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エキゾチックペットを飼う前に。

人間と動物の関わりは無くてはならないもの。
人間と犬・ネコの関わりの歴史は長く、犬は今から1万5千年ほど前から狩猟や番犬として人間の生活を助けるようになり、ネコは約5千年前に古代エジプトで観賞用として飼われたのが始まりと言われている。

今もペットの主流はイヌとネコだが、最近ではエキゾチックアニマルをペットとして飼う家庭も増えてきた。

「エキゾチックアニマル」とは、本来は海外から輸入された動物のことを言うが、イヌとネコ以外のペットのことを総称して「エキゾチックペット」と呼ぶことが多い。近年ニーズが増えているエキゾチックペットだが、ペットとしての歴史が浅いことから様々な問題点を抱えている。

今日はエキゾチックペットの抱える問題点を幾つか挙げてみたいと思う。


1. 生育環境や病気になった時の問題

エキゾチックアニマルはもともと飼育動物ではないことから、生態や病原体について不明な点がまだ多く、病気になったときに診察できる獣医師が少ない。また、原産地の気候と日本の気候が違う場合の生育環境の維持が大変であることも多く、外来種の持ち込みは生態系に及ぼす影響も考慮する必要があると考えられる。

2.日本へのエキゾチックペット密輸の実態

日本は長くエキゾチックペットの大量消費国とされていて、この市場の存在は、残念なことに国際的なエキゾチックペットの違法取引の誘引となっている。

良く知られているところだとカワウソの密輸。2015~17年東南アジアで摘発されたカワウソの密輸は日本向けが最多であったことがわかっている。2019年のワシントン条約締約国会議で、コツメカワウソの国際取引を原則禁止することが決まったが、絶滅の恐れのある動物が日本に密輸される事件はカワウソをはじめとして今も後を絶たない。

WWFジャパンの野生生物取引調査部門であるTRAFFICは今年6月、日本にまつわるエキゾチックペットの密輸の実態を明らかにするために調査を実施、その結果をまとめた報告書『Crossing the Red Line:日本のエキゾチックペット取引』を発表した。この調査書で、日本は特にアジア地域からの密輸目的地となっている実態が明確に示された。

3. 動物由来感染症のリスク

さらに、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な感染拡大が進む中、ウイルス感染症の温床として違法または規制が不十分な野生生物市場の危険性が指摘されている。コロナウイルスは、感染した動物と人が接触する場所において、変異することで種の壁を飛び越え人間に感染する可能性があるので、野生生物の取引市場は、この種の感染症が起きやすくなる環境を与えているという。日本のエキゾチックペット市場も、感染症のリスクが十分に潜んでいると言える。

WWFでは次のパンデミックを防ぐため、リスクの高い野生生物取引を停止し、違法な野生生物取引なくすための取締りを強化することを各国政府に呼びかけている。

最後に、

以上のように、エキゾチックアニマルを飼育することは、それ相当の覚悟が必要になることを十分理解しておく必要がある。

ペットを飼いたい気持ち自体はとても良いことだと思う。
しかし、エキゾチックペットに限ったことではないけれど、ペット飼う前に一度、その命に責任をもつことができるのかじっくりと考えてみてほしい。

自分がそのペットを飼うことで、自分も、他人も、動物たちも、誰も悲しい思いをすることがあってはいけない。そのために、できるだけ知識を身につけ、肝に銘じてから飼って欲しいと思うのだ。


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