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日本全国感染症ケースカンファレンス道場破り(8)

日本全国感染症ケースカンファレンス道場破り(8)
[第8話] 倉敷のほんまもん
(vs 倉敷中央病院 本間義人)
忽那賢志 くつな さとし
国立国際医療研究センター国際感染症センター/国際感染症対策室医長


忽那「倉敷に着いたな……風情があってよい町だな」
上村「なんかあそこにめっちゃデカい病院がありますね」
忽那「うむ.あれが倉敷中央病院だな.教育病院として古くから有名な,岡山県を代表する病院の一つとされる」
上村「で,あの倉敷中央病院から挑戦状が届いたんですね」
忽那「挑戦状を書いたのはここの臨床検査・感染症科の男のようだな.どうやらオレの名声を聞きつけて,オレを破って名を上げようと思って送りつけてきたわけだな.フッ……オレも有名になったものだな……」
上村「連戦連敗なのに名声なんか上がるわけないでしょ.たぶんカモにしようと思ってるんじゃないですか?」
忽那「しゃらくさい……返り討ちにしてくれるぜッ!」
上村「そろそろ1勝くらいしたいですよねえ……いいかげん読者にこの連載は“負けるのが前提”だと思われてますよ」
忽那「バカヤロウッ! オレは常に100%勝つつもりでやっているのだッ!」
上村「だからこそ余計に悲しいッスね……」
忽那「よし,倉敷中央病院に着いたな……忽那が来てやったぞ! 出てこ~い!」
ホンマ「やっと来たか……半年も待たせやがって」
忽那「貴様が挑戦者か……名を名乗れッ!」
ホンマ「まあその挑戦状にも名前は書いてたと思うんだが……オレは倉敷中央病院のホンマだッ!」
忽那「ホンマでっか!」
上村「先生,それが言いたくてわざわざ名前を聞いたんじゃ……」
忽那「上村,たまには鋭いな」
ホンマ「ふざけた野郎だ……オレの症例で息の根を止めてくれるわ!」
忽那「フッ……いいだろう.オレが診断できたら倉敷中央病院の看板はもらって帰るからなッ!」

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症例:50歳代,男性
現病歴:来院5日前に腰痛,倦怠感が出現した.来院前日に発熱,腹痛,下痢が出現し,前医を受診した.前医で白血球・血小板減少,肝機能異常を指摘されたため当院を紹介受診した.
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上村「5日前からの倦怠感,1日前からの発熱と消化器症状,血液検査で2系統の血球減少と肝機能障害ですか……」
忽那「はは~ん,上村,これはもうオレ,ピーンときちゃったんだけど」
上村「え,ホントですか?」
忽那「今日こそは勝てそうだな.いやー,しかしホンマのヤツめ,とんでもない症例を持ってきたな」
上村「先生,だいたいこのパターンでいつも負けてますから冷静にいきましょう.発熱と白血球・血小板減少というエピソードはウイルス感染症を想起させますね.肝機能障害もそれに伴うものかもしれません」
忽那「うむ.たとえばパルボウイルスB19感染症でもこのような所見がみられることもあるだろう」

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 職業は大工で,時折自宅の畑で農作業をしているという.愛媛県南予地区の築30年の木造日本家屋に住み,畑に囲まれている.隣の家までは少し距離がある.過去3ヵ月の性交渉はなく,パートナーは奥さんのみである.動物接触歴についてはペット飼育していないが,台所によくネズミが出るという.アルコールは機会飲酒であり,喫煙はしない.治療中の疾患は特になく,手術歴はない.内服薬もない.
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