Internet Explorerの非推奨化にて思う

※本記事は、「小説家になろう」に転載しています。

きっかけは些細なことで。

 つい数週間前、8月の下旬に差し掛かった頃でしょうか。お盆休みに行った小旅行とサイクリングの写真を記事にまとめて、この「note」というサイトに投稿したのですが。
 その記事を公開して、普段活動している「小説家になろう」というサイトで報告した後で、その記事が、 Internet Explorer で閲覧すると写真が見えないことに気が付きまして。

――そこで初めて、この「note」というサイトが、Internet Explorer では正式にサポートされていないということに気が付きました。

 今まで私は、今回の旅行記のような記事は、「小説家になろう」の「活動報告」という、ミニブログのような機能を使って上げていたのですが、色々と思うところがありまして。
 そうですね、やっぱり「小説家になろう」というのは「小説を投稿する場所」で、ブログ的なコンテンツには向いていないと感じたのが一番でしょうか。

 旅行記のようなブログ的な記事だって、ちゃんと書けば立派なコンテンツになる物だし、簡易ブログで投稿してそのまま放置して、最終的に埋もれさせるのはもったいないかなと。
 で、今回のようなブログ記事や「小説家になろう」ではなかなか投稿しづらいエッセイを投稿するのに丁度良いプラットフォームとして、この「note」というサイトの利用を始めたという経緯があります。

――そうやって頑張って作ったのに、肝心のプラットフォームが Internet Explorer には対応していないなんて結果になってしまいまして。

 で、色々と調べた結果、出てきたのが以下の記事です。

――思いがけないところでちょっとつまづいてしまったと、そんな感じでしょうか。

 ただ、別にこれ、「note」に限った話ではなくてですね。他のサイトも、Internet Explorerで見に行くと、色々と支障が出始めてました。

――例えば Internet Explorer で pixiv を見に行くと、こんな表示で出迎えられたりします(2019年8月31日時点)。

pixivはお使いのブラウザー(Internet Explorer)には対応していません。Google Chromeなどをご利用ください。

 気が付けば、今まで Internet Explorer で正常に見ることのできたページもどんどん見れなくなってきていると、そんな感じでしょうか。

で、色々と調べてみたのですが。

 そうですね。まずは先にも書きましたが、今年の二月に、マイクロソフトが Internet Explorer を使用しないよう、声明を発表しています。

マイクロソフトが、旧式のウェブブラウザーInternet Explorer(IE)を使い続けるのは危険だとして、その使用をやめ、最新のブラウザーを使用するようもとめています。

引用元:https://japanese.engadget.com/2019/02/08/internet-explorer-ie/

 そしてもう一つ。去年の12月にマイクロソフトは、それまで自社で開発してきたレンダリングエンジンである EdgeHTML を諦めて、The Chromium Project(Google、Opera Software ASA、Intel、Samsung 他が参加しているオープンソースのwebブラウザ開発プロジェクト)が開発している Blink を採用すると、正式に発表しています。

マイクロソフトが、Windows 10の標準ウェブブラウザであるEdgeをChromiumベースのブラウザへと変更することを正式に発表しました。ChromiumはGoogleがオープンソースプロジェクトとして開発しているウェブブラウザ。ChromeブラウザはChromiumにプロプライエタリなコンポーネントを付加して構成されています。

この変更によって、Edgeブラウザのレンダリングエンジンは独自のEdgeHTMLから、Chromiumが使用するBlinkへと切り替わります。マイクロソフトは、今後「Chromiumベースのブラウザのためのウェブプラットフォームの機能強化に貢献する」と述べています。

引用元:https://japanese.engadget.com/2018/12/07/edge-chromium-mac-os/

……と、ここまで退屈でわかりにくい、専門分野のニュースを紹介してきましたが。詳しくない人にはさっぱりですよね。

 わかりやすく言うと、一般的な Windows パソコンに入っている Internet Explorer や Edge といったブラウザ(インターネットを見るためのソフト)は、今年の年末頃には全て「古いソフト」になって、来年からは「新しいソフト」に変わりますよと、そんなことが書かれています。

――マイクロソフトが Internet Explorer を使用しないよう声明を発表したのが今年の二月、それから半年と少し経って。たったそれだけの期間で、Internet Explorer は「標準的なブラウザ」の地位から転げ落ちて。「時代遅れのブラウザ」になり始めていると、そんな感じでしょうか。

じゃあ、実際に Internet Explorer でどの位、自分の創作活動に影響があるの?

 ちょっと気になりますよね。実際、私の勤めている会社では Internet Explorer ブラウザを推奨しています。なのに今まで、私は pixiv や note が正しく表示されないことに気がつきませんでしたから。……まあ、家では違うブラウザを使っているし、当たり前ではあるのですが。
 少し気になったので、Windows10 に搭載された Internet Explorer で、私が投稿している様々なサイトにアクセスしてみました。

 まず、pixivTwitter は、Internet Explorer だと上部に警告メッセージが出てくるようになっていました。もっとも、今のところはそれ以外に支障が無いようにも見えますが。

 それが、ここ note だと、軽くですがレイアウトが崩れ、冒頭にも書きましたが、本文中の画像が表示されなくなってまして。
 一番酷いのが g.o.a.t というサイトで、画像どころか文章までもが崩れて、まともに読むことができなくなっています。と言ってもまあ、ここは画像が表示されなくなった時点で利用価値が全くないのですが(個人的な見解です)。……ちょっと酷いことを言った気がします。忘れてください。

 上記に比べると、小説投稿サイトはどこも元気に Internet Explorer が使えているように見えます。私の本拠地である「小説家になろう」はもちろん、たまに読みに行く「カクヨム」や「アルファポリス」、あと小説投稿サイトに入れて良いのか微妙ですが、小説を解析してくれるサービスを売りにしている「ツギクル」なんてサイトも、目立った支障はありませんでした。

 これは勝手な推測なのですが。note や g.o.a.t は比較的新しいサイトで、web上で「クリエイティブ」に活躍している人をターゲットにしている。で、そういった人たちにはどこか「新しいこと」を取り入れようと模索しているというイメージがある。
 だから、そういった人たちの受け皿になろうとなるサイトは、「互換性」よりも「新しいこと」を重視していて、Internet Explorer のサポートも打ち切りやすかったのかななんて、そんな気がしています。

 実際、pixiv なんかはたまに変な機能がありますからね。スタックフィードとか。あれ、新しい何かに手を出した残骸ですよね。
 最近だと(と言っても二年も前ですが)Mastodon というSNSにも手を出して、Pawoo なんていう(Mastodon としては)世界最大規模のインスタンスを運営するに至っていますし。
……そういえば、この Mastodon も Internet Explorer に非対応ですね。うん、pixiv は新しもの好きなチャレンジャーで間違いなさそうです。

――まあ、単純に人手や経費の問題でもあるのでしょうが。

 私の持つ「クリエイター」のイメージはそんな感じですが。これが「作家」になると、プロアマ問わず、あまりパソコンに詳しくないような人たちが多くいるという印象に早変わりしまして。機械オンチというかパソコンオンチというか、そんな方が結構いるのかなと。
 で、そういった方はあまり環境を変えたがらないのかなと。だからきっと、今でも頑なに Internet Explorer を使っているような人もいて。サイト側もそのことを意識してしまって、なかなか Internet Explorer を切れないのかなと、そんなことを思う訳です。
 だって、ノベルアッププラスなんて、マイクロソフトが声明を発表した後に公開されたサイトですよ? なのにしっかりと Internet Explorer に対応してますからね。これ、知っててやってますよね。

 まあでも、Twitter や pixiv といった大手サイトでも、Internet Explorer で警告を出し始めている。今は正しく表示されてても、いずれは切るつもりでいて、警告はその準備かな、なんて思う訳です。

――そりゃそうです。この先 Internet Explorer しか使えない環境の人なんて、ほとんどいなくなる筈ですから。

今も Internet Explorer を使っている人って、どんな人? ……と言うか、ホントにいるの?

 Internet Explorer というブラウザは、Windows に標準搭載されたブラウザです。ただ、最新のOSであるWindows10 には Edge という新しいブラウザが搭載されています。普通の方はそちらを利用しているのではないでしょうか。
……そうですね、Windows10なのに、あえてInternet Explorer を使っている方もみえるのかもしれませんが。そんな方は、これを機に、Edgeや別のブラウザに乗り換えることを強くお勧めします。
……その Edge も、来年初頭には古くなってしまうのですが。でも大丈夫、インターネットにつながっている環境なら、マイクロソフトが勝手に Edge の中身を入れ替えてくれるはずです。――多分。

 では、Windows10 を使っていない方はどうでしょう。そうですね、Windows7 という今の二つ前のOSは出来が良いと言われていましたし、いまだに使っている方も居そうな気がします。実際、あえてWindows7 を使い続けている企業なんかもありますし。
……ただ、このOSは2020年1月14日、つまり来年早々にサポートが切れてしまいます。個人的にはやっぱりね、それまでにパソコンを買い替えることをお勧めします。

……と、ここまで書いて。なんだ、勝手に対応してくれるのかパソコンごとダメになるのかのどちらかなら、別にどうでもいい話じゃないかと、そんな感じなのですが。ですが一つ、思い出してもらわないといけないことがあります。

――Windows8.1 を忘れてませんか、と。

 この Windows8 というOSは、Windows7 から大幅に操作方法を変更した結果、「電源の切り方すらわからない」とか言われて、かなり敬遠されてしまったOSです。
……まあ、私も最初、電源の切り方がわからなかったクチですし、アレはないと自分も思うのですが。
 そんな、やたら不評だった Windows8.1 というOSですが。このOSは2023年1月10日まで使用可能です。そして、この Windows8.1 には、見た目は Internet Explorer なんだけど中身は Edge という、とてもややこしいブラウザがインストールされています。

……そうですね、中身がEdgeなら、Windows10 の Internet Explorer で表示してくれなかったサイトも表示してくれるかもしれないな、なんて淡い期待を抱いて、ちょっと試してみたのですが。
 残念なことに、Windows10 の Internet Explorer と同じように、正しく表示してくれませんでした。

 この Windows8.1 というOSは、基本的にはもう脆弱性対策以外のアップデートはされない予定です。なので、マイクロソフトは Windows8.1 でも動く「新しいEdge」を開発中ですが、それが自動的にインストールされるかどうかは、個人的には微妙だと感じています。
 Windows8.1 ユーザーは、もしかすると手動でその「新しいEdge」をインストールしないといけないと、そんな気がしているのです。

 要するに、来年になっても Internet Explorer は完全に消えないかもしれないのです。それも、マイクロソフトの発言のせいで「Internet Explorer は過去のブラウザ」という印象を抱えたまま、最もマイナーな「Windows8.1 の Internet Explorer」だけが残り続ける、そんな可能性を否定できないのです。

 本当に来年以降も、このブラウザを使い続けることができるのか、私は疑問視しています。

 これはあくまで個人的な見解ですが。今なお Windows8.1 を使っている方は、即座に「Google Chrome」や「firefox」のようなブラウザをインストールすることを検討した方が良いと思います。

 来年になって Windows7 のサポートが終われば、今の「Internet Explorer」という流れはさらに加速すると思います。その時に、実績のない「新しいEdge」を入れるよりも、今のうちに「Google Chrome」や「firefox」を入れておいた方が間違いがないのかなと、個人的にはそんな風に思うのです。

そもそも、なぜここまで Internet Explorer は軽んじられることになったのか。

 一体、この状況は何なんでしょうね。だって、Windows7 にしろ Windows8 にしろ、歴とした有償OSです。お金を出して買った人がいるのに、「マイクロソフトの発言が元で」そのブラウザが、サポート期限が切れる前に「過去の物」になってしまった訳ですから。それはどうかと思わないでもないのです。

 確かにマイクロソフトにだって色々な事情があって、「Internet Explorer なんてサポートしてられるか!」みたいなことを言いたくなるのもわかるのですが。

――ええ、本当にね。とてもよくわかります。だってマイクロソフトは一時期、Windows10 をただで配ってましたからね。「あの時、素直に Windows10 に入れ替えてくれれば、俺たちもWindows7や8のことなんか考えなくて良かったんだ」と言いたくもなるだろうなと、結構本気でそう思います。

 あの頃は「マイクロソフトが Windows10 をただで配り始めたけど、それに乗るべきか」なんてことが結構話題になったのですが。……その後、「マイクロソフトが意地でも Windows10 に上げさせようとしている」という話題に変化しまして。ええ、こんなネタツイートが出てくるくらいには話題になりました。

……実は私は、結構あっさりと無料アップデートをした人なので詳しくは知らないのですが。始めは普通に「アップデートする、しない」を選択できていたのが、やがて「アップデートをする、アップデートを今夜する」とかいう途方もない選択肢に変わって、さらに油断をするとWindows10 が勝手に入ってくると、そんな状況になったようでして。

――そこまでしたのにあえてアップデートをせずに頑張って放置されて、そのまま Internet Explorer を使い続けられれば、そりゃあマイクロソフトだって何か言いたくなると思います。

 でもね、それでもなお、Windows10 へのアップデートを拒否した人にも、同意できるような言い分はあるはずなんですよ。
 例えばそうですね、OSが新しくなると新しいOSに対応したドライバも必要になる訳ですが。これが、無料アップデートが可能な頃は十分に準備されていなかった。そうすると、当然、こんな声が上がってくることになる。

――ドライバも準備されていないのにOSだけ上げられても困る、と。

 そりゃあ「OSが勝手に上がりました、プリンタが使えなくなりました」じゃあ、ユーザーにとってはいい迷惑です。以前のOSの方が良いということになるでしょう。

――結局ね、この話って、マイクロソフトにもユーザーにも、あとサイトを作る側にも、それぞれに言い分のある話だと思うのですよ。

 Internet Explorer というブラウザには長い歴史があります。マイクロソフトという会社は、その Internet Explorer というブラウザに対して、常に互換性を保ちながら機能を先取りして組み込んで、シェアを保ってきました。
 それは、Internet Explorer を使うユーザーに「いつまでも過去のサイトを利用することができる」という安心感を与えると同時に、HTMLという「インターネットの基礎」の進化を妨げ、マイクロソフト的な「くせ」を埋め込んでしまう結果にもなってしまった訳です。

 今年の二月にマイクロソフトが表明した「Internet Explorer の使用を推奨しない」という発言は、Internet Explorer の「過剰なまでの互換性維持」によって生み出された歪みを是正するという側面もあります。ですがそれは、今までと同じソフトで同じようにサイトを利用したいというユーザーには不便を強いてしまっている。
 お金を払って買ったソフトなんだから、せめてサポートが終了するまでは同じように使わせろという、多分正当であろうユーザーの主張とぶつかってしまっている訳です。

 今どうするのが最善かという問いには、結構単純に答えが出る問題だろうと思います。何せ、事実上サポートを打ち切られたのと同じような形になったブラウザを使い続けるか、少しの手間をかけてこれからもサポートされるであろうブラウザに乗り換えるかという話なのですから。
 ただ、過去のいきさつとかを考えると途端に複雑になってしまう、これはそんな問題なのかなと、そんな風に思います。

最後に

 と、ここまで色々と、Windows や Internet Explorer のことについて述べて来ましたが。私の言いたいことはたった一つです。

―― Internet Explorer では私の作品を楽しむことは出来ません。ですから、この文章をご覧になった方は他のブラウザを入れて、心いくまで私の作ったコンテンツを楽しんでください!

 って、あれ? そんな論旨じゃなかったって? そうですね、私もそう思います。

――書いてる内に筆がのって、気付いたらああなってたのです。まあ、「小説家になろう」で執筆している作家には良くあることですよね。

 とはいえ、この先、Internet Explorer で見れなくなるページというのは、さらに増えていくと思いますし、待ってれば改善されるような問題でもないと思います。
 だから、今使っているブラウザで見れないページがあるのなら、別のブラウザに乗り換えることを検討した方がいいのかなと、これは本気で思います。

 と、いう訳で。最後に少しだけ。

 創る側に立っている人で、小説以外にもさまざまなことを試してみたい、そのためにさまざまなサービスを利用している方は、自分の作ったコンテンツが自分以外の環境だとどう見えるのか、少し意識した方が良いのかな、なんて思います。

――楽しむ側は「見れなかった」で諦めればいい話ですけどね。創る側としては「それでは何のために頑張ったのか」という話になってしまいかねません。

 私のように、小説投稿サイトをメインに他のさまざまなサービスを利用している方は、一度確認してはどうでしょうか。


あとがき

 この「note」に置いた記事も、Internet Explorer で見ると写真が見れなくなってますが(2019年8月31日時点)。現時点では g.o.a.t というサイトが最も厳しいと思うので、参考までにリンクを貼っておきます。

……この表現で、「背景が表示されない」「文字が読めない」のは、ホントに致命的でして。うん、すぐに気付けなかったのは正直アレだったなあと。反省、反省。


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