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なぜ今、ジャンボン・メゾンはサブスクなのか?

「どのように売っていくか?」

ジャンボン・メゾンサブスク12回コースをご利用いただきました皆様、いよいよラスト2回のお届けになりました。この企画を考えるきっかけになった、そもそもの理由は、

「すべての商品を完全受注販売にするには、どんな仕組みにすれば良いか?」

という疑問でした。
先代の父は、シャルキュトリーを作るのが大好きな「職人=シャルキュティエ」でした。売ることは誰かに任せて自分は作ることに専念したい人でした。それは母親もそうでした。  
私が美術関係、あるいは教員の世界から商売の領域に身を移した時、商売の世界で一番難しいことは「売る」ということだと痛烈に感じました。企画や新商品を開発することも難しいのですが、どちらかというと「楽しい難しさ」でした。しかし、実際作ってみていざ「売る」となると全く違う仕組みや、いわゆる宣伝が必要でした。私のような小規模事業者では広告をいちいち出していたら倒産してしまうほど、その経費は莫大なものです。
私は代表取締役になってから、これから自分はどのようにシャルキュトリーを作って販売するかを考えました。同時にブランドを一つから三つに増やし、量り売りマルシェ仙台も同時期に開催していきました。それは全て「自分がどうシャルキュトリーと向き合うか」の末に考えた仕組みでした。
そしてコロナ禍に入り、新たな問題にぶつかりました。食品ロス問題です。外のイベントが中止になり、それまで何十年と続いてきた「生産」の仕組みが一気に崩れてしまったのです。必要在庫はあっという間に過剰在庫に変わり、売掛で入ってくる予定だった「売上金」は入ってこず、ここでもまた過剰在庫になってしまった商品を「どう売るか」の壁にぶつかってしまったのです。

お店はいらないが、お店のような世界観が必要だった


「完全受注販売=サブスクリプション」

その時、痛烈に感じたのが「完全受注販売」という仕組みでモノを作る体制だったらこんな問題で悩まなかったという悔しさに似た感情でした。
今まで自社ECサイトを開設するのでさえ拒んでいた私が、ECはこのような疑問の解決の糸口になると自覚しました。そんな風に腑に落ちれば、あとは早く、ECの外郭を専門家に作ってもらい、そこからはサイトの仕組みを理解して自分でアップしていきました。そうしているうちに、「サブスクリプションサービス」が実現可能であることに気が付き、完全受注販売の基礎を固めようと決意したのです。
そんなわけで、準備が始まりました。サブスクの「コンセプト」を考えてイメージを固めていきました。もちろん一人ではできない仕事なので、間にブルーファームと佐藤千夏さんに入ってもらい最強メンバーで挑みました。12か月分の商品の内容を、月ごとにテーマを設けて考え、更にnoteアカウントでそのエピソードを詳しく書くというもの。そして月ごとにリーフレットを作り、商品の説明やnoteアカウントへの誘導を促す内容にしました。千夏さんのスタイリングでかっこいい表紙写真も11パターン撮りました。これは12回分まとめると一つの冊子になるようなイメージにしました。

撮影中に撮ったサブカット、9月版だったような・・・


「月末のオーベルジュスタート」

このようにして2023年3月からジャンボン・メゾンのサブスクリプションサービス「月末のオーベルジュ」は、満を持して始まったのです。会員の数に合わせて仕込みをするので過剰在庫が出ない計画生産が実施可能となり、この仕組みだと全くの混乱が起きないことに気が付いていきました。「準備八割」とよく言いますが、発送日1週間前には全ての準備と心構えが整っているという気持ちの余裕が生まれました。あとはお客様が満足してくださることだけを願っていました。
近しいお客様から「毎月楽しみになってきた」「どうしても好きなものだけ買う癖があるから『おまかせ』で商品が届くと新しい味の発見がある」という内容のご意見を頂きました。
サブスクのみの限定商品は、徐々にECでしか買えないというイメージが定着していきました。人手不足で「営業活動」まで手が回らないので、SNSを活用して内容をお知らせし、一般の売り場には出せないことを付け加えました。私たちが新しく作る商品は、これからも自社のEC、量り売りマルシェのみの販売に限定されていきます。定番品の在庫以外は、ほとんど売り切って終わりです。数個単位で残ってしまったら新年の福袋に沢山詰めて販売しています。こうして決算の3月まで商品を現金化して、過剰在庫にならないようなリズムもでてきました。私の「理想の売り方」に少しずつ少しずつ近づいてきています。

旅行に行った時のような、楽しみと発見をつくりたい


「宮城県で美味しいシャルキュトリーを作っている会社は?」

私は、これから、ジャンボン・メゾンはどのようなスタイルでシャルキュトリーを生産していくかについて更に深く考えています。明らかにスーパーなどで売られているベーコンとは異なるユニークネスな存在にますます拍車がかかると思います。独自の作り方、生産の仕方、そういったジャンボン・メゾンにしかできないことを大切にし、あらゆる争いに参加しない存在になっていきたい。これまでのパラダイムには当てはまらない独創性豊かな会社にしていきたいと思っています。
また、特別なシャルキュトリーというよりは、毎日の食卓にある日常のシャルキュトリーになるといいなと思っています。
代表取締役になった頃、全国47各都道府県に美味しいシャルキュトリーを作っている会社が3社あったとして、トータル全国で141社。その中にジャンボン・メゾンが入れるように頑張ろうと意思を固めたことを思い出します。
今、宮城県の方に「宮城で美味しいシャルキュトリーを作っている会社はどこですか?」と聞いたとして、どれくらいの人が「ジャンボン・メゾンです」と答えてくれるだろうか。
実際にはおそらく「まだまだ」知らない人なんか沢山いるに違いない。この目標は引き続き私の大きな目標であり続けると思っています。

ユニークネスで日常に染み込むジャンボンメゾンへ!

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