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元上司に会ってきた

ちょっと勇気出して前の職場の上司に会ってきた。実に一年ぶり。退職してから一度も連絡は取っていない。今回も会うつもりではなかった。でもせっかく東京に来たし、迷ったけどやっぱり会いたくなった。んで、元同僚と会うタイミングで一緒に連れてきてもらった。

会ったのは20分くらいで立ち話だったけど、すごく濃い時間に感じた。

会うまで心臓が静かに激しくドキドキしていた。上司が同僚と降りてきた。きた。きた。きた。

私は目が悪いから3メートルくらいに近づいて、ようやくはっきり顔が見えた。

顔を見た瞬間。


胸がいっぱいになった。あの時の辛さよりも懐かしさがぐーんと込み上げた。気づいたら顔が綻んでいた。

上司も、微笑んでいた。「おー!」って言ってた。

「会社やめたし会ってくれないかと思いましたー」なんて、冗談を言った。

そうそう、そうだった。

私はこの上司とは冗談を言い合える関係性だった。でも、手厳しい上司だったから一緒に仕事してたら怖くて怖くてたまらなかった。ほんとに不思議な関係。一年しか一緒に働いてないけどその時の記憶は一生モノだと思う。上司のこと、きっと忘れられない、

というか、今書いてて思った。
私が上司としてしっかり名前をあげられるのはこの人しかいない。
それまでも社会人になって上司という立場の人は2.3人いた。でも尊敬できるような仕事ぶりや人間性ではなかったし、繋がりを感じることはなかった。


この上司は、本当に仕事ができる。根っからのビジネスマンだ。だからこそ尊敬していた。ただ、あまりにも仕事ができすぎて、私が何も言えなくなってどんどん余裕がなくなっていった(勝手に萎縮しただけ、とも言えるけどね)。

その辺を考えると人間性は良いのか悪いのかよくわからない。人に圧を感じさせるようなところとかは特に(笑)

でもやっぱり上司として私を育ててくれた恩師である。大嫌いな恩師。笑

でも大嫌いといえるということは、それだけ本気でぶつかってくれた証でもあるのかな。今ならそう思える。でもやっぱり一年前に戻ったとしても、「そうかもしれんけど、でもこれ以上は無理ッッッ」って同じように仕事は辞めちゃってたと思う。当時から感謝もしていた上での決断だったから。ついていけるならついていきたかったけど、ついていくのに自分のキャパが足りなかった。あとついていった先の自分の道も見えなかった。その上司に「あなたについていったらどんな景色が見えますか?」って聞けばよかったな、なーんて。


仕事を辞めた選択に悔いはない。でも久々に東京に来て懐かしい人たちの顔を見ると、「あのまま働いてたらどうなってたのかなー」とか会社員すごろくの先を考えちゃう。昇格試験にも挑んで昇格したあとの退職だったからなおさら。給料とか今の倍は余裕でもらえる予定だったし。

でももしも話はキリがない。お金と引き換えに私はオープンな未来を手に入れた。好きなことを見つけた。それでいいじゃん、と自分を諭す。


上司と話していて、やっぱり懐は広い人だなと改めて思った。あれ、おかしいな、肯定ばかりしている。私の最大の特徴→過去を肯定しがち。最近わかってきた。私は進んできた道を正解にする力が人よりも大きいのかもしれないと。

そしてさらには、これから何かの機会で違う立場で一緒に仕事できたらいいなぁなんて考えたりもした。

やっぱり私はこの人が大好きだ。大嫌いだったけど大好きだ。それだけ濃く関わってきた一年だった。


今日、会ってよかった。
「あの頃ほんと鬼でしたねー」「また俺が島行って詰めよっか?」とか言って、相変わらず冗談を言い合える仲でよかった。過去はすぐ忘れちゃうから、過去の自分を思い出せてよかった。あの時の頑張っていた自分をよしよししてあげたくなった。

そして上司の顔を思い出しす度に「ぐはっ」てぐちゃぐちゃになっていたのが、今は思い出すとこの20分の再会の思い出に書き換えられてふんわり温かい気持ちになる。

なにより、上司も嬉しそうにしてくれたことがとても嬉しかった。


そして、そして、それを母に話した時、「それだけあなたも上司も一生懸命だったってことだね」と母は言った。その言葉で泣きそうになった。そうだな。私、頑張ってたな。そして、上司も本気でぶつかってきてくれてたな。あぁ、恵まれてたんだな、私。

また、会いに行こう。次は、「アニキ」なんて呼べるような間柄になれたらな、なんてふと思う。

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