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河井元法相夫妻の選挙違反、被買収側を一転起訴、なぜだ!

○2019年参院広島選挙区の選挙違反事件(買収)をめぐって、有罪判決が確定している元法相の河井克行被告夫妻から現金を受けた広島県の県議、市議ら百人について、東京地検は2021年7月6日、全員を不起訴としました(99人起訴猶予、1人死亡による不起訴)。この判断はおかしい、  公平ではない, と新聞各紙をはじめ各方面から厳しい批判の声が上がり、    私も中庸時評62号(21年7月)で「被買収者全員を不起訴、なぜだ!」と   厳しぃ批判をしました。
 これに対し東京第6検察審査会は今年1月28日、100人のうち35人を「起訴相当」、46人を「不起訴不当」とする議決を公表しました。

○これを受けて東京地検は、2022年3月14日、起訴相当のうち、体調不良の  1人を除いた34人を一転起訴しました。このうち25人は略式起訴、容疑を否認するなどした9人は正式起訴としています。

○これに対する世論の反応はどうか。起訴の翌日の3月15日の朝日、毎日、読売、東京、日経の各紙を読み比べてみました。問題は3つ。①そもそも    検察の当初の、被買収者全員不起訴という判断をどう評価するか②検察は  なぜ、全員不起訴を一転させて、検察審査会が起訴相当とした全員を起訴したのか(なぜ、最初から起訴しなかったのか)③起訴、不起訴という重大な判断を、コロコロ簡単に変えたことへの評価、です。

○①については去年被買収者全員不起訴を検察が公表した際、世論の批判を浴び、不公平かつ不正義なやり方だという評価が定まりました。今回もこれについては今更論ずるまでもない、という反応です。

○②について、朝日は社会面で、「検審の議決 検察は『既定路線』」と    4段見出しで伝えています。・・・「元法相の犯罪立証こそが本質であり、受領側は検審に『起訴相当』と議決されたら略式起訴すればいい」(法務・検察関係者)ですと。結果として、起訴すべきことは起訴されたので、良いと言えば良いのですが、どうしてこんな面倒なことをするのか。

○毎日はそのあたりの事情をあからさまに書いており、分かりやすい。・・・7月の参院選を挟んだ2019年3~8月は、4月には統一地方選で   広島県議選や市議選がありました。このため、(渡された)現金の趣旨が「そうした選挙の「陣中見舞い」や「当選祝い」か、参院選の「買収」なのかが(取り調べの)焦点になる。検察側は「司法取引はしていない」とするが、取り調べを受けた議員たちには、「当選祝いと思ったが、買収と認めれば起訴しないと受けとめ、買収と認める取り調べ調書にサインした」という人もいるという。
 読売も「一部の政治家は検事から、有利な証言の見返りに訴追を見送る『裏取引』を持ち掛けられた、と主張している」と伝えています。

○詰まるところ、実質的には安倍政権との争いの舞台になった選挙違反事件に完璧に勝利するため、検察がテクニックを使った、ということのようです。しかし長い目で見ると、正しいことは正しい方法実現していくことが  大切で、そのことは検察の捜査でも同じでしょう。
検察がこの事件の被買収者全員を不起訴にした際に強く批判した中庸時評の最後のくだりを改めて紹介しましょう。

「今度の不起訴処分について、検察審査会から、被買収者を起訴すべし、  という要求が出てくるとが予測されます。その場合、検察は素直に起訴するのではないか。被買収者には暗黙の約束通り?起訴猶予にした。しかし、  起訴すべしの民意が出たので、従わざるを得ない、として」(中庸時評      62号、2021年7月)。

私のような素人にも見透かされる幼稚なテクニックを使ってはいけませんね、検察さん。##

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