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本質の感染症(5)

本質の感染症(5)
[第5回] 形式化
岩田健太郎 いわた けんたろう
神戸大学大学院医学研究科微生物感染症学講座
感染治療学教授


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 よく知られているように,インフェクションコントロール・ドクター(ICD)認定制度は「ザル」である.3回レクチャーを聴けばとれる資格だ.いや,聴いていなくても(寝ていても)とれる資格だ.

2

 本稿を執筆しているとき,ICD制度協議会はICD講習会のルールを変更した.平成30年4月より,「遅刻・早退の場合,単位は付与しない」ことにしたのだという【1】.

3

 ICD講習会では一定時間が過ぎると退出しても単位がもらえる.その時間がくれば演者が喋っている間でもゾロゾロと人が出ていく.確かに演者としてはいたたまれない思いであろう.このルール変更自体が悪いとは必ずしも思わない.

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 しかし,どうせ制度の改善をするのであればもう少し本質的なところから詰めるべきではなかろうか.

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