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ペットと、人と、関わること。

愛するペットを失った時…
多くの飼い主さんは、悲しみの強度や経過に個人差はあれど、辛く悲しい感情を経験するようになる。
このような「ペットとの死別体験とそれに伴う飼い主の悲嘆」のことを「ペットロス」と言う。

愛する対象を失うのだから、ペットロスは本来あって当然のもので、普通は1年ほどすると回復してくることが多い。しかし、中には悲嘆の回復が健全に行われずに病的な悲嘆に長く苦しむ人もいる。

回復が進む人と、大きくダメージを受けて留まってしまう人…
その分かれ道を決めるものはあるのだろうか。

もし何か傾向があるのなら、それを知る事でいつか迎えるペットとの別れについてあらかじめ備えられる事もあるかもしれない。

精神科医の吉田芳子氏は「ひとと動物のかかわり」研究会のシンポジウムで、ペットロスで大きなダメージを受けてしまう人の傾向について述べている。

これから書く内容は、もしかしたらペットを愛する飼い主さんにとって心を痛める内容かもしれないが、データの一つであって、すべての状況をカバーしたものではないという事を分かった上で参考にしてほしい。

私も含めてペットととの生活のヒントになる方もいらっしゃると思ったのでnoteにしておきたいと思う。


ペットの死=我が子の死

人間は本来、死別に対して乗り越えていけるようにできているらしい。
人は年を重ねていくといつかは親世代の死を経験するようになる。そのため、成長するとその悲しみを乗り越える力が備わっていくようになるそうだ。

しかし、子どもとの死別は親とのそれとは違って、乗り越えるのが困難になる傾向がある。

ペットを子どものような存在と考えている人にとって、ペットの死は「子どもの死」と同じ意味を持つことがある。そのため、ただ「動物の死、ペットの死」で終わらせられず、我が子を失ったような悲嘆に苦しむようになるのだと言う。

ペットとのつながりと、人間同士のつながり。

また、ペットに強い愛着を持つ人は、孤独を感じている人が多く、周囲に援助する人が少ない可能性があるという。

ある研究報告によると、「ペットを飼っている女性においては、ペットへの愛着が強いほど幸福感が少ない。特に65歳以上ではペットを飼っている人より飼っていない人のほうが親しい友人が多い」、「女性では、同居世帯人数が少なくなるに従いペットの存在感に対する評価が高くなる」などの傾向が見られた。これは、社会的援助が乏しい傾向を示唆するものとも言えると言う。

これを聞いて、ペットを深く愛する飼い主さんは少し思う所はないだろうか。

私自身、チュリを飼うようになってから人との付き合い方が変化した。
今まで、チュリをきっかけにして新しい出会いも沢山あった。信頼できる動物病院の先生と出会えたし、インコを飼っている人たちとの関わりなども生まれ、お付き合いの幅が広がった。

しかしその一方で、友人との遠出の旅行は滅多に行かなくなったし、友人と出かけるよりもチュリとゆっくりしていたいなと思う日も多くなった。

ペットを飼うようになってライフスタイルが変わるのは当然の事だけど、あまりにもペットを愛して、人との関わりを疎かにしないようにバランスを取ることを心がけている。

少し前になるが、ホリエモンこと堀江貴文氏がNewspicksの番組で話していた言葉で、強烈に頭に残った一言がある。

健康と人間関係は、国がくれない

国はお金に困ったときには、お金は出してくれる。しかし「健康と人間関係」というのは、国や他人からもらうものではない。

もちろん体の不自由な方や家庭環境が複雑な方もいる。しかしそうでない場合、この二つは、ある程度は自分の努力で築いていかなければいけない。

あなたには自分が困っているときに、助けてくれそうと思える人はどれくらいいますか。
逆に、困っているとき助けてあげたいと思える友人はどれくらいいますか。

自分も他人もペットたちも住みやすい社会を作っていくには、自分の属しているコミュニティを少しでも良くしたいと心がけて、関わっていくことも必要なこと。

特に一人暮らしの方の場合、ペットを飼うことは孤独を癒してくれるなど様々な良いこともあるけれど、それと同時にリスクも多い。自分が大変な状況になった時、サポートしてくれる人をさがしておかないと、ペットも苦しい状況に陥ってしまう可能性もある。そのためにもあらかじめ備えをすることで、人もペットも共に安心して過ごすことができると思うのだ。

いざというときに頼ることができる人とのつながりを、普段から作る努力ができると良いと思う。もし、このnoteを見てくださっている中で、ペットの事でどこにも相談できなくなってしまったら連絡ください。大したことが出来る自信はないけれど、何かできる事があるかもしれないので。

今日書いた事は、それぞれの人の生き方の問題でもあるので、あくまで1つの提案だと思ってほしい。そして、ペットを大事にしている人が、人間関係を大事にできていないと言っている訳ではない事も、理解していただけたらと思う。

ただ、ペットとの関係をより良く築くためにも「人間同士」のつながりも大事にできたらと思って書いたnoteです。

シンポジウムの詳細、こちらの本をご覧ください。とても勉強になる本です。


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