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10月開始ドラマ、完走したのは? その2/3

「10月開始ドラマ、完走したのは? その1/3」の続きです。

この記事の順番に従っています。

『和田家の男たち』

年齢設定に納得が行かない以外は、問題なく楽しませてもらいました。
今期唯一、現実の私たちと同じ(マスクが日常の)世界線で生きている人々を描いているところも斬新ですし、異なる世代が担う異なるスタイルの報道を並べて見せ(厳密には新聞は引退しちゃってるから出てこないけど)、押し付けがましくなく視聴者に「報道の現在」について考えさせるという主題もよかった。
あと、異なる世代の男三人(しかも家族)の暮らし、というのもこれまでにない設定だったのではないでしょうか。一番年下の和田優(相葉雅紀)の炊事以外はほぼ生活感がありませんでしたが、そのご飯は毎度おいしそうでした。

『アバランチ』

綾野剛さんにぴったりの作品でした。羽生誠一、カッコよかったですね。(個人的にはラブコメリベンジも見てみたいですが)

まず、オープニングを始め、ビジュアルデザインがカッコよかった。あと音楽もよかったです。

韓国ノワールとか香港アクションとかを見てしまうとアレなんですが、アクションも頑張ってましたよね。明石リナ(高橋メアリージュン)も颯爽としてました。でも極東リサーチは東アジア(ドラマ&映画)基準に照らすと対応が甘いです。容赦もためらいもなく色々ぶち込んでくるのがイーストアジアンスタイルなので笑。

ストーリーに関しては、大山(渡部篤郎)の野望である「日本版 CIAを作る」というだけの理由であの事件を仕組むかなあ、というのは若干疑問ではあります。理由として弱い気がする。あと、打本鉄次(田中要次)は助かる方法あったと思うけど… どうしてもああならざるを得なかったというより、ああした方がドラマ的に盛り上がるからああした、というような気がしてならないです。その辺りを除けば、意外な展開も含め面白かった。

最終回で、郷原栄作総理(利重剛)や、西城英輔(福士蒼汰)の父親であり警察の偉い人(職位を忘れてしまいました)尚也(飯田基祐)が、やけに物分かりが良く、現実にはありそうもないポジティブな展開になりましたが、これは敢えてでしょうね。「青臭いと言われようとも希望や志を持つことを諦めない。正義というものを信じる。そうすることでわずかでも変えられることがある」というメッセージを打ち出したいという制作側の強い意志だと思います。

『顔だけ先生』

これほどにイマドキの人を先生にしたドラマはまだなかったと思います。説教臭が少しでもしたら台無しになってしまうようなドラマでした。

遠藤一誠(神尾楓樹)は常に自分軸で物事を考えるイマドキ先生ですが、彼がそうなったのは別にゆとり世代だからではなく、前職でパワハラを受け、うつ状態にまでなった経験から。若いけれども、一つ山を乗り越えて、いまの状態なわけです。そのことを生徒たちは知りませんが、遠藤先生がストレートに繰り出す発言は、生徒たちの胸を打ちます。

金八先生の時代は、先生が偉くて先生の演説には嫌でも耳を傾けなければならなかったけれど、遠藤先生は自分の授業など聞かなくてもいい、とさえ言います。ただ聞いている人の邪魔をしなければ良いのです。

現代の子どもたちは教師にも本音と建前があることや、大部分の規則に意味などないことを見抜いています。その上で有効な教育とはどういうものなのでしょうか。その一つの答えが遠藤先生です。

亀高千里(貫地谷しほり)先生は、“ちゃんとした”先生であろうとするけれども、本来の自分は遠藤先生のやり方に少なからず共感していて、だからと言って自分はそうはできない、というジレンマの中にいますが、最終的には自分なりの覚悟が決まります。

ゲイの早坂優一(三浦涼介)先生と亀高先生は同僚でありかつ親友でもあります。プライベートでの2人のやり取りや関係もいい。教師も人間なのです。
本作でいいところはそこで、生徒も人間だけれど、教師だって人間だということを見せているところです。各エピソードも面白かった。

先生も人間性を曝け出したら、学校ってもっといいところになるんじゃないかな。学校関係者に見て欲しいドラマでした。

『二月の勝者-絶対合格の教室-』

もともと学校モノはあまり好きじゃなく、特に小学生の学校モノは児童劇団の匂いが強くて見る気が起こらないのですが、柳楽優弥さんがどんな演技を見せてくれるかという興味で見ました。どちらかというと大人の側に重心を置いた作品だったので見続けられました。

中学受験の話ですから、受験の是非を問うことなく是を前提としたドラマです。だから「子どもの学力を伸ばすにはどうすればいいか」がテーマの主軸となっています。学力を伸ばすにはやる気を引き出す必要があり、そのやり方は子どもの個性に沿ったものでなければ効果がない。そして、子どもの個性にあったやり方を見つけるには、子どもをよく観察し理解するしかない。誰よりも冷血に見えた塾長・黒木蔵人(柳楽優弥)こそが子どもたち一人一人をよく見ていたのでした、というお話でした。特別に面白かったとも言えないけど、かといってつまらなかったわけでもなく。つい最後まで見てしまいました。

黒木先生が黒木先生になるまでのお話、というのがあってもいいかなと思います。

* * *

「出揃った10月開始ドラマ。さて何見て行こう?」であげていた作品の残り二本『それでも愛を誓いますか』と『じゃない方の彼女』は不倫ジャンルとして分けたかったので、別記事「10月開始ドラマ、完走したのは? その3/3」に書きます。よろしければお付き合いください。


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