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世間知らずの起業物語 その10

引き継ぐタイミングで分かった太陽光発電所のパワコンが停止する問題。
引き継ぐ前の情報は全くなかったが、この半年間の取り組みにより、その問題解明に、もう少しという状況まで来ていた。
※この物語はフィクションです。

発電量の安定化

O&Mチームを引き継いだときに、一番最初に解決すべき課題だったのが、太陽光発電所の発電量の安定化であった。
太陽光発電所はパワーコンディショナーという、太陽電池の直流電流を、系統(電線)に流すために交流電流に変換する電子機器がある。

太陽光パネルがしっかりと発電しなければというのはもちろんだが、このパワコンがうまく動かなければ、電気を売ることはできないのだ。

その肝となるパワコンが起動しないことがあり頻発しており、安定した稼働をしていなかったのだ。

もちろん、発電量の監視自体は、監視システムが通知してくれる仕組みになっている。

しかし、引き継ぐ前のO&Mチームでは、パワコンが止まったことを検知したら、現地の電気工事会社にパワコンを再起動してもらう、という対応だけをしていた。

そう、パワコンが止まっても常に再起動させるだけ。

いつ、どこのパワコンが、どのような原因で止まったか?など、例えばエラーコードは何か?ということは確認もしてなければ、記録もしていなかったのだ。

そのため、起動しなかったり、日中に停止したパワコンがあっても、根本的な原因を排除できずに、繰り返し、未起動や停止を繰り返し、未発電のパワコンがある状態で発電所が動いていたのだった。

このことは、元々、電気系の知識がある竹山さんが、当時の責任者の山田に事象の記録や、根本原因の解明をしたいと願い出ていたが、「工数が足りない」ということで、再起動を工事会社へ依頼することしか対応ができずにいた。
竹山さんの、現地に行って自分で確認したいという要望も却下され、もどかしい気持ちのまま進めてきていたのだった。

それはそうだろう。
自分達が管理している太陽光発電所が、一部でも発電しないことを承知した上で、その原因も究明しなければ、解決することもさせてくれなかったのだから。

その後、僕がO&Mチームを引き継いで約半年、もう少しで根本的な原因の解明ができるところまで来ていた。

当初の3ヶ月で、問題のあるパワコンを特定。

メーカーに問い合わせしつつ、それが導入初期のロットにみられる機器の不具合であることを究明したのだ。

そのため、それから3ヶ月をかけて、パワコンの無償交換、交換工事の費用もメーカーが持ち、交換工事をすることとなった。

これでしっかり発電する太陽光発電所になると皆が思った。

が、しかし。

交換した後のパワコンもなぜか、まだ、一部のパワコンが起動しないことがあったのだ。

更に詳細なデータを取得することにより、パワコン自体に問題があるのではなく、導入当初に同梱されていたコネクタに問題があり、その不具合によって起動しないことがあるのではないか?という仮説を立てていたのだ。

そう。

それが、竹山さんから報告があった5台が該当するのだった。

障害発生時の記録と、その解析。ロットが一致した。
地道な対応を続けたことで、やっと本来の原因を究明できるところまで来ていた。

あとは、メーカーに交渉し、交換工事を進めてもらうだけだ。
それで本当にパワコンは全て問題ない状況になり、発電量も安定する。

O&Mチームとして、長年あやふやにされていた大きな問題を解決できるタイミングに差し掛かっていた。

僕:『やっとだね。』

竹山:「はい。これで、原因がはっきりするので、あとは大中さんに現地でメーカーの交換作業の管理をしてもらえれば、解決するはずです!」

僕:『そうだね。なんとか早く対応してもらう。』

竹山:「はい!」

チームとして、1つの形がやっとできた。
そして、これを続けることが、安定した売電収入をお客様に提供できることに繋がるのだ。

『この流れを止めてはいけないな』

と、僕は強く心に刻んだのだった。

つづく

※この物語はフィクションです。

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