極彩色

恋はアツアツ亜熱帯

極彩色

恋はアツアツ亜熱帯

最近の記事

呼吸と生存

校舎の中で人気のない場所を見つけては、昼休みをそこで過ごすことが息抜きになっていた学生だった。クラスが特別居心地悪いわけではなかったが、なんとなく息が吸えないなと思う時があった。学校という何百人も同世代が存在する空間で、自分だけがここを知っているという優越感と、誰にも見られていないという安心感が、私をいつもの場所に誘った。 性格は簡単に変わるものではない。私は成人を迎えてもなお人の多い場所では落ち着かず、なんなら年々人混みが苦手になっていっている実感がある。忙しない中で自分

    • 東京

      結局東京に住んでみたい。ずっと憧れの土地。初めて行った時の記憶はないけれど、小さいころから細々とずっと住みたいなと思い続けている。 小学校の修学旅行で東京に行った時、私が「いつか住みたいよね」と友達に共感を求めると、その子は「東京なんか住むところじゃないよ」とばっさり切り捨てた。その時その友達はものすごく大人にみえた。 大好きな宇垣美里さんのエッセイを買って読んだときに、「都会はいろんなものを紛らわせてくれる」という内容が書かれていて、納得した記憶がある。手っ取り早い大都会と

    呼吸と生存