染対策上重要な微生物への対応も迅速性が重要です.週1のラウンドによる介入も悪くはないですが,時間が経ってしまうと,現場から「菌が検出されてから何もしていなかったのに今からそれやるの?」と思われるのも無理はありません.直接押し掛けない非侵襲的なこの介入を細菌検査室で検出されたそのタイミングでぜひトライしてみてください.SNSのように意外に多くの職種の目につく効果は大きいと日々感じます.


感染対策上重要な微生物検出時の記載例

 前々回も紹介しましたが,培養からMRSAが検出された場合の記載例を改めて紹介します.そのような記載となる理由や記載例に関しては,その病院でどこまで感染対策ができるかによっていくつかバリエーションがあるので,記載例を微調整するポイントなどを紹介します.

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