微生物検査 危機一髪!(9)

微生物検査 危機一髪!(9)
[第9回]膿汁検査危機一髪
山本 剛 やまもと ごう
神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部


 前々号,前号とRejection Criteriaについて話をしてきたが,antimicrobial stewardship program(ASP)には微生物検査が大きく関わっていることは周知されていることで,あえて言わせてもらうが,「今さら」という言葉に置き換えることができるかもしれない.AMRアクションプランで臨床検査(特に微生物検査)の重要性についても注目するようなことが書かれているが,特別に大きく検査手順や業務が変わったわけではない.あまりにも日常的すぎる内容をどうASPに絡めて対応していくかを考えないといけない.
 微生物検査が関係するASPに材料採取を適切に行うというものがあるが,それは検査結果で病原微生物をいかに効率的に検出するかを大切にしたいからである.微生物検査室では,従来から培地上に発育する微生物を同定し,感受性を加えて報告をしているが,そこには常在菌と起炎菌との区別が明確にされているだろうか?
 たとえば,膿汁という検査材料があるが,読んで字の通り好中球が多く含まれた液体である.つまり何らかの原因で炎症が起こり皮下や筋肉,体腔内に遊走してきた好中球が溜まり,壊死を起こし周囲の組織とともに生成される物質である.非感染症では腫瘍に伴い生成され培養陰性になるが,感染症が原因になる場合は菌量も増えるためグラム染色でも確認される機会が多い.単に“膿汁”という名称で検査に出てくるが,その膿汁が形成されるに至る理由により検出される微生物の臨床的意義は変わってくるため,安易に膿汁培養として検査を行うと検査の目的を果たせなくなる.今回は漠然としている膿汁の微生物検査に焦点を当てて話をする.

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