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これまでと、これからの都市開発

はい、2記事目にして大げさなタイトルで恐縮ですw

僕自身は業界での経験は10年程度ですが、大規模な都心の開発から中規模な地方の開発の都市計画や事業推進を経験しており、所属した組織も、大規模組織から国内外のアトリエ系と幅があります。それらの経験を通じて、今感じている都市開発 / 不動産開発の流れをまとめてみます。

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縦軸:不動産開発の立地による分類。都心部(東京・大阪・名古屋・福岡など)、地方や郊外はそれ以外という考え方です。

横軸:不動産開発において、何を最重要の決定要因としているのかの定性的な分類です。(実務の現場では両方を行き来することも承知の上での分類ですので、ご容赦ください。) データ先行の開発は、相場に基づいた事業計画を作成するイメージです。立地による平均坪単価や坪あたり売上など、立地の要素が大きく、ある程度ニーズが見えていることが特徴です。不動産開発事業は額の大きな投資事業ですので、多くの関係者のコンセンサスを形成する上でも必要となります。

地方・郊外でも、当初は同様の開発モデルを実行していましたが、、近年では地価・賃料・売上の相場も下がってきていることから、同じモデルでは事業化できなくなってきています。オフィスはもとより、マンション、ショッピングモール、物流倉庫、などを試行錯誤して事業計画を練るも、採算ラインに乗っからなくなってきています。(乗っかる内に実行されているケースももちろん多々あります。また、補助金で無理やり成立させているように見せているケースもあります…)

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そうした地方・郊外では、それでも新たに人や起業を呼び込めないと衰退に歯止めがかかりませんので、新たな不動産開発モデルが実現されてきているように見えています。

それが、ビジョン先行の開発です。

地方が人や起業を集めるには、都心には無い価値をアピールし、あえて不便な地方を選んでもらわなければなりません。また、相場では成立しないため、相場を超える価値を支払ってもらわなければ事業は成立しません。他にも、工事費や運営費など、事業費を下げていくこととも組み合わせて、事業としての成立を目指します。

相場を超えるために、都心には無い価値を作り上げるビジョンを先行して掲げ、見えていないニーズをめがけて事業を推進していくモデルとも言えそうです。

従来の都心開発モデルでは、大まかな方向性は国や自治体がデベロッパー等と連携を図りながら定め、事業を推進していきます。(下のダイアグラムは超荒くフローを概略化したものです。)

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ビジョン先行の開発では、相場を超え、見えてないニーズを発掘する必要性から、最初のビジョン作成の段階から、その開発の広告的な戦略も並走することとなります。(ターゲットは誰か?その人たちや企業はどんな開発であれば、相場や実績値を超えるお金を落としてくれるだろうか?など)

また、商業が開発の核になることは変わらないようにも感じてますので、そうした核となるコンテンツ提供者とは、事業計画の段階から交渉を行い、彼ら彼女らの出せる金額から逆算して事業計画を調整することもあります。この時、狙ったターゲットに相場を超える価値を提供するため、各プロセスにおいてブランド価値の一貫性をきちんとマネジメントできるかどうかは重要となり、この点からマーケターのような役職が求められてきます。同時に、狙っているターゲットの支払う価値から逆算して、かけられる施工費を調整したり、逆に空間に投資する箇所を決めたり、事業成立に向けた全体的なマネジメントが求められます。

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さらに、実際に不動産開発を行った後(又はできる前から)、開発した投資事業できちんと売上を立てるよう、広告したり、顧客体験全体もデザインしていくことが重要となります。認知することから実際に購入し拡散するまでのルート設定や、各顧客接点においてブランド価値をどう提供するかを検討します。建築空間は、第一印象から居心地の良さ等、ブランド価値の感じられるUX(ユーザーエクスペリエンス)のデザインと捉えることもできます。そうした広告接点から空間も含めた顧客接点をトータルでデザインし、常に意図したブランド価値が体験できるように作り上げることで、より際立った価値を訴求でき、ようやく相場を超えることを目指せます。

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以上のような、ビジョン先行でのマーケター推進型の開発が、新たに地方を中心に生まれてきている。そんなことを感じておりました。

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安藤 研吾

建築や都市に関する仕事をしています。
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