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CIVILSESSION 22:LIFE

開催日:2019年5月18日

CIVILSESSIONはクリエイティブチームCIVILTOKYOのメンバーが様々な分野の方と行うアートセッションです。決められたキーワードを元に、発表者たちが一週間で作品を制作します。キーワード発表から一週間後にそれぞれの作品のプレゼンを行い、参加者の投票でグランプリを決定します。

第22回目のキーワードは「LIFE」。
CIVILTOKYOの3名とゲスト参加者3名の計6名で行いました。

・何芸(通訳販売)
 http://kageek.deci.jp/
・タカヤマ ミチヒコ(odd_ / 作家)
 https://www.instagram.com/odd_tokyo/
・もちがわ(イラストレーター)
 https://mochigawa3.tumblr.com/

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グランプリは何芸に決定しました。 

CIVILSESSION 22では「LIFE」というキーワードの性質から、これまでの回に比べて、自身の生活や人生に紐づけて身近な体験や出来事から発想を広げた作品づくりが行う方が多かったとより強く感じられました。また作品形式・形態も、立体・平面・パフォーマンス・参加者を巻き込んでの実演など、バリエーション豊かな発表が行われました。

何芸は、イングマール・ベルイマンの「仮面」を引用し、LIFEは自分と他者の存在によって形成されていると解説。鏡を通して視線を融解させるミラーマスクを制作し、見事グランプリを獲得しました。

タカヤマは自分の生活を「他者とのつながり」として解釈し、そのつながりを表現するために、人にとって切り離せない人工物の象徴であるプラスチックを溶かし、再形成した鋳塊を制作。
山森は自分の人生を振り返り、過去の人生から明日の人生への転換点となる儀式として、自身の過去の夢との告別式をパフォーマンスとして披露。
根子は、発表までの一週間の中で生活にふり起こった「痛風」をテーマにマガジンを制作。
伊藤は自身が体験した「出産」という出来事を例に挙げ、どんな人の人生もドラマチックだけれども、実は人は他人の人生については比較的無関心であるとの考えから、自分の人生をクイズ形式にして観客に回答させる対話型のパフォーマンスを披露。
もちがわは、人が当たり前だと思っている生活や癖は、他人にとっては身近なものではないかもしれないとして、普段見せない部分を知る対話のきっかけになるカードゲームを提案し、観客と共に実演しました。



①タカヤマミチヒコ(odd_/作家)/life_ingot

僕は普段、odd_という名前で洋服をメインの作品として造っている。
だから本来、僕にとっての「life」は本職の洋服を造る事なのだけど、odd_は「プロセスで遊ぶ事」をテーマにしていて、odd_なりのプロセスで洋服を造ってきた。
洋服を造る事も今回の制作もどんなものつくりも僕が造る以上(odd_だから)プロセスで遊ぼうというテーマの上では同じものだった。
だから絵以外の布やミシンを使わない物はつくった事が無かったけど割と簡単に手が動いた。 「life」、僕の解釈は他者とのつながり。
皆、個人主義で生きてる様な面していても、自分の生活を支えてる多くのものは知らない誰かが作ったものだし、自分も誰かの生活に関わっていると思うから。

明日から山の中で生きていくなんて僕にはきっと無理だし、多分ほとんどの人が同じようにこの群れの中でしか生きていけないと思う。
これは別に悪い事じゃなくて人は環境を作って(作るというより消費かもしれないけど)その中でつながりあって生きる生き物だから。
僕が感じた「life」。
「切り離せない群れの中で他者と影響し合いながら生きる事」
を表す為に、僕が思う人工物の象徴である「プラスチック」を人が影響し合う際にはエネルギーが媒介になる事になぞらえて熱エネルギーを媒介に溶かして固めた物体(プラスチックだけど鋳塊と呼ぶ)を制作した。

この鋳塊には2種類ある。

A.「多くの人が役割を持っている」
この事から日用品を原料にしたもの。

B.「人にはそれぞれ異なった性格や、性質がある」
この事からキャラクター物のおもちゃを原料にしたもの。

プラスチックの鋳塊や、ここまでの話から不気味さや、ネガティヴなイメージを感じるかも知れない。
でも僕が感じた物や表現したい事は少なくともネガティヴな事じゃない。

仕上げに鋳塊を切って磨いた。
こうすると思わぬ色合いや、信じられないテクスチャーの組み合わせが出来る。

物事は見方や切り口によって全く違う見え方をしたり、人とつながって生きていると思わぬ事が起きたりするって事を表現したいから。

今後はこのプロセス(life_ingot)で、無駄だけど、より面白い生活(life_inodd)に出来るようなgoodsを造れたらと思う。

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②山森文生(エンジニア)/古い夢との告別式

最近、ちょうど葬式・告別式が誰のための儀式であるか、ということを考える機会がありました。万葉集にも「うつそみの人なる我や明日よりは二上山を弟背と我が見む」と歌われるように、生きて世に残る人である私には故人を思うことしか出来ません。だから、そこにある儀式は故人のためにあるべき慣例として実施されるべきでなく、明日を生きる人のために再解釈されても良いのではないか、と考えていた次第です。

それとは別の話になりますが、偶然に時期を重ねながらLIFEというキーワードに向き合いまして、自分のこれまでの生い立ちなどを整理して、幼き日の夢を目の当たりにしました。夢の実現が人生であるならば、過去の夢に思いを馳せながら、次の夢に思いを繋いで歩み始めることは、第一の人生から第二の人生への転換と言えるのかもしれません。この転換に相応しい儀式を手探りして、自らの過去の夢への告別式を執り行いました。ここに私のLIFEに向き合った1週間の答えがあります。

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③根子敬生(デザイナー)/TU-FU LIFE STYLE MAGAZINE

最近、痛風になりまして。
キーワード発表当日が誕生日だったんですが、そのちょうど5月11日の日をまたいだ辺りから無性に右足親指の付け根がムズムズとしはじめまして、朝にはもう、一歩踏み出す度に激痛が走るような状況になってしまいました。
でも自分の生活を振り返ってみると、一週間前の土曜日とか、一日計15本ぐらいビール飲んだり、そんなことしていたんです。プリン体?ですかね。一日5リットル以上もビール飲んだりしてりゃ、この結果は当然想像がつくというか、そりゃ自業自得でしょう。でしょうな。
でもビールが生活の一部であったことは間違いなく、ビールを飲んだらあかんというのは、自分の生活が崩壊してしまう、でも飲んだらあかん、そもそも痛風てなんだ、プリン体てなんだ、焼酎とか日本酒ならいいのか、調べるか、いやアルコールがそもそもいかんのか、ノンアルコールビール飲んでたらいいのか?あーーービール飲みたい。
と、いう生活の苦悩をマガジン形式にして発表しました。発表の後、「痛風はビールを飲みながらでも治る!」という本を買いました。

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④伊藤佑一郎(写真家)/セタガヤ横断ユウイチロウクイズ

最近子供が生ました。これからの自分の人生において、大きな節目になる出来事だと思います。
どんな人も今までの人生の節目がたくさんあったと思います。
この世に生まれて、なにかに夢中になり、成功したり、挫折したり、夢を諦めたり、夢をもう一度追いかけることを決めたり。初めて恋人ができたり、結婚したり、離婚したり。進学、就職、引っ越し、事故。
きっと誰の人生でも多くの出来事が起きて、今ここにいるのだと思います。語れない人生なんてない、どんな人の人生もドラマチックだと思うのです。
でもこれって他人にとってはどうでもよいことだったりしますよね。
よくある自伝本とかの類いも、その人に興味があるから買うわけで、全然知らない人がその人の人生語っててもあまり耳に入ってこないはず。
きっと今ここでこの伊藤佑一郎のプレゼンを聴いている皆さんにとって、僕の人生にどんなことがあったのかとかこれから起きようがそこまで影響ないというか、たぶん「へー」とかそんな感じだと思うので。
でも今日ここにきていただいている方々にはせめて、自分の人生にちょっと興味もってもらいたい。
どうやったら興味もってくれるかなと思って、僕の今までの人生を全11問のクイズにしてみました。

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⑤何芸(通訳販売)/”面”试

“LIFE”というキーワードをもらった時、家で”面接対策シート”を暗記をしています。4月からある人材派遣会社に所属して、毎日ブランドショップの面接のために担当者と面接の練習をしています。
ある日、練習の途中で突然に一生懸命自己アピールの自分から意識を脱離しました。。。その時頭に覚えだしたのは、イングマール・ベルイマンが製作した【仮面】という映画。

ネットで【仮面】を検索したら、あるレビューで一つ言葉を共鳴を起こしました:
【見つめる者と見つめられる者、眼差しを介した自他境界の溶解】
見つめる者(例え面接官、上司、両親、憧れの人、怖がれる人)は見つめられる者に何がしかの影響を与え、自らにも一定の反響を受ける、そして誰かを見つめるということは、自分もまた見つめられる者であるということと表裏一体なのだ。
そして自分の現在の”LIFE”を表現できる~ミラーマスクを作りました。自分の顔の一部を相手の顔(相手を望んでいる様子)を映す、対極的な関係におかれた二人は、どんどん似てような顔になっていく。。。

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⑥もちがわ(イラストレーター )/なくてななくせ生活カード

 「LIFE」のワードから、ぱっと思い浮かんだのは「生活」でした。
 生活というものは人それぞれに存在するもので、食べることや眠ること以外にも、洗濯物の干し方にこだわりがあるとか、いつも家を出る時についやってしまうくせがあるとか、おそらくそういう細かい出来事ひとつひとつで生活は形成されています。
 でも、自分にとって当たり前の生活は他人にとっては身近ではないかもしれないし、自分だけがしていると思っていることを、実は他人もしているかもしれない。生活はあえて見せない部分だからこそ、他人の生活の様子が垣間見えたとき、私はちょっとうれしくなって、相手のことをもっと知りたくなります。
 そこで今回は、自分の生活について振り返りながら、他者とお互いの生活について楽しく話し合うことができるようなものが作りたいと思い、鑑賞教材として使用されているアートカードをもとにした「なくてななくせ生活カード」をつくりました。

『なくて七癖、あって四十八癖』
ということわざがあるように、人は少なからずくせを持っています。
 このカードには、私や知人らの生活のくせやあるあるネタ、失敗エピソードをもとにしたイラストが描かれています。
 プレゼンでは、参加者の方々にカードで遊んでもらいながら、お互いの生活について話し合っていただきました。

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《ゲームの共通ルール》
・イラストの解釈は自由です。
・他人の生活を侮辱してはいけません。

《ゲーム① にたものならべ》
1.プレイヤーに3枚のカードを配ります。
2.プレイヤーは、場に並べられたカードの隣に、自分の手札のカードを置くことができます。
 このとき、隣り合うカードの「共通点」を言葉にして置いていってください。
3.一度出た共通点は、他のプレイヤーは使うことはできません。
4.場にすべてのカードが並べられたら終了です。

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《ゲーム② イエス・ノーゲーム》
1.2人1組でペアをつくります。じゃんけんで親を決めてください。
2.親は場に並んだカードのなかから、自分の生活と照らし合わせて、一番共感するもの
 (もしくは一番見たこと・聞いたことがあるもの)をひとつ心のなかで決めます。
3. もう一人のプレイヤーは、親が選んだカードを質問をしながら推理していきます。
 この時、質問は「はい」か「いいえ」で答えられるもので、5回まで行うことができます。
〈例〉「そのカードには人が描かれていますか?」 親「いいえ」
 *質問は作品の色、形、時間帯など、どんな事がらについてでも構いません。
4. 一通り質問が終わったら、親がどのカードを選んだのか予想し、そのカードを指さします。
5.親の決めたカードを当てることができたら、親はそのカードを選んだ理由を場にいる人たちに話します。
6.順番を交代します。

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