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微生物検査 危機一髪!(6)

微生物検査 危機一髪!(6)
[第6回]その同定結果をどこまで信じるのか?
山本 剛 やまもと ごう
神戸市立西神戸医療センター臨床検査技術部


はじめに

 微生物検査室で行っている同定検査とは,感染症患者から分離された未知の微生物が,過去にどの微生物として分類されたのか,どの程度の菌量が存在するのか,分離された微生物にはどういった病原因子があるのかなどを確認するものである.普段は培地を使い検査材料中の微生物を発育させ生化学性状に基づいて同定を行っているが,最近では遺伝子を調べて同定したり,微生物のリボゾームタンパクの違いを質量分析機器にかけて同定したりとその手法は多様化している.
 なかでも,遺伝子検査は培養同定に比べて結果報告までの時間が早く,検査効率の良い検査というイメージもあるが,一回の検査にかかる費用は高価であり,標的となる遺伝子にマッチングしなければ検出ができないという,培養検査に比べると感度が低い特徴がある.そのため,材料から直接PCRを用いた同定を行うよりは,培地上に発育したコロニーを利用して同定を行うほうが合理的なのかもしれない.今回は同定検査を取り上げることにする.


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