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しよんの参院選状勢分析(東京)

 東京選挙区は前回(第24回)参院選から6人区、第21回~第23回は5人区でした。当選人数が大きい選挙区というものは誰が当選するか予想しづらく、特に無党派層が多い東京都は、「風」によって選挙結果が大きく左右されます。そのため、首都ということもあり、毎回注目選挙区の一つとなりますので、詳しく見ていきます。
 では、過去4回の参院東京選挙区の結果を見てみましょう。泡沫候補は全て省いています。

 共産党と公明党が安定して票を出力している一方で、(他の選挙区以上に)自民や民主系政党の上下が激しいことが分かると思います。この共産票・公明票は他の選挙区より多めなのも特徴的です。

 さて、当選予想ですが、公明党山口那津男氏は間違いなく当選します。当選ラインの500,000票~600,000票を大きく超える800,000票前後を毎回(前回割りましたが)出力しており、党代表ということもあり、統一選疲れを差し引いても、落選はないでしょう。

 前回1,000,000票を獲得した自民の丸川氏もまず、当選とみて良いでしょう。余談ですが、僕は偶数回と奇数回で自民(丸川氏)と民主(蓮舫氏)間を行き来する票が一定数あるように見てます。これは、推測になりますが、都民の一定数には党派に関わらず強い女性を支持する層があると考えます。小池百合子氏の根強い人気の一因もそこにあるのではないでしょうか。

 そのことは立憲民主党の塩村文夏氏の擁立に繫がっていると僕は見ています。多くの都民にとって塩村氏といえば、都議会議員時代に自民都議から「早く結婚した方がいいんじゃないか」など野次を投げかけられた東京都議会やじ問題が思い浮かぶのではないでしょうか。この問題は大きな反響があり、最終的に自民都議に謝罪させました。
 塩村氏を擁立することで、立憲民主党は性差別を認めないというメッセージ性を持たせると同時に、(一部の)自民党党員は性差別意識を持っているということを都民に思い出させる効果が期待できます。これは前回、東京選挙区を無所属で出馬した女性団体の佐藤香氏を擁立したのも同じ意味合いがあるでしょう。また、塩村氏の出馬表明の際には、蓮舫氏の横に並ばせていることも、偶数回で蓮舫氏に投票した層を、奇数回でも立憲民主党につなぎとめようという意図ではないかと推測しています。
 この塩村氏擁立の一手は前回、蓮舫氏に投票した層を立憲民主に留まらせ、丸川氏の票の一部を削りとるためのものであると考えます。

 さて、与党の公明山口氏・自民丸川氏がほぼ当選確実な以上、野党の目標は、自民二人目候補武見氏の落選です。前々回では、自民党としては余裕で二人当選させるに充分な票を獲得しましたが、その多くは丸川氏にながれたため、武見氏は当選ギリギリでした。(ちなみに、民主党候補が名実ともに一本化に成功していれば、武見氏は落選していたでしょう)ではなぜ、丸川氏に偏るのか。それは丸川氏の選挙活動の努力の賜物であると同時に、武見氏の努力不足でしょう。選挙活動取り組み度合いの温度差はよく指摘されてます。

 また、23回で圧勝した丸川氏といえど、先ほど指摘したとおり、塩村氏の女性票の取り込みが活発化すれば、1位当選は危うくなってきます。そのため、組織票の一部を今回は武見氏に譲るというのも考えづらいでしょう。
 つまり、武見氏は今回も当落線上に立たされることが充分、予想されます。

 さて、武見氏を落選させるには、野党候補を四人当選させなければいけません。野党現職は日本共産党の吉良佳子氏と自由党(国民民主党に合流予定)の山本太郎氏です。二人とも国会では存在感が非常に大きいです。一方で、23回では民主党が大きく凋落していた時期であり、当時、吉良氏、山本氏(特に山本氏)に投票した層には、一定数現在の立憲民主党支持者が含まれるため、新規票を獲得しながらも、票を減らす可能性が高いです。

 当落予想ですが、吉良氏は問題ないと思われます。民主系候補が大きく票を伸ばした前回参院選で共産・山添氏が660,000票以上を獲得しているため、楽観しすぎるのは危険ですが、共産支持の分厚い岩盤が吉良氏を支えてくれるでしょう。

 さて、山本氏ですが、今回は厳しい戦いになりそうです。前述の通り、山本氏に投票した層には立憲民主支持層が含まれている可能性が高く、前回支援してくれた社会民主党が今回は独自候補を立てるためです。(社民党にとって今回は存亡をかけた戦いとなり、比例票の掘り起こしのため、人口密集地区東京に候補者を立てることはほぼ必須事項です)前回参院選で山本氏の応援をうけた(社民は独自候補擁立した)市民運動系の三宅洋平氏は257,036票で惨敗しました。
 ただ、山本氏含め野党四候補を当選させることは充分、可能です。前回参院選で蓮舫氏、小川敏夫氏、三宅氏の得票を3で割れば、23回武見氏の得票数を上回ります。
 野党4候補当選の鍵は票割りです。

 政治家個人は様々なことに取り組まなければいけませんが、その中でもなにかしらに問題意識をもち、その政策に特化している・していくものです。現状、野党候補は

吉良佳子氏 労働問題
山本太郎氏 原発問題・消費税廃止
塩村文夏氏 性差別・子育て問題

と、上手く色分けがなされています。残りの立憲民主二人目候補がこの三人と被らないカラーを出していければ、野党4候補は達成できるのではないでしょうか。

 ただし、有権者を10,000,000人も抱える東京での票割りは困難を極めます。現時点での当落予想は、以下の通りとします。
 丸川珠代氏  自民
 山口那津男氏 公明
 吉良佳子氏  共産
 塩村文夏氏  立憲
 山本太郎氏  自由(国民?)
 武見敬三氏  自民

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